移動
「ミズキ、家くる?」
ケルに誘われた。
「アシュラ、いい?」
ロスが確認をとる。
アシュラというのは、長老の名前らしい。
「何で呼ぶんだよ」
ベルは不満そうだ。
「カナデんとこに居るよりは安全だろうがなぁ。
アンタはどうしたいぃ?」
長老が問うてくる。
カナデの家に長居するのも悪いだろうか。
それに、この家がこの時代の一般的なものとは限らない。
サンプルは多い方がいい。
「行かせていただきます。」
長老の家は、町の中心にほど近い場所にあった。
昨日案内してもらった武器屋のすぐ側だ。
エレベーターで地下にある玄関へ降り、そこから階段で地上の階へと移動する。
防犯上の理由でこのようにややこしくなっているのだと言われた。
カナデの家は防犯など必要ないように言っていたが。
そう言うと、「あそこは変なモンは立ち入る前に死ぬからなぁ」と、少々物騒なことを聞いてしまった。
何があるのだろう、あの家は。
「このエレベーターも、カナデさんが作られたのですか?」
「ああ、そうだがぁ?」
「この町の機械をすべてカナデさんが作ったというのは、本当なのですか?」
「機械だけじゃぁなくてぇ、家も道もほとんどカナデが一人で作ってんよぉ?」
…… 。
もうこの町──というかこのジンの国、カナデが作ったと言っても過言ではないのではなかろうか。




