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1.理不尽に争う者

 己を犠牲に人々を救った「彼」は、転生を繰り返してもなお、自己犠牲を繰り返した。

 そんな「彼」に神は強大な力を授け、再び転生させるも彼の本質は変わらない。

 これはそんな「彼」の長く残酷な物語である。

 

 神々が使用する法廷は球場のように広い空間で、360°茶色い席が階段のように埋めつくし、その中央には証言台がおかれている。

 ここで今日「果実」を食べた罪で2人の人間が裁かれた。

 裁判と言うには、あまりにも容赦なく、同情なく、一方的なものであり、「相応しい罰を決める」ためだけのものだった。

 判決が下されて神々が解散した法廷は、ついさっきまでの罵詈雑言の嵐が嘘だったかのように静まり返っていた。

 そんな法廷に二人の神だけが残って話をしていた。

「あの二人はこれからどうなる?」

「子を作り、その子はさらに子を作る。そうしてあの二人を追放した星は人間の星となるだろう。」

「人間は神に似せて作られた。神が何度も戦争を繰り返したように、彼らの子孫は対立し、支配し、差別し、殺し合うだろう。」

「そうだろうな。だからこそ『罪』と向き合うための償いなのだ。」

「あの二人が『果実』を食っちまったのは俺ら神の監督責任だと思うんだ。」

「確かに一理ある。だが神とて完璧では無い。全てのトラブルを防ぐことなで出来ぬ。」

「それでも…俺は最善を尽くしたい。」

「何をするつもりだ?」

「俺は━━━━━━━」」

 


 どこまでも広がっていそうな真っ白な世界で一人の少女が涙ながらに俺に告げた。


「あなたはとても立派な最後を迎えました。」


 神の事を信じた事は、一度もない俺だが、得体のしれない直感が、この少女が神様であると教えてくれた。


「次は自分のために生きてください。」

「…わかりました」


 口ではそう言ったが本心は全くの真逆の考えが浮かんでいた。

 少女はそれを感じ取ったのか残念そうに「あなたは本当にバカ者です。」とため息をつき俺を新たな世界へ転生させた。

 

 それからはただ誰かのために死に続けた。

 

 トラックに跳ねられそうになっている少女を庇って、事故死した。

 

 ある村では神の生贄にされそうになっていた少女の身代わりになって、その身を神という名の空想に捧げた。

 

 戦争を終わらせるために戦争を始めた張本人としての罪を被り処刑された。

 

 独裁者から国民を解放するため自爆テロを起こした。

 

 間違った医療法を否定した。

 世界中からバッシングされながらも正しい医療法を自らの体を実験台にして研究を重ねて生み出し、それを世界的な名医に大金を渡して発表させた。

 予想通り、無名の俺が言った時とは違って世界中がその医療法を認め、賞賛した。

 当然見返りなんてなかった。残ったのはボロボロの体と莫大な借金だけだったが、それでも多くが救われたのなら俺は良かったと思う。

 

 心臓が悪い病人に自身の心臓を譲った。

 

 死を繰り返すたびに神様は俺のために涙を流してくれた。

 

「ごめんなさい。私があなたを狂わせてしまった。あの日、あなたはとても立派な最後を迎えたなんて言ったから…いやそもそも私達神が…」

「あなたが悪いわけではありません。俺が自分に価値を見出せないからこうなったのです。だからあなたは俺に頭を下げる必要はありません。」

「ごめんなさい…今度こそあなたを救って見せます…だから…どうか自分を大切にしてください」

 

読んでいただきありがとうございました。

本作品はチート能力を持つ主人公が自己犠牲を繰り返し、人々を救っていくと言う陰鬱な内容が多いですが、死ぬべき人間はしっかり○していく予定なので、安心して読んでください。

今後も彼の物語は続きますので、引き続き読んでいただければ嬉しいです。

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