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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第三章 ここは血の気が多すぎはしないだろうか
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王家

今回は短いですが、手違いとかじゃありません。

次のとくっつけると丁度良い長さだと思います。


大陸統一武闘大会の活気が一旦やむ今日、明日以降の本戦に参加する者は会場周辺で自由行動。

カナデはメイに頼まれていた服を、予定を変更してシンのお守りにきたメイと護衛の女性型アンドロイド──ドロシーと共にキルツ王城へ届けに向かった。

精霊は転移魔法が使える者もいるため、明日以降の本戦に参加するとはいえ休みの今日はおそらく国王たちは王城にいるだろうとのことだ。

ついでに、シンはマルク王城の方への服の配達を妹に頼まれ、ジンの国の子供たちを共につれていった。何があったのかは解らないがいつのまにかシンと仲良くなっていたツカサも同行する。

残されたアリサたちはとりあえず滞在している明き森の小屋に帰ろうと動き出したところで、モノマーとポリマーに出会(でくわ)した。

ポリマーはモノマーと似た無表情だが、どことなく嬉しそうだ。

昨日の帰り際に今日は訪ねてくるという旨のことを約束していたため、驚きはしない。


『お久しぶりです、アリスさん、ミズキさん』


モノマーの口が僅かに動くと、耳に装着している翻訳機兼通信機から声がする。


「アリスさん、本大会出場おめでとうございます。

 明日は大会も休みなので、ゆっくり休まれるとよいかと思います。」


ポリマーはアリスに向いて淡々と賛辞を述べた。

内心は皆が失格になれば審判しなくてすむのに。である。


『ソフィアのところに遊びにいくのです。

 用事がなければアリサさんたちも行くのです?』


「本大会出場決定者を誘っては悪いですよ」


急にモノマーがアリサたちを誘ったが、ポリマーが一応とめておく。


「いきます」


アリサは目を輝かせて即答。


「ソフィアって、本大会の方にも出場する国王様だよね?

 あの幼女。」


アリスはこの時代にきてすぐに訪れた王城と、そこにいた者たちを思い返した。


『そうなのです。』


「普段は幼女の姿ですが、本来の姿はもっと大人びていらっしゃいますよ」


ポリマーの補足に、アリサは目を見開いた。


「ピクシーがよく姿を変えることはご存じですか?」


それを見て、ポリマーが尋ねる。

アリサは首を左右に振った。


「今回の武闘会の開会式でも、ピクシーは本来の姿ではなく、前キルツ国王、マリ様の姿をしておりました。」


アリサは開会式の時を思い返し、割り込んだ精霊2人の姿を思い出した。

ピクシーとはキルツ王城を訪れたときに出会っていたはずだが、どちらもアリサに見覚えはなかった。

確かあのとき、彼らを見た者たちの様々な反応を見たはずだ。


「マリって、本大会の(ほう)にも出場するはずだよね?」


アリスが確認する。

それに対し、ポリマーは頷いた。


「ピクシーは“鏡”の魔法を得意としておりまして、光の屈折を操作して見えかたを変えることができるのです。」


開会式の際、大陸統一武闘大会のルールの変更点を記した図が眼前に浮かび上がったことを思い出す。

その際抱えられていた方の精霊が何か動きを見せたため、おそらくそちらが魔法を使ったのだろうと思われた。

ならば、そちらはあのピクシーだったのか。


「自分だけでなく、他のものに対しても使用することが可能でして、普段から妹たちに対して使用しております。」


「妹……?」

「──妹?」


アリスとアリサはそろって反応する。

アリサはアリスの妹であり、その事に対して思うことがかなりある。

アリスはアリサを妹に持ち、やはり彼女に対して思うところがある。

両者とも、なぜ普段から妹に対して魔法を行使しているのか、その動機が気になった。


「現在の王家の方々はとても仲がよいのですが、事情がありまして、妹たちの求めに応えての事です。」


「どんな理由?」


「仲がよいのですが、時々敵対している隣国の国王同士ですから、姉妹と明らかになれば色々と不都合もございましょう。」


ポリマーは、アリサの問いに軽く応えた。


「隣国の、国王同士……?」


「敵対してるってことは、キルツとマルク?」


「そのとおりでございます。

 キルツ国王ソフィア=リョク・キルツ様と、マルク国王シエラレオネ=フィン・マルク様、一般的にはレオーネ様です。」


不都合があるだろうと自分で言っておきながら簡単に明言してしまうポリマーに若干呆れながらも、アリスは確認する。


「……ピクシーって、その2人の姉なの?」


「いえ、兄です。」


ピクシーは、王城で会った時はソフィアを鏡写しにした(ドレス)姿、武闘会の開会式の時はマリ(女性)を鏡写しにした姿だった。


「……男?」


「そうなりますね。」


「……家臣じゃないの?」


「いえ、臣下たちと同じことを勝手に行ってはおりますが、臣下ではなく、現在はキルツ王家で居候していらっしゃいます。

 前国王の頃は勝手に国境警備をしてもおりましたよ?」


『ピクシーは自称自由人なのです。』


「……変人」


『おそらくこの大陸にはそんなのばっかりなのですよ。

 変じゃなければ母国を追い出されたり飛び出したりはしないはずなのです。』


「……みんな、ここに元々いたんじゃないの?」


「この大陸にもともといたのは古族(コゾク)だけです。

 他の方々は古族の方々の好意で受け入れられた漂流民が住み着いた結果、今に至っております。」


「古族……ジンとか、キルツとかの一部──明き森の、木が薄いところとかに住んでる」


ミズキに訊いたこと、エミィに手伝ってもらいながら調べたことを脳内で引き出し、アリサが呟いた。

ミズキに訊いたことに関しては、アリスもその場で訊いている。


「へ~……。」


アリスがぼんやりと相槌をうち、そこで一旦沈黙。


『……そろそろ行くのです』


会話中そわそわとしていたモノマーがそう促し、一行はキルツ王城へ向けて歩き始めた。

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