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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第二章 ここは本当に未来なのかも
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ミズキ

内容が乱雑ですがお読みください

 一通り服を見せてもらい、ついでにしばらく売れ残っている物を貰った。

 外にでると、強くなった日差しが目に刺さる。

 あの時代では、こんなことはなかった。

 刺さるのは、暖かな日差しではなく凍える寒気。無防備な目にではなく、厚く幾重もの服ごしに肌へだった。


「──どこか行きたいとこはあるかぁ?」


 カナデに声をかけられる。

 ここへきた目的は、アリサの発明品の材料と需要探しのためだった。

 電気製品……は、この時代もあるのだろうか。というかある物を作ったところで意味がないな。となると軍需製品か。いつの時代でもどこにでも、様々な種類の武器には少なからず需要があるものだ。


「え~と……武器屋、などは、ありますか?」


「知り合いのとこでいいかぁ?」


「はい、かまいません。」


 そう返事をしたが、カナデには武器商の知り合いもいるのか。


「ん~……誰がいっかなぁ

──どんな種類の武器が良いとか無いかぁ?」


「機械系で」


「機関銃かなんかかぁ?」


「はい……それもですが、レーザーや発信機……レーダーや通信機などもでしょうか。そういった裏方系もできれば。

 あるのでしたら探査ロボやアンドロイド、サイボーグなども」


 少し武器から離れる気もするが。


「わかったぁ。順番に行こうかぁ」


 いくつも知り合いの店を案内してもらい、情報がかなり集まったところで、カナデの家に帰ろうとするとカナデの足が止まった。


「ン?カナデか?」


 幼い声が、下方から聞こえた。


「よぅ、シン。

──何時ぶりだぁ?」


 声の方をみると、顔があった。

 その上に腹があって、足は適度に折れ曲がっている。

 足の代わりに重力に逆らって体重を支え、地に触れているのは、薄い布に包まれた両の手だった。しかも、五本の指のうち四本は折れ曲がっている。つまり、両手の各一本、計二本の指で逆立ちしているのだ。

 因みにその指は、五本の中で最も長さが無いであろう小指だった。

 これは目立つわけだ。

 カナデの呼び方からして、この人物が例のメイの兄のシンだろう。

 知らないことに驚いていたのも、納得がいった。

 しかし、このような体勢でいると健康に良くないのでは。


「カナデが品物取りに来たとき以来だからぁ……三ヶ月ぶり?」


「そうかぁ。久しぶりだなぁ!」


 そこで、シンがこちらに目を向ける。


「あ、そのカナデの後ろにいるのは? 人間の大陸からの新入り?」


「人間の所からじゃあ無いようだぞぉ?」


「ここに定住するつもりも、今はありません。」


「気が向いたら何時でも来いよぉ」


「だれ?」


「名前は……そういや聞いてないなぁ。

 俺はカナデだぁ。」


 名乗られた。シンも続く。


「僕はライシン。メイの兄だよ。」


 片小指でバランスをとって手を振ってくる。


「……メイ。シンは兄。」


 いつの間にいたのか。いや始めからいたのであろう籠を腕にかけたメイも表情のわからない感情のない声で続いた。


「私は、観漉(みずき)佐猶(さなお)です。」


「ミズキ?」


「サナオ?」


 シンとカナデが繰り返す。


「ミズキと呼んでください。」


「わかった。ミズキ」


「ミズキ、この後帰る?」


「え?」


 突然のシンの質問に、驚いて声が漏れる。


「そのつもりですが……」


「どこへ?」


「えと……」


 確かあそこは、明き森の深き場所にある小屋。


「明き森の深き場所……ですか。」


「カナデ、知らないの?」


 シンはカナデを見上げた。


「何をだぁ?」


 カナデはシンを見下ろす。


「戦争が、始まるよ」


「またかぁ」


 カナデは腕を組んで空を仰いだ。

 その言葉だけで、どこで起きるのか、どのような経緯なのかは言わない。言わずと知れたことなのだろう。この流れだと、明き森で行われるのか?


