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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第二章 ここは本当に未来なのかも
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ケルベロスと共に、二回目の朝を

内要グダグダで終わり方が雑ですが、御免なさい。

 ジンにきて三日目、二回目の朝を迎えた。

 鳥のさえずりが聞こえ、朝日が暖かく包み込んでくれる。

 もう少し布団の温もりに浸っていたい気持ちを抑え、腕を外気にさらす。ベッドから降りて窓を開けると、暖かな澄んだ風が舞い込んでくる。

 それと、幼い声も。

 ここは林を抜けた丘の上の開けた場所に寂しく建っているから、町から届いているわけではない。もしそうならば、よほど大きい声でなければならないが、そんなはずもなかった。

 シンのものではない。

 もっと幼い、子供の声だ。窓から身を乗り出し、下を見る。

 この家は平屋だから、それほど高さがない。

 視界の端には、朝日が全身を現して間もないというのに、元気そうな子供の姿が映った。そちらに顔を向けると、三人とも気持ちよさそうに眠っていた。

 懐かしい。

 施設にいた頃は、こんな幼子どもの相手をよくしていたものだった。今頃どうしているのだろうか、あのこ等は。

 真ん中にいる男の子の頭が動いた。


「お~いっ、起きろ!もう朝だぞ

 大人たちに見つかっちゃう」


 一番体の大きな男の子が真ん中にいて、あわてた感じで抑えた声を上げながら、隣の女の子を揺すり始める。反対の隣に座っている小さな男の子は、こちらを向いた。

 手を振って笑いかけてみると、眠たそうではあったが小さく振り返してくれた。

 女の子が重たそうに瞼を持ち上げ、元に戻して手でこすっていると、真ん中の男の子が小さな男の子の手を引いて立ち上がった。


「行くぞっ」


 女の子はなかなか立ち上がろうとしない。

 そうこうしている内に、三人を影が覆った。


「ベル」


「げッ」


 カナデだった。


「昼間に来いと言ったろぉう?」


 カナデはこちらが見ていることに気づいたが、少し視線を向けるだけだった。


「ウっ」


「夜は危ないから、林を通るなと言ったよなぁ?」


 女の子を抱え上げて、小さな男の子の空いている方の手をつかむ。


「まあいい。

 朝は食ってくだろぅ?」


 そう言って小さな男の子の手を引いて見えなくなる。

 そのこの反対の手にしっかりと袖を握られていたので、大きな方の男の子もついていった。




 朝食の時

 昨日の朝と同じで、カナデは機械の上に片方の手を添えている。

 その隣(機械とは反対)には男の子が小さい方から座っていて、向かいには女の子。その隣でカナデの向かいには私が座っている。

 今日のメニューは和食だった。ワカメと豆腐の味噌汁に卵焼きと焼いた魚、カラフルな和え物と白いご飯。

 この和え物、味はいいのだが、見た目が余りにもカラフルで……内容が気になる。少なくとも私が知っている植物だけではこのような発色は困難だ。


 食べ終えると片づけは機械任せ。


「連絡はしといたから、長老が来るまで待っとれぃ」


 カナデがそう言うと、子供たち三人は玄関の方へ一目散に、駆けた。

 だがそこで小さな音がする。

 鍵が閉まるような……

 三人は扉にぶつかった。

 先頭を駆けていた大きい方の男の子はドアノブに手をかけて押し開けようとしたのだが、鍵が閉まっているらしく、開けられなかったのだ。


「逃げれると思うなよぉ」


 座って食事中手を添えていた機械を端へ寄せながら発されたその言葉は、大人げないと思った。


「今日は暇だから、一日中遊んでやれるぞぅ?」


 なんか、一気にカナデの印象が崩れてしまいました。


「あの……」


「ん?なんだぁ」


「その子たちは……」


 それで察したらしい。


「ケルベロスだぁ。

──イタズラが過ぎてなぁ、長老のとこに預けられてんだぁ。」


「ベルだ」


 いつの間にか玄関から戻ってきていて、大きい方の男の子が言った。


「わたしは、ロス。こっちは、ケル」


 後からきた女の子も、小さい方の子の両肩を持って前に出しながら名乗る。


「ケル……」


 男の子はぼんやりと頷きながら、消え入りそうな声で呟いた。


「三人は、兄弟ですか?」


 目線をあわせて尋ねると、ベルは頷いたがケルは首を傾げた。

 ロスは曖昧な表情だ。


「初めまして。私はカナデと言います」


「カナデ……遊ぼ」


 言い切るかどうかの時に、ケルが私の袖を引いた。


「じゃあそうしよっか。

 カナデ、大きい部屋行っていい?」


 ロスが賛同し、ケルの手を引く。


「あぁ、好きにしろぉ」


 カナデはベルに何事か囁いた。


「へっ本当?」


「あぁ。」


 それでベルは血相を変えて(?)喜んでついてきた。

 ロスに引かれて歩いていくと、地下へ延びてる階段が。

 もしかしてカナデの家、地下が広いのだろうか。

 外から見ると、丘の上の開けた場所にポツンと一件平屋が建っているだけなのだが。


 開けた場所にでた。天井は高く、空の映像が映っているスクリーンだ。壁に沿って木や草が生い茂り、地は丈の短い草が覆っていて、どういう仕組みか風も吹いてくる。

 まるであの丘の上が再現されているようだ。


「何する?」


「かくれんぼ……」


 ロスにケルが応える。


「それは、何?」


 かくれんぼ、遊びだろうか。

 隠れるのか?そしてどうする?

 私のいた時代、そんな遊びはなかった。

 新しくできた遊びか?


「知らない……?」


 ケルが不思議そうに首を傾げる。


「はい。」


「じゃあ、かくれんぼしよう。」


 ロスがいうと、ベルが簡単に説明してくれた。


「鬼のひとが隠れてるやつを見つけんの。」


「十秒数えるから、その間に隠れてね

 もういーかいって言われたときにまだだったらまーだだよって答えて、よかったばれちゃうから答えないの

 みーつけたって言われたら、鬼に捕まっちゃうの。

 みんなが鬼に見つかったら負けね。」


 ロスが補足を。


「鬼……ベル」


 ケルがそう言って、ロスと駆けていった。


「あんたもかくれろ

 いーち、にーい……」


 そう言い、ベルがカウントを始めたので、私も木の方へ駆けた。

 どこに隠れてもいいのだろうか。

 木に登ってみる。葉の隙間から、目を閉じて数えているベルの姿が見える。

 ここは、見えないことを祈ろう。足跡は付いていないか、地を見る。

 草が踏みつけられて汁がにじんでいる。しっかりと足跡があった。きっとすぐに見つかるが、ま、いっか。


 それが案外見つからないものだった。

 三十分ほどして、三人総出で探しに来た。


「どこ―?」


 そしてケルが木を見上げてポツリ。


「見つけた。」


「見つかりましたね。」


 木から降りていく。



「そんな真剣に隠れるなよ」


「見つけてもらえなくなるよ。」


 ベルとロスが言ってくる。


「気をつけます。」


「次、なにする?」


「いろ鬼」


「じゃぁ、それ」


 それは知っている。

 施設の中で、子供らとやっていた事があった。


「ルールは……」


「知っていますよ」


「じゃあねえ、鬼はわたし。

――クレヨン一本くださいな」


「「「何色ですか」」」





 しばらく遊んだ。

 どれほどの時間が経過したかはわからない。

 楽しかった。

 アリサの手伝いをするよりも、ずっと。

 長老が迎えに来て、カナデが呼びに来るまで。

 夢中になって、遊んでいた。

 私も子供だな。



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