始まりの偶然
一緒に暮らす事をあきらめかけた帰り道
話し合えば合う程 不可能 の文字がその場の空気を重くした
もうしばらく遠距離恋愛は続くんだね
・・・でももう持たないかもしれないよ
そんなに強くないんだよ
貴方はその気持ちに気付いてた
不安な気持ちを必死に隠しおどけて笑ってみせてた
一緒に暮らす事をあきらめかけた帰り道
偶然・・・二人の巣となる物件を見つけてしまう
これって夢にみた光景かも・・・
その部屋の契約はその日のうちに完了した
さっきまでの重い空気は一気に消え
二人はしゃぎながら仲良く別れの駅まで歩いた
もうすぐこうした駅でのさよならもしなくなるね
やっと一緒になれるね
契約書一式の入った大きな封筒を彼は大切そうに抱えていた
数週間後から始まる二人の生活
出会いからこの日まで何度も離れそうになった心
寂しさ・・・見えない不安・・・そばにいない事へのいらだち
すべて乗り越え一歩ずつ歩いて来た二人
勢いだけでこうしているのかもしれない
でも・・・勢いがあるうちにしか
人生を変えるような出来事を起こせないのだから
今のこの選択はきっと意味がある
そう自分に言い聞かせ信じて一歩を踏み出してみようと心に誓った
単なる心配性なのか
なんとなく
心にひっかかるモノがあった
それが何なのかいくら考えても思い当たらなかった
何かが起こりそうな
単なる新生活への不安
誰にでもある事ならいいけど
この日から運命は
軌道を走る列車のように
猛スピードで加速し始める
二人が出会った意味を知る方向へ
続く




