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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第三章 ここは血の気が多すぎはしないだろうか
37/40

ようやく開始。

時間が空いてしまい申し訳ございませんでした。

勇者は剣を抜いただけで暴風を起こし、会場内が砂に覆われ見えなくなった。

観覧席はポリマーとピクシーが張っている結界により、風が闘技場の地面に当たって起こした衝撃しか伝わらない。

その一瞬の後に火花が至るところで散ったと思ったら舞っていた砂が闘技場上空に凝縮し、いくつもの鋭利な石片となって勇者めがけて飛来した。

それを避けることをせず、勇者はわざわざひとつひとつ律儀に剣で砕いて回る。

シエラレオネは飛来する石片を避けながら勇者の背後から殴りかかるが、いともたやすく剣の柄で受け流されてしまった。

ついでと言わんばかりに、勇者は砕いた石片をシエラレオネに向けて跳ばしていく。



ちなみに勇者が用いている剣は普段使っている愛剣ではない。

殺しは無しのルールから刃引きしてあるレプリカを使っている。

そのため形は同じだが使いなれず、どこか違和感を覚えながらの試合である。



「おぉ〜、慣れん剣でよくやんなぁ」


○○○がもらすと、ドロイは納得げに頷く。だがドロシーは首を傾げた。


「同じ剣でしょう?」

「剣ってのは使っていくうちに馴染んでくモンだぁ。

 あれは新品同然。全くの別モンだぁ」

「そういうものなの?」

「そういうものです」


そんな会話をよそに、アリサが声を洩らした。


「──あ」


その声はとても小さく、離れていても聞こえるほどの衝突音によってさらに聞こえ辛くなっているが、隣に座っているアリスはしっかりと拾った。


「どうかした?」

「……あれ」


アリスが尋ねると、アリサは手で勇者の方を示した。

逃げ回っているシエラレオネを追って未だ降り続ける石片を剣で砕きながら動き回っている勇者を追い、その手はかなりの速度で動いている。

ツカサはアリサの腕が当たらないよう避けながら、それが示している方へ目を向けた。

アリスもアリサの手が向く方向を追い続け、何を指しているのかを理解する。


勇者(ニアメ)の剣が、どうかしたの?」


アリスに示しているものが伝わると、アリサは腕を止めた。

ちょうど体を反っていたツカサに謝罪をしてから、アリスに顔を向ける。


「表面……が、欠けて──削れてきてる。

 ほら、光ってきました」

「あ、ホントだ」

「石と擦れていますね」


ツカサが目を凝らしながら言った。

アリサたちに近い位置で壁を蹴って空中で砕いた石片を弾きとばした時を捉えたらしい。


「手入れの行き届いていない真剣くらいの切れ味はあるんじゃないでしょうか」

「ルール的には、殺さなきゃ殺傷能力のある武器を使うのはオーケイだよね?」


アリサは頷く。

降り注ぐ石片の数は減り、会場内の地面の平らなところが無くなりかけたとき、シエラレオネが両手を陽にかざすかのように持ち上げてから、次の動作をさせまいと剣の柄で殴りかかる勇者を避け、両手を地面にたたきつけた。

すると、ピクシーが空を見上げる。


勇者はシエラレオネから距離をとり、剣撃を放ったが、それは()に阻まれた。


天高くから観客席へ落下する水滴を、ピクシーが結界で弾く。

ポリマーは、闘技場の、主に観覧席の崩壊(・・・・・・)をくい止めるべく魔法を行使していた。


シエラレオネが、魔法を使ったのだ。

植物の成長を局所的に速め、巨大化させる魔法と、成長に必要な養分、水分を集める魔法。

前者の影響で、植物の根や茎、養分の溶けた地下水が不自然な形、方向で進入するために闘技場全体の強度が低下し、地面が割れ、生えてきた植物によって森のようになった。

後者の副作用のようなものとして、小雨が降り始めた。

ただし、空気抵抗を無視した、針のような形状、猛スピードで。

この雨は、しばらくやまない。

少なくとも、今日中には。


「また干魃でも起きそうですね」


針のような雨を弾いている結界は広範囲かつ強度もあり、魔力の消費も激しいものだ。

それでもピクシーにはまだ余裕があるようで、暢気そうな口調でそう呟いた。


設定がぶれているキャラが多すぎはしないだろうか。

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