帰納法
帰納法とは、あるものごとを観察し、事例やデータを集め、得られた結果から一般的な法則を導き出そうとする考え方です。
帰納法とは? 演繹法との違いや、実際の事例も併せて解説
キャリトレ https://www.careertrek.com/article-category-3/52
事例→傾向→結論
「帰納法」という言葉を聞いたことはありますか? 帰納法は思考法の一つで、複数の事例などから共通点を探し、根拠をもとに結論を導き出す方法です。帰納法に対して、演繹法という思考法が引き合いに出されることがありますが、演繹法は帰納法とは結論の導き出し方が違います。 しかしどちらの思考法も結論を導き出すという点では活用できるので、帰納法、演繹法ともに覚えておいた方が良いでしょう。両方を使い分けることによって、効率良く結論が導き出せます。 それでは、帰納法とは何か、さらに演繹法との違いについてもご説明しましょう。
目次
帰納法とは? 複数の事実・事例から見つける思考法
演繹法との違い
目次
帰納法とは? 複数の事実・事例から見つける思考法
演繹法との違い
帰納法と演繹法の使い分け
帰納法の実例
まとめ
帰納法とは? 複数の事実・事例から見つける思考法
帰納法とは複数の事実や事例から導き出される共通点をまとめ、共通点から分かる根拠をもとに結論を導き出す方法です。複数の事実や事例を挙げることによって相手に納得感を与え、導き出される結論が一般論になるのが基本です。
たとえば「日本の景気が悪い」「アメリカの景気が悪い」「中国の景気が悪い」という3つの事実があったとする場合、これらに共通しているのは「景気が悪い」という事実です。
つまり、共通点から導き出される結論は「世界的に景気が悪いのではないか」という一般論となります。主要国の景気が悪化しているとなれば、世界的に景気が悪化しているといわれても不思議ではありません。
ただし、ここで気を付けたいのは、他にも導き出される結論があるかもしれないということです。先ほどの結論は世界的に景気が悪いのではないかというあくまで一つの結論であって、人によっては「先進国以外は景気が良いかもしれない」「先進国だけが景気が悪い」といった別の結論に至ることもあるでしょう。
演繹法との違い
帰納法とは別に、演繹法という思考法があります。演繹法の特徴はルールや法則に基づく物事から結論を導き出すということです。帰納法は複数の事実や事例から一般論となり得る結論を導き出しますが、演繹法は一般論に基づく物事に当てはめて結論を導き出すという違いがあります。
たとえば演繹法の場合、「緑黄色野菜には栄養がある」という一般論に対して、「ニンジンは緑黄色野菜である」という物事を当てはめた結果、「ニンジンには栄養がある」という結論になります。
対する帰納法の場合、「ニンジンには栄養がある」という事実や事例に対して「ニンジンは緑黄色野菜」という共通点を導き出した結果、「緑黄色野菜には栄養がある」という結論(一般論)となります。
このように演繹法と帰納法は結論の導き出し方が逆になっているので、うまく使い分けることができれば、より正確な結論を導き出すことができるでしょう。
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演繹法の詳しい説明に関しては、こちら
帰納法と演繹法の使い分け
前述したように、帰納法と演繹法をうまく使い分けることによってより正確に結論を導き出すことができます。したがって、帰納法と演繹法をうまく使い分けるためには、問題の種類や仕事の種類によって決めるのがおすすめです。
物語を書く場合を例にあげてみましょう。 演繹法の場合は結末が決まっていないうえで物語の内容を組み立てていきます。物語を構成している主人公やその背景を思い浮かべたとき、主人公は何に悩んでいるのか、どうしてその行動をしないのかなど、心情を理解したうえでどのような結論に行きつくのかを説明します。
帰納法の場合は結末を先に述べて、その結末になぜ至ったのかを説明していく方法です。 結末がはっきりしていることから、必要のない説明を省くことができます。
帰納法の実例
帰納法を活用する場合、さまざまな事実や事例から見つかる共通点を突き止め、そこから根拠となる部分を導き出して一般論となる結論にたどり着くのが目的です。帰納法を用いた実例は多くあるので、コツが分かればうまく活用することができるでしょう。
それでは、帰納法の実例をご紹介しましょう。
例1|売り上げを伸ばしているチェーン店
「競合小売りチェーン店Aは単品管理を導入したことで、売り上げを伸ばしている」 「競合小売りチェーン店Bは単品管理を導入したことで、売り上げを伸ばしている」 「競合小売りチェーン店Cは単品管理を導入したことで、売り上げを伸ばしている」 という3つの実例がありました。
3つの実例に共通していることは、「全ての競合小売りチェーン店で単品管理を導入している」ことです。つまり、一般論となる結論は、「自社も単品管理を導入する」というものになります。
ただし、単純に考えればこの結論で良いと思うかもしれませんが、あくまで一つの結論でしかなく例外があることを忘れてはいけません。一つの結論を導き出したうえで、「例外があるとするなら、何があるのか?」ということを考えることで、さらに売り上げを伸ばすチャンスがあるかもしれません。
例2|化粧品の企画業務
