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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第三章 ここは血の気が多すぎはしないだろうか
24/40

2次予選、1種目め──じゃんけん


「2次予選の種目、結局どれ選んだの? ツカサは」


大会2日目。

正確には予選2日目。

アリサたちと共に闘技場へ向かい、出場者と観客で別れた後。

種目登録の列に並びながら、アリスはツカサに問うた。


「えと……オレは、人工石と、アンドロイドと……ジャンケン、です」


2次予選の内容は、5種目の中から3つを選択し、3日間の内に終わらせるというもの。

その種目が、大陸一硬いと称される、マルクの鍛冶師特製人工石を割る。魔法でも機械でも可。(ヒビでも可)

大陸一重いと言われる(防御力ももちろんずば抜けている)、キルツの鍛冶師特製防具類一式を身につけてチェックポイントを通り会場まで戻る。

転移された先から本会場まで戻る。(転移で戻ることは不可)

ジンの狂った発明家カナデ作の人工知能搭載アンドロイドを破壊。なお、この種目の場合は参加者が協力してもよく、破壊された時点での戦闘可能者はクリアとなる。

ジャンケンで3回連続勝ち残る。(後出しなどの不正は失格)の5つであり、1度挑戦するごとに1枚のバッチを使う。

ジャンケンの場合は、1度負けるごとに1枚のバッチを回収される。

なお、このバッチはキルツ国軍の魔法部隊による魔法がかけられており、ついでにジンの発明家による実験的な追跡装置もつけられている。

そのため、1枚のバッチの複数回使用は認められず、1人につき5枚以下しか使用することはできない。

もしやろうとした場合、未遂であっても発覚すれば失格である。


「そっか。僕はどれにしよっかな。」


今、ツカサは少しずつ気分が高揚してきており、話し方が砕けてきつつある。


「一緒に、アンドロイドやりませんか?」


「ツカサが絶対に壊してくれんならいいけど?」


「絶対破壊する。

……他の方には手出しさせません。」


ツカサはにっこりと笑った。

これが悪巧みをしているときのアリスと似たような顔なのと、この顔をしたときのツカサの手のつけられなさを知っているのとで、アリサには敬遠されている表情だ。


「そっか。

 じゃ、2つ目はそれで決まり。」


「2つめ、ですか?」


「1つはジャンケン。」


「1日目ですか?」


「そ。」


「では、3つ目もそろえませんか?」


「人工石?」


「そうです」


「僕、力無いんだけど?」


ツカサは「いや、あるだろ……。」とは口には出さなかった。


「機械も可だから、アリサさんに何かサポートしてもらえるのでは……と。」


「そだね。じゃ、そうしよ。」


アリスはツカサの言葉にあっさり了解し、アリサにどのような機械を頼もうかと思案を始める。

まだ前には数人いるため、耳に付けている、エミィシステムを利用しているらしい翻訳機兼通信機のボタンを押し、アリサに繋げた。


『……お兄ちゃん、どうしたの?』


機械から聞こえてくる僅かに肉声と異なる音を感じ、少しだけ顔をしかめながらも同時に、妹の言葉が聞けたというだけで頬をゆるませて少しの間だけ不可思議な表情をしながら、アリスは返答する。


「ただ声が聞きたかっただけ。」


『そんな……あんまりエミィの力を無駄遣いすると、元の時代に帰れなくなっちゃうよ……?』


「エミィはすごいんだっていつもアリサ言ってるでしょ?

──このくらいでそんな大きな影響はないよ。」


『……。』


「どしたの?」


『お兄ちゃん、いつも、そんなすごい機械には見えないって……』


「言ってるね。」


『エミィも、喜んでる。』


「……?」


『音声が、少しきれいになった。』


「言われてみればそうかも」


それから他愛もない会話を少しして、2人共に1種目めジャンケン、2種目め人工石割り、3種目めアンドロイド破壊を挑戦種目として登録した。

登録した順に種目をクリアしなければならないわけではなく、あくまでも運営側の目安のための登録であるため、登録した種目以外をこなしても問題はない。

とにかく今日、明日、明後日の3日間に3種目をクリアしていれば2次予選は通過となる。



1次予選の時とはうって変わって静かに、2次予選が開始された。

どの日にどの種目を消化しようとも自由らしいので、簡単そうなじゃんけんにアリスは向かった。

ツカサもそれに同行する。


1次予選では使われなかった地下闘技場が会場らしい。


「あ、ジャンケンって、あの時代とルール同じかな?」


『同じらしい……よ』


通信が入ったままだったようで、通信機越しだとなおさら聞き取り辛いアリサからの応答があった。


「そっか。ありがと、アリサ。

 調べたの?」


『モノマーさん……が、教えて、くれた……』


「いつの間にそんなこと話してたのよ……」


アリスは問いかけているつもりはなく、ただ、もう二人はそんなに仲良くなっていたのだなぁと感心していただけであるが、アリサはそれを問いかけだと受け取ったらしい。


『今。』


「へぇ。

 今そこに、モノマーがいるの?」


アリスは軽く驚いたが、それよりも、自分はアリサのそばにいられないのに、まだ会って日も浅いモノマーが妹の側にいることに対する嫉妬心が勝ったため、強く声にでることはなかった。


『ポリマーさんは、2次予選の審判にかり出されたそうなので、不在だけど……』


 ざまーみろ。とアリスは思った。

別に恨む理由などはないのだが。

キルツ王城での一件で、ポリマーはモノマーを溺愛している。と、アリスの勘が告げていた。だから今の、アリサと離れている状況のアリスのように、苛立っていたりするのではないだろうか、と。