「うん」


「統一武闘会はどうなるんだぁ?」


 心配はそこか。


「延期かなぁ?」


「それまでには終わる。」


 それまで黙っていたメイが口を挟んだ。


「そうかぁ?」


「次の勝者は、兄と勇者の引き分け。」


 開催だけでなく勝者まで予言してしまった。


「おもしろそうだなぁ!」


 カナデが笑う。

 シンは呆けた顔。


「僕が引き分け?」


「そう」


「何でそう思うの?」


「勇者は、出場させら(ださ)れる。」


「誰に?」


「国王たちに」


「そっか。

……久しぶりに、立てるかもしれないね」


 シンは微笑を浮かべた。


「ん?立つのか?」


「立ちたいね」


 カナデも微笑んだ。

 意味が理解できない。


「そうだぁ、シン、この後は暇かいなぁ?」


「何かするの?」


「うちに来て、踏んでみてくれんか?」


「メイは?」


「終わったら家まで送り届けるさぁ。」


「……帰る。」


 籠をカナデに渡してからメイは歩いていった。


「んじゃ行くかぁ」


 カナデについて、カナデの家へ帰る。

 その間、坂を上っているときも、倒れた丸太を飛び越えるときも、シンはずっと小指立ちだった。


 夕べ焼却炉のようなものが地中へ消えたあたりに立つと、カナデは地面を軽く踏みつけた。

 小さな機械音と共に明るい長方形の穴があく。


「ミズキは家に入ってていいぞぉ」


「ついていってもよろしいですか?」


「いいよ」


「危ないから自己責任な」


 その中にあった階段を下りていくと、「ぁ痛てっ」途中でシンが足を天井(地表の下)にぶつけて陥没(?)させることが二度程あったのだが、カナデは全く気にせず、「足大丈夫かぁ?」と声をかけるだけだった。

 かなり深くまで下りるとまっすぐな廊下があった。突き当たりの扉を開く。

 ここまで危険なものなど何もなかった。

 そこは、天井までの高さが100メートルはあろうかという円錐型の空間だった。少し暗い。

 中央には、長方形のマットのようなものがおいてある。


「アレ?」


「ああ。 改良型分散マットだぁ」


 カナデが足を踏み入れると、床がゆがんだ。


「良くなったの?」


 シンが小指を踏み入れると、照明がとたんに強くなった。床の歪みはほとんどない。その反動でか、カナデが3メートルほど飛び上がり、天井に当たって落ちてきた。きれいに着地する。