「敏感肌の人は肌に過度に負担をかけずに美しさを表現できる敏感肌用美容液を求めている」 「肌に過度に負担をかけずに美しさを表現できる敏感肌用美容液には強い競合が存在しない」 「肌に過度に負担をかけずに美しさを表現できる敏感肌用美容液は自社の特許技術が生かせる」 という3つの実例がありました。
3つの実例に共通していることは、「自社にしかできない、肌に過度に負担をかけずに美しさを表現できる敏感肌用美容液は魅力的な市場である」ということです。つまり、一般論となる結論は、「自社は肌に過度に負担をかけずに美しさを表現できる敏感肌用美容液の分野に参入する」というものになります。
例3|プロジェクト
「ミーティングで共有しようとしている資料はプロジェクト全体に影響を与える重要な内容が含まれている」 「ミーティングで共有しようとしている資料は見ただけでは伝わりにくいニュアンスが含まれている」 「新しくプロジェクトに参加したメンバーとの意識の統一を図る必要性がある」 という3つの実例がありました。
3つの実例に共通していることは、「メールで共有するよりも顔を合わせたミーティングの方が今後のプロジェクトの進行がスムーズになる」ことです。つまり、一般論となる結論は、「ミーティングをセッティングする」というものになります。
まとめ
演繹法と帰納法による思考法は、結論の求め方は異なりますが、さまざまな場面で役に立つ方法です。演繹法はルールや法則に基づく物事に当てはめて結果を導き出すものですが、帰納法は複数の事実や事例から共通点を導き出し、一般論となる結論にたどり着くための方法です。
この2つの思考法を状況に応じて使い分けることで、より正確な結論を導き出すことができるでしょう。ただ、演繹法にも帰納法にも活用する際の注意点があるので、一般論や結論をうのみにせずに考えることが大切です。
帰納法とは? 演繹法などの推論方法、帰納法の仕組みや活用法について
カオナビ2020/09/17
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帰納法とは、個別的事例から普遍的な法則を見出そうとする論理的推論の方法のことです。ここでは、演繹法などの推論方法や帰納法の仕組みなどについて説明します。
目次 [表示する]
1.帰納法とは?
帰納法とは、個別的事例から普遍的な法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。特徴は、さまざまな事実から導き出される傾向をまとめあげて、結論へ結び付けるプロセスで、別名「帰納的推論」と称されます。
帰納が抱える問題
一般的に帰納法は、確率や確度といった蓋然性(確実性の度合い)の導出に留まると考えられています。複数の事実から同一の傾向を導きだして、結論に紐付けるという性質があるため、断定的な意味合いが演繹法より薄い印象を与える場合もあるのです。
マーケティングやアンケートの結果を重視し、論理展開を行う際に適しているでしょう。
帰納法とは、さまざまな事実から導き出される傾向をまとめあげて結論へ結び付ける「論理的推論方法」のことです
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2.帰納法以外の推論方法について
「帰納」という言葉は、広義には演繹ではない推論全般を指しますが、狭義には枚挙的帰納法を指す言葉として使われています。ここでは、帰納法以外の推論方法について演繹法や枚挙的帰納法を用いながら説明しましょう。
演繹法
枚挙的帰納法
アナロジー(類推)
アブダクション(仮説形成)
①演繹法
演繹法は、誰しもが知っている普遍的な事実を前提として、そこから結論を導き出す方法です。たとえば下記のような使い方があります。
<前提1>馬は哺乳類である
<前提2>哺乳類には血液が流れている
<結論>(たぶん)全ての馬には血液が流れている
2つの普遍的な情報を前提に、結論を導き出せます。このように演繹法では「一般論」を前提とするという基本があるのです。
②枚挙的帰納法
枚挙的帰納法は、ある特殊な命題から一般的な命題を導くという推論方法のこと。帰納法に近い性質を持ち、事実を対象として、ある事実から一般的事実を導くという意味合いが強いといえます。使い方の例は、下記のとおりです。
<前提1>犬は動物である。
<前提2>猫も動物である。
<結論>(たぶん)全ての犬は動物である。
③アナロジー(類推)
アナロジーは日本語で「類推」といい、AとBで「似ている要素」を洗い出した上で、BをAに当てはめて考えることを指し、知っている情報を「知らない分野」に当てはめて応用するという要素があります。下記は、アナロジーとしての一例です。
<前提1>日本酒はお酒である。
<前提2>焼酎は日本酒と似ている。
<結論>(たぶん)焼酎はお酒である。
④アブダクション(仮説形成)
アブダクションとは演繹法や帰納法に近い推論方法で、とある結論がなぜ導かれたのか分からない際、それが正しいのかを論じるための方法として使用されます。下記は、アブダクションとしての一例です。
<前提1>子供がうずくまって泣いている。
<前提2>「転んで強く膝をぶつけると子供は泣く」と仮定すると、「その子供はあの段差で転んで膝をぶつけたはずである」がうまく説明される。
<結論>(たぶん)その子供は転んで膝をぶつけたはずである。
帰納法以外の推論方法に、演繹法、枚挙的帰納法、アナロジー(類推)、アブダクション(仮説形成)などがあると言えます
