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間章:声にならなかった独白①
あのとき君がくれた小石は、ちょっとだけ欠けていた。
角が丸くて、ほんのりピンク色で、見ようによってはハートの形にも見えた。
「変なの」って笑った君の顔が、今でも脳裏に焼きついてる。
あれは、拾った石だって知ってたよ。
誰かのためじゃなくて、たまたま目についたものだったんだろうって。
でも、それでも。
そのときだけは、「君が僕のことを見てくれてる」って、思ってよかったよね?
そう思って、大事にポケットにしまった。
それが、僕の最後の日だった。