「アリス様、その顔は怖いのです」


今度ばかりは、アリスも驚きを顔で表した。

そこには、今話していたポリマーがいたからだ。


「……ポリマー、さん、どうしてここに……?」


ツカサが尋ねると、ポリマーは表情だけにっこり聞こえてくる思念は怒り気味に応えた。


「キルツ王家の昔の知り合いのよしみでジャンケンの担当にされてしまいやがったので、審判を兼ねて警備をしにきたのです。」


「あ、ちょうどですね」


「何がなのですか?」


「オレたちは、いまからジャンケンをやりに行くんです。」


「それは奇遇なのです。

 ですが八百長等は僕も取り締まる方ですので協力できないのです。」


「そんなのなくても、ジャンケンなんか簡単だって。」


「所詮は洞察力ですからね。

──ですが、お気をつけくださいなのです。」


「──何を?」


表情を崩さないまま付け加えたポリマーに、アリスは問うた。


「ジャンケンは戦闘ではないので、本戦まで力を隠したい方や、弱き方を脅して勝ち上がろうと考えている方もいるのですよ。

 脅し方が時々度を超えているので、気をつけて下さいなのです。」


「それなら大丈夫。」


アリスはツカサを見る。


「ツカサが守ってくれるから。

──ね?」


その笑みに、ツカサは満面の笑みで応えた。


「はい。全力で守らせていただきます。」


話している内に、会場についてしまった。そこには人が殆どいない。


「人がいないね」


「今大会ではジャンケンの選択者自体が多くないですし、初日はクリア確実な種目からこなす方が多いのです。」


「そうなんだ。」


アリスは興味なさそうに呟いた。

隣でツカサはしょんぼりしている。

参加者が少ないということは、強敵に出会える可能性もそれだけ少ないということだからだ。


「あ、ジャンケンのルール教えてくれる?」


「時間はありますのでいいのですよ」


ポリマーに教えられたジャンケンのルールは以下の通り。

・原則パーはグーに勝ち、グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝つ。

・「最初はグー」と始めたら最初はグーを出さなければならないが、そう言わなければその限りではない。

 そのため、時々「最初はチョキ」で始まることもある。

・グーは拳で表し、拳にはプロテクター等を装着していてもそれが拳と判断できれば可。魔法での増強は可だが自身の肉体以外を核にすることは不可。

・チョキは2枚の刃で表し、自分の体で持ち上げることができれば可。魔法を用いる場合可視化することが原則。

・パーは障壁で表し、魔法を用いても可。布など柔軟性に富んだもので表現する場合、展開時の大きさが4メートル四方に収まる大きさであれば変形は自由。


つまり、それぞれを表すもので実際に戦い、勝ったものが勝者となる。

ただし障壁での圧迫は不可。

拳の場合はそれ自体、チョキの場合は二枚の刃、パーの場合は障壁以外の場所を攻撃対象とすることも不可。

それぞれを表すものが使用不能になった時点で勝敗が決する。


つまるところそれは、まぎれもなく戦闘である。


それを聞き、二人は所持品を探った。

プロテクター、2枚の刃物、障壁になりそうなもの。

ルールを事前に確認していなかったため、持ってきていないかもしれないのだ。

ツカサの方は普段から怪我の応急処置用道具のひとつとして鋏をもっており、拳は生身で、障壁については腰に巻いている布でどうにかするとのことだった。

アリスにはあいにく爪切りとヘアゴムしか手持ちがない。


「はぁ、どうしよ」


呟くと、耳に装着している通信機から反応があった。

まだ電源は切っていなかったのだ。


『お兄ちゃん、どうかしたの?』


「ジャンケンに使う道具が足りないんだ~……」


『何、必要?

 簡単なら、お兄ちゃんの座標に、転移させる。』


ならば、とアリスは欲しい道具の名を告げた。


『すぐに用意する。

──エミィに頼むから、26秒待って』


アリサにそう言われてから26秒もたたず、アリスの足下には告げたものが現れていた。


「……ここは転移魔法を阻害しているはずなのですが、どうやったのですか?」


それをみていたポリマーが尋ねる。


「さぁ?」


本当に仕組みがよくわかっていないアリスは首を傾げた。

ポリマーは笑みが消えて無表情になっていたが、視線を斜めに動かすと慌てて奥の舞台へ上がった。

そのとき姿が消えたのは、転移魔法を使ったからではないのだろうか?


「開始時刻となりましたのです。

 近くの方と勝負を開始して下さい。

──審判はぼくが一人でつとめさせてもらうのです。

 反則を見つけたら本部に強制転移しますのでご理解下さい。」




はたして、文字通り拳にものを言わせたツカサと、アリサの製作した機器を使用したアリスは、早々に2次予選1種目め、ジャンケンを終えたのだった。




早々にジャンケンで勝ち残った後、他の種目をする気にもならず、アリスはもう今日はアリサの元へ向かうことにした。

使用した機器はエミィシステムによってすでに回収済みだ。

2次予選は3日間の内、時間の使い方は自由で、日の出から日の入りまでの間ならばいつどの種目を行ってもいい。

3種目クリアした時点で本戦への出場は確定するわけだが、それ以上種目に参加してはいけないわけではなく、バッチがあるだけなら参加してもいい。つまり、最大でチャンスは5回。

ツカサはアンドロイドを見てきたいとのことなので、別れて一人観客席へ向かう。


アリスがアリサを見つけたとき、すでにモノマーはいなかった。

アリサの隣に座って競技会場を眺めていると、昨日も見かけた、あの獣人の少女もいた。猫のようにすばしっこく動き回っている。

この会場を広く使って行われているアンドロイド破壊だが、殆どの参加者がアンドロイドを追いつめて隅に密集しているため、アンドロイドの姿は見えない。

間が空いてしまい申し訳ありませんが、また次も間が空くと思われます。

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