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ここは本当に未来だろうか  作者: 言正日月
第二章 ここは本当に未来なのかも
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町へ

一部ネガティブな時に書いたので文章がアレです。


 家を出て、施錠もせずに坂を下っていく。


「施錠はしなくても、いいのですか?」


「盗むモンなんか居ねぇよ。」


 そういうものなのだろうか。

 カナデの家は丘の中腹にあったらしい。

 暖かな陽を浴びながら木々の間を抜ける。

 この時代についてから、一応薄での服に着替えておいたが、やはり凍えるような寒さの時代からきたせいで、余計に暑さに敏感になっているのだろう、汗ばんできた。羽織っていたものを脱ぎ、腕にかける。

 だが、習慣で、首のネックウォーマーだけは外さない。

 これは、マザーがわざわざ手作りをして、施設の子供全員に渡してくれたものだ。薄手の服でも重ね着すれば体は暖かくなるが、首は寒い。

 マフラーだと多く布がいるからと、マザーはこの形を選んだ。正直、色も形もセンスがいいとはいえない。だが、それでもつけていたい、大切な品だった。

 森を抜けると、少しずつ建物が増え、道路には自動車も走っていた。

 通り過ぎる影と上から聞こえるタイヤの音に目を向ければ、限りなく透明に近い道路の上を車が走っている。遠くの道路をみれば、まるで飛んでいるようだ。

 これは、未来……?

 少なくとも、私のいたあの地域では、人々は辺り一面の銀世界の下に暮らしていた。文献でみた過去にも、飛ぶ車はでてきていない。

 自動車に運転席はなく、談笑しながら横を向いている者も多く見かけることができた。


「ここはぁジンの国で一番科学が発達している古族の町だぁ」


「コゾク……?」


「あぁ、俺たち古代後を受け継ぐ部族の略称だぁ。」


 ()代語を受け継ぐ部()……か。


「どうして、ここがもっとも発達しているのですか?」


 もしかして、古代語……と関係がある?


「俺が全部作ったからなぁ」


  ──……ぇ?


「ただ、たまたま近くの遺跡で出た文献のを()加えてやっていったらこうなっちまったんだなぁ……」


 偶然ということか、このカナデがすごいのか。


「まぁ、ほかの町はこんな設備ぃ必要としてないからなぁ。」


「どうしてですか?」


「ん?だってほら、あれだろぅ。」


「アレ?」


「人間以外に、こんな設備を求めるモンはいないからさぁ……。

 ここ以外には、小さな町しかないんだよ、人間のはなぁ。他はいろんな種族()が混ざっとるから、その土地土地で必要なモンが発達しとるよぉ。」


 そういうことか。

 求めないから、発展していないのか。

 やはり、人間は強欲だなぁ。

 科学の発達を望むのは、人間だけらしい。人間は、ただ発達しているだけであり、本当は、何よりも馬鹿で、愚かなのだ。そうでなければ、あんなことは起きないだろう。


 私は「どうして人間なんかに」生まれてきてしまったのだろうか。


「ん?

 なんか言ったかぁ?」


 いけない。言葉にでていたようだ。


「いいえ、なにも。」


「そぅかぁ。ならいいやぁ。

──服屋はあっちだぁ。」


 そう言うと、歩いていった。

 全体的に白い建物が多く、高層ビルもないために空が見える。

 車道はほぼ透明で、車の影が直接降りかかってくる。不思議な気分だった。

 少し歩くと、角にカラフルな建物があった。

 その辺一体では最も高い、四階建ての建物で、外壁には装飾品が描かれていた。

 入り口に近づくと、半透明な自動ドアが斜め上下に分かれて開いた。なんだか無駄に凝っている。


「お~い」


 カナデが呼びかけると、店の奥──レジのようなカウンターの方から機械音が止み、声が聞こえた。


「誰。」


「カナデだぁ」


 顔を出したのは、カナデと同程度の歳だろうと思われる、短髪の女性だ。


「カナちゃん。」


 そう言うと、てこてこと歩いてきた。


「三年前の分。」


 カナデの手を取ってその上に、手にしていた球体を置いた。

 その球体は見る角度によって色が違って見える。

 どんな材質でできているのだろうか。


「また壊れたのかぁ?」


 女性は頷いた。


「用は。」


「服、見せてくれぇ」


「どれ。……キルツの?マルクの?ジンの?人間の大陸の?獣の大陸の?スパよ──」


「キルツのだぁ」


 早口でまくし立てるように言ったのを、カナデが遮る。


「マリアの?ソフィアの?シエラレオネの?ピクシーの?ラパスの?トお──」


「ソフィア辺りでいいんじゃないかぁ?」


 また、遮った。


「最近の?古いの?」


「両方頼む」


「……わかった。三分くらい、待ってて。」


 そう言うと、レジカウンターの後ろの階段を上がっていった。


 それを見届けると、カナデは、どこから出したのか工具を用いて不思議な球体をイジり始めた。


「あの」


「なんだぁ?」


 声だけ返してくれたが、おそらく、殆ど聞いていないだろう。


「あの方は……」


「あれは、メイってんだぁ。

 シンの妹だぁ」


 つい首を傾げてしまう。

 その間を感じ取ったのだろうか。


「シンも知らんのかぁ?」


 と、尋ねてきた。

 その人物を知っているのが当たり前と思っているのだろうか。それほどこの国では有名なのか?


「……はい」


「シンは人間の大陸から来てなぁ、この大陸の統一武闘会で優勝した奴だ。 普段は逆立ちして歩いてるなぁ。」


 統一武闘会というものが催されるのですか。 大陸の──ということは、精霊や魔族も参加している? そこで優勝したということは、強いのか?

 もしくは悪目立ちしているということか。


「それも知らんのなら、おまえさんは獣の大陸から来たのかぁ?」


 獣の大陸……人間もいるのだろうか。

 それほど深い疑問ではなかったらしく、すぐに他の話題へ移った。


「確かぁ……もうすぐ今年の武闘会が開かれるんじゃなかったかぁ?」


「一月後」


「あぁ、そうそう一月後だぁ。」


「メイさん……」


 あまりにも自然に割り込んできたので、つい、先ほど教えてもらった名前が漏れた。


「何」


 冷たい顔で返事をされ、困ってしまう。


「何でもないです。」


「服、持ってきた」


「おう、ありがとぉ

……コッチも直したぞぉ」


 カナデから球体を受け取り、無造作にポケットへ入れてメイが広げてくれた服は、ドレスだった。

 サイズは子供用のようで、スカートは短く、ノースリーブの。


「ソフィアのかぁ?」


 メイは頷いた。


「そう言った」


「言ったなぁ。

──今のかぁ?」


 メイは頷く。


「大きい方は、しばらく作ってない。」


「残ってないかぁ?」


「見てくる」


 そう言って、メイはまた階段を上がっていった。


「ソフィア国王は、子供なのですか?」


 そう質問すると、「ああ、見た目はな。」と答えてくれた。


「見た目は?」


「精霊は魔法で姿形を変えられるからぁ、ソフィア国王は幼い姿をとってるんだぁ。

 本当はかなり美しいお嬢さんだと聞いたぞぅ?」

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