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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第二章 ここは本当に未来なのかも
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帰還

グダグダですいません。

 鍵のかかっていない玄関から勝手に家の中に入り、思い思いの部屋へ散らばっていく。

 私はケルに袖を引かれて3人の後を追った。


 こういったことに慣れているようで、棚から布団を出して敷く。


 家主の許可なく寝泊まりするのはどうかと思うのだが、皆そこそこ親しい関係のようなので、そこはいいのだろう。




 翌日。

 朝目を覚ますと、ベルに睨まれた。

 布団を畳み、再び三人に引かれ、食事をとるための部屋へ向かう。

 朝ご飯を作っていたのは、なんとライ・シンだった。小指立ちのまま足で鍋を掴み、器具を操作している。

 行儀が悪いと思ってはだめだろうか。




 すぐにカナデも来た。

 どうやらあの後、いつの間にかはわからないのでついさっきかもしれないが、回復したようだ。


 苛ついているように見える。

 腕を組んで椅子に座り、機械の操作部には触れようともしない。


「いただきます」


 食事を開始。

 半分ほど食べ終わったところでメイがぽつりと言った。


「よく生きてたね」


「シンも加減できるようになってきたんでしょ。」


 ベルが仕方がないといった風に応える。


「結構頑張ったんだぜ? 褒めてもいいよ」


 部屋の隅に置いてあったクッションを皆が囲んでいる机の横に持ってきてその上に座り、手で食事をしているシンが言った。


「まだ異常」


 ロスのその言葉で落ち込む。


「……分散機と吸収材仕込んでなかったら死んでたぞぉ……」


 ベルの舌打ちが聞こえた。

 あの時額には何もついていないように見えたのだが。


「どこにどうやって仕込んでいたのですか?」


 尋ねると、フォークをおいて額に手をやってペリっと剥がした。


「貼付型」


 色は肌と同じ色で、目立たない。

 額に張っていたらしい。

 丸いそれの中央には正方形の鈍く光る硬質なものがついていた。

 厚さは目測で0,02ミリといったところか。


「こっちが分散機で、このくっつく方は吸収材。

 一発でダメになっちまったがなぁ。」


 指し示して説明をしてくれた。

 再利用を考えていたらしい。


「普段から仕込んでいるのですか?」


「少しはなぁ。」


 それを必要とすることが、日常的にあるらしい。

 この時代も何かと物騒なのだろうか。


「性能よくなったね」


「だろぅ?」


 ケルの言葉に、自慢げに胸を張ってみせる。


「そんなもの作る暇あったら、もっと実用的なの作って。」


 メイが言う。


「例えばどんなのだぁ?」


「道案内」


「それはあるだろぅ?」


「もっと性能いいやつ。」


「あれで十分だと思うがなぁ?」


「メイはよく置き忘れるから」


 全て食べ終わり、おかわりを盛りにキッチンにいたシンが、顔も見せずに言う。


「機械音痴だし」


 ロスが補足。

 心なしか、メイの無表情の中にもムスっとした感じがある気がする。


「そういえば、武闘会、いつもどうり開催するみたい。」


 話を逸らすためかメイが思いだしたように言うと、


「今年は俺も参加するぜぃ!」


 意気揚々と、二皿目を半分まで食べたシンが片手を振りあげた。


「カナデが付き添ってくれればね。」


 メイが条件付きで許可を出す。


「別にいいぞぉ? しばらく暇だし」


 カナデはあっさりOK。

 先ほどまでの不機嫌はどこへ行ったのやら。


「ついでに新しい服も持っていって。」


 部屋の隅に置いてある包みを示す。

 昨日メイが持ってきたものだ。


「また王城でいいのかぁ?」


「うん。

 それと、新しくできた服屋さんにも。場所はピクシーあたりが教えてくれるはず。

 わからなかったらもって帰ってきていいよ。」


「そういや戦争はどうなった?」


 シンが早々と間食し、皿を舐めながら尋ねる。

 行儀が悪い。

 シンとメイの家である服屋には裁縫以外の機械が無いため、情報があまり回ってこないのだ。二人とも機械音痴なのも理由の一つではあるが。


「いつもどうり、一日で終わった。」


 戦争が一日で終結?