「眩しい……」


 シンが呟いた。同感だった。


「これ以上効率悪くすると、おまえがいないとき暗すぎんだよ」


 首をさすりながら言う。


「今だけそうしてよ」


「ん?わかった」


 すんなりと了承した。

 カナデが手近な壁に触れると、操作パネルがせり出した。

 それをどう意味があるのかわからないが一度叩くと、照明がかなり弱くなった。

 恐る恐る床を踏んでみる。

 とても堅い。

 なぜ先ほどカナデが入ったときは、歪んだのだろう。


「立ってみてくれ」


「壊れても責任とらないよ?」


 そう前置きしてから、マットの上に小指で歩いていった。

 マットの中央で止まり、徐々に姿勢を変えていく。

 畳んでいた指を開き、マットの上につく。肘をつき、頭をつき、ひざをつき、足をつける。頭を地面からはなし、肘を持ち上げ、顔をカナデに向ける。


「じゃ、立つよ?」


 そう最後に言うと、膝をあげ、手をマットから離した。

 まだ座っている。だが、照明が一段と、再び眩しくなった。


「ぁ、ちょっと待ってくれぇ」


「なに?もう立つんだけど」


「もっと効率悪くする。

 計算上、もし立ったらショートするからなぁ」


「早くして」


「応。

──それにしても、ぜんぜん使ってないのによく筋力保てるなぁ」


 パネルを操作しながら、世間話の体で話す。

 照明が暗くなる。殆ど周囲が見えない。


「動かしてるもん。

 だけど弱くなってるよ。」


 私は未だ、入り口の扉の前に立ったままだった。


「あ、ミズキ、そこの椅子座んな」


 そう言われ、壁のあたりに触れてみると入り口脇の壁がせり出し、椅子のようになっていた。

 言われたまま座ると、椅子が動き出す。

 瞬く間に天井近くへ移動し、止まった。


「落ちないよう気をつけなぁ!ベルトしとくかぁ?」


 何の必要があってこんな位置へ?ここは地上からおそらく70メートルほどの位置だ。


「もう立っていい?」


「ああ。」


 シンが腰を持ち上げた。

 膝を伸ばし、足の裏をしっかりとマットにつける。

 徐々に照明が強くなっていく。


「おお」


 床が波打っているのが見えた。


「立ててるかぁ?」


「うん。あんま違和感無いよっ

 すご~いっ」


 直立し、笑っている。

 子供のように無邪気だ。

 いや、外見は子供なのだが。

 軽く足を上げ、また下ろすと、床が波打った。

 照明も激しく明滅する。


「おう、やっとできたようだぁ」


 カナデも笑いながらパネルをいじっている。


「でも……そろそろ座ってくれぃ」


「え~、もう?」


「これ以上は照明が持ちそうにない。

──切り替えるから、座って待ってて」


「了か~い……」


 シンが長座すると、また照明が明滅する。


 一旦暗転し、照明がつく。


「立っていいぞぉ。

……そのマットの上に限り自由に動けぇ」


 シンが歩いても照明は明滅しない。


「あの~……」


 忘れられている気がする。


「ん?あ、降りてきていいぞぉ?」


 本当に忘れられていたようだ。


「そんなこと言われても……」


「落ちても死なねぇから」


 なんか扱いが雑だ。気にしてはいけない。私の扱いはいつもこんなだ。

 意を決して飛び降りる。

 ぁ、やっぱ高い。死なないって言われたけど、けがは絶対する。骨折するかも。

 あまり上手く受け身体勢とれなかった。

 肩から落下。ぁ、外れたかも。

 床が波打ち、衝撃を吸収する。

 肩は痛いが、ふつうに立てた。

 うん、肩痛い。


「飛び降りるの下手だなぁ。」


「うん、下手。」


「うるさい」


 どうせ下手さ。

 私は何にもできないさ


「ウジウジしてる~」


 シンに笑われた。


「してないっ」


「してるな。」


 カナデにも言われる。


「してないっ」


 しばらくいじられた。

 シンはマットの上に座ってケラケラ笑い、カナデはパネルを操作して動画を撮り始めた。

 「やめてよ~ぅ……グスッ」

 最後は半泣き。客観的にみていなければ、もうやってらんないよ畜生っ!!





 実際に町を感じてみると、窓から見た光景の一部が理解できた。シンを家まで送るためにカナデと別れる際、


「お世話になりました。」


そう言って森へ帰ろうとした。

 戦争が始まる前にアリサたちと合流しなくては。

 だが止められた。


「おぅ、待てぇ」


「どうかしましたか?」


「シンに、キルツとマルクの間に戦争が始まるとぉ聞いたろ。

 一週間は明き森の深き場所より向こうへ行かない方が良ぃぞぉ」


 それは何となく聞いている。

 だが


「一週間……ですか?」


 これから戦争が始まるにしても、すでに始まっているのだとしても短い期間。それほどに戦力差が圧倒的なのか。


「あぁ。

 キルツとマルクの戦争は互いの兵を巻き込んではいるが子供の喧嘩みたいなモンさぁ。大抵半日くらいでぇケリが付く。

 そっから条約結んで和解なんだが、今回は勇者の一件が絡んでるらしいから、交渉が長引くかもしれん。」


 勇者のくだりはわからないが。


「そういうことですか。」


 にわかには信じ難いことだ。

 だが、それならばアリサたちに危険は及ばないだろう。


「それまで行くとこあんなら行けばいいが、ないんなら家に居りゃいい」


 少し考えたが、アリサなら兄も幼なじみもいるから大丈夫だろう。


「お言葉に甘えさせていただきます。」


これが地だったりしませんよっbyミズキ

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