第19話 純白の門出(1章最終話)
【追記】
冒頭のシーンを加筆修正しました。
以前の文章はミステリー感を出すため抽象的すぎたためです。
<桃里語り>
”俺は気づいている”
そう運命に告げた。
自分のなすべきことにようやく気づいた。
神楽コーポレーションにとって最適な未来のため、自分は一歩踏み出すことを決めた。
先日、社内でとある出来事が起こり、とある人物を見かけたことから始まった。
昔から自分は気づきたくないことにもよく気がついた。
勝手に目に入ってくる状態だ。もはや運命か本能レベルだ。
その人物を目にした時に一瞬何か違和感を感じたが、急には思い出せなかった。
だがその人物が口を開いた時にどこかで聞いたような口調だと記憶が蘇った。
そこから導き出される様に、過去からのいくつものキーワードが散りばめられていることに気がついた。
「あぁ、そういうことだったのか」
と今にしてようやく理解した。
やはり違和感を感じること、納得の行かないことはきちんと解明しなければならない。
「しかるべき正しい方法で、ですね」
双子兄の桐弥がそう尋ねてきた。
「もちろん。俺は精神的にも潔癖だからな。徹底的にやるさ。もちろん正しい方法で」
俺はそう答えた。
「桃里は一度決めたら最後まで粘りますからね」
桐弥がいつものアルカイックスマイルを浮かべながらそう言った。
「当然だ。そうでなければ大事なものは守れない」
今、俺と桐弥が動いている案件は後々判明することになるだろう。
しかるべく結果をもって。
3月、春になった。
紅玉が高校を卒業した。
卒業式にはご両親と自分も参列した。
制服姿で壇上に上がる彼女の姿はとても眩しかった。
そして卒業式の翌日、俺たちは入籍した。
自分が24歳、紅玉18歳。
俺は神楽桃里になった。
結婚式は神楽神社で神前式を挙げた。
準備も兼ねて前日からの1泊2日、今度は神楽家の家族も一緒に。
神前式は神楽家だけで行われた。
紅玉の白無垢姿はまるで天上の者の様で本当に美しかった。
後日、披露宴を行ったが、こちらも親族だけのささやかなものにした。
正直言って、紅玉の可憐なドレス姿をあまり他人に見せたくなかった。
鳳条家の両親からは、
「会社の上層部や関係各所を招いたもっと盛大なものにするべきだ」
と口やかましく言われたが、まったく耳を貸さなかった。
自分の両親の言うことは政略結婚ならば当然だが。
いっそのことコンサートホールでも貸し切ってやれば良かったか、なんて想像した。
紅玉からは、
「合併した後の、桃里さんの立場に影響しないですか?」
と現実的な心配をされたが構わない。
もし立場に影響するならば、他にも理由を何とでもつけて影響させてくるだろう。
俺にとっては紅玉を他の人間の興味や嫉妬の目に晒すリスクの方を避けたい。
他人のスマートフォンに彼女の写真が残るのも嫌なので、披露宴での撮影はご遠慮頂いた。
その代わり双子のカメラマンに専属で撮影をさせて、後日出席頂いたお礼と共に記念撮影した写真をお渡しした。
神楽家の家族には好きなだけ撮影してもらっても構わなかったが、そういうルールにしたので、こちらはアルバムにして数冊分を作成してご両親と祖母に贈った。
神楽邸の本邸から連絡通路に続く新しい住宅も完成した。
先日、家具を入れる作業が完了した。
ようやく落ち着いた2人の居を構えることが出来る。
俺と紅玉の新しい生活が始まる。
まだわからないことは沢山ある。これから探し出すこと、会社のこと、紅玉の運命のこと。
だが俺は紅玉と共に生きるため、新しい一歩を踏み出したのだ。
<第1章 完>
ここまでお読み頂き本当にありがとうございます。
こちらで「第1章 高校生編」が完結となります。
第19話はポイントだけ抑えた短いものになってしまいましたがひとまずUPさせて頂きました。
後日この19話だけは加筆させて頂きます。
次回から「第2章 大学生編」になります。
お読み頂ければ大変ありがたいです。