 それほどまでに戦力差が圧倒的だったのか?

 それとも何かイレギュラーな……


 戦争の発端となった勇者の存在についても、キルツとマルクの現国王の仲の良さについても知らないミズキは一人、見当違いな考えを巡らせた。


「じゃあ、もう安全だな。

 ミズキも明き森へ帰るのか?」


 考えに沈んで手を止めていたため、シンの言葉に反応するのが遅れた。


「……ぁ、そうさせてもらいます。

 今までお世話になりました。」


 あの場所へ帰って、この時代の情報を伝えなければ。


「大したことはしてねぇって」


「あ、そだ。

 鍛冶屋の爺さんも今年は武器提供するってんで、大会行くらしいよ」


「じゃ、一緒に行くかぁ。」


 カナデは食べ終えた食器をまとめ、席を立つ。


「いつ出発する?」


「武闘会はいつからだぁ?」


「来週くらい?」


 カナデの後に続いて食器を運んだケルが呟く。


「ぼくも」


「ケルは長老とじゃないのかぁ?」


「アシュラに訊いてみる。

 電話貸して」


 面白そうに笑みをたたえたベルが席を立った。


「勝手に使ぇ。


……来週なら、今日出てくかぁ? 宿はいつもの所だろぅ?」


「爺さん家によってからね。」


「……まず、家に送って。」


「そだね。じゃあすぐに出よう。

 俺ん家寄って爺さん家寄って……長老の所に送ってく?」


「カナデがいればオッケイだってさ」


 ケルが帰ってきた。


「じゃ長老の所はいいな。

──ミズキも一緒に行くか?

 明き森は通ってくし、小屋の場所もわかるけど」


「案内していただけると、助かります」


「ミズキも方向音痴?」


「……森の中では左右がわかりません。」


「そっか?」


 シンは慣れているので、細かい差違を見つけることができる。だがあまり森に馴染みのない者ならば、区別ができなくても仕方がないであろう。




 カナデの家を出る。

 木々の間を通る。

 そういえば。


「どうして夜の森は、危険なのですか?」


「え?」


「知らないの?」


 シン、ベルの順である。


「はい。」


「この森には、沢山の獣がいて、昼間はカナデのにおいがついてるといいんだけど、夜になるとそんなの関係なしに襲ってくるような夜行性の凶暴なのがいるからだよ。」


 ケルが教えてくれた。

 だからカナデはあのとき3人を叱っていたのか。

 ケル、ベル、ロスの三人と初めてあったときのことを思いだす。


 メイと服屋で分かれ、数日前に訪ねた鍛冶屋へ行くと、やはり見覚えのある老人がいた。


「今回は●●●も行くみたいじゃから、そっちも寄ってやろうぞ」


 ということで、●●●という人も訪ねに行くことになった。

 この老人は○○○という名らしい。

 よく聞き取れないのは、やはり時代とともに言葉が変わったせいか。


「あぁ、我の召還した勇者がね、またなんかしたらしくてね、返済の催促がてらね、新しいね、牢なのかなんだかわかんないんだけどね、住居を見に行こうと思ってね。

 ついでに武闘会の方にはね、我が召還した魔物も出るらしいからね、見物でもしようかと思ってね。」


 こうして八人で森へ入っていった。



「またね」


 小屋まで送ってくれた七人と別れ、小屋の扉を開く。


「誰?」


「私です」


 アリスの警戒した声に返す。


「ミズキさん……お帰り」


 アリサが毛布の中から頭だけ出して、ぼそっと呟く。


「どこいってたの?」


「元気でなによりだね~」


 ツカサの声が、とても懐かしく感じた。

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