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3.演繹の欠点
演繹は、1つ以上の一般論から論理法則に基づいて結論を導く思考ですが、一般論が間違っていれば、導き出される結論も間違ってしまうという問題点があるのです。つまり前提にする事象や観察事項を、慎重に選ばなくてはなりません。
演繹は情報量が増えない
演繹は、一般的なものから個別的なものを導く推論という性質を持つため、結論となる内容は全て前提に含まれているといえます。また前提に主観が混じってしまうと、論理が崩れてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
演繹でない推論は情報量が増える
すでに知っている普遍的な情報を新しい情報と組み合わせる思考方法のため、演繹でない推論は情報量が増えると考えられます。演繹的論理展開は、包含関係で考えると分かりやすくなるケースも少なくありません。
演繹は真理保存性が働く
演繹は前提が正しければ必ず結論も正しいという性質上、真理保存性が高いといえるでしょう。しかし前提に結論が含まれるため、「新たな知識が得られない」という欠点もあるのです。
演繹は、一般論から論理法則に基づいて結論を導く思考です。前提が間違っている場合、結論も間違ったものになってしまうという問題点があります
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4.枚挙的帰納法の欠点
枚挙的帰納法の欠点として指摘されるのは、「早すぎる一般化」です。枚挙的帰納法で仮説を正当化する際、なんらかの障壁があるとも考えられます。
たとえば「ウイスキーには水が入っている」「ワインにも水が入っている」「カクテルにも水が入っている」、つまり「水を飲むと酔う」という極端な展開になってしまいかねないのです。
事実の理論負荷性
事実の理論負荷性も、枚挙的帰納法の欠点といえます。事実の成立を可能とする理論的文脈なしに、事実は存在し得ないとも考えられており、絶対的な客観性は困難という考え方もあるのです。
つまり帰納の前提となる事実を、容易に信頼できません。そこには、思い込みや先入観のない事実は存在しないという意味合いも備わっているのです。
帰納の飛躍
枚挙的帰納法のプロセスでは、どれだけ多くのデータや事実を収集してもその数は有限です。そのため無限の事柄を言い当てるという肯定を導くことが難しい、との指摘もあります。
つまり枚挙的帰納法には、有限から無限へという極端で無理難題な飛躍があるとも捉えられるのです。これこそが枚挙的帰納法の課題といえます。
簡潔性原理の前提
また枚挙的機能は簡潔性の強い原理の前提とも考えられます。自然法則は簡略な体系を持つことを前提にしなければ、集められた情報から一意的な決定ができません。
複数の法則に帰結するのであれば帰納は意味を持ちませんが、現実には多様性が伴います。よって簡潔な法則を選ぶという前提も考えられますが、その原理自体を帰納で証明することは難しいのです。
枚挙的帰納法の欠点としては「早すぎる一般化」などの指摘があり、ビジネスシーンでは特に注意が必要です
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5.帰納法の例
複数の現象や数値などの観察事項現象における共通項を見い出して、結論を導き出すのが帰納法です。帰納法の事例について、市場環境の視点や競争環境の視点、自社の視点などから紹介しましょう。
帰納法を取り入れた事例
帰納法には以下のような事例があります。
「東京都民の通勤時間は長い」……観察事項1
「愛知県民の通勤時間は長い」……観察事項2
「大阪府民の通勤時間は長い」……観察事項3
「福岡県民の通勤時間は長い」……観察事項3
「よって大都市圏に住む人の通勤時間は長い」……ルール(一般論)
このように、さまざまな事例から導き出される傾向を、まとめて結論につなげる性質を持ちます。
市場環境の視点
「日本の洋菓子市場は規模が拡大している」……観察事項(市場環境の視点)
帰納法はさまざま物事から共通点を導き出し、結論付ける論理展開を進めますが、最初は市場環境の視点を簡潔に洗い出し、展開するという流れになります。
ここでは日本における洋菓子市場と例に挙げて帰納法を具体的に説明しましょう。まずは市場環境の視点から見い出します。
競争環境の視点
「日本の洋菓子市場は強い競合企業が存在していない」……観察事項(競争環境の視点)
「日本の洋菓子市場は規模が拡大している」……観察事項(市場環境の視点)
複数の事例から共通点を見つけて結論を導き出す帰納法では、物事の論理付けをしながら展開します。その際、「市場環境の視点」の次に「競争環境の視点」を追加するのです。
自社の視点
「日本の洋菓子市場は強い競合企業が存在していない」……観察事項(競争環境の視点)
「日本の洋菓子市場は規模が拡大している」……観察事項(市場環境の視点)
次に物事の論理づけとして、観察事項の「自社の視点」を追加します。
「日本の洋菓子市場では、自社の特許製法を活かせる」……観察事項(自社の視点)
実例をもとに共通点を見出す
「日本の洋菓子市場は強い競合企業が存在してない」……観察事項(競争環境の視点)
「日本の洋菓子市場は規模が拡大している」……観察事項(市場環境の視点)
「日本の洋菓子市場は自社の特許製法を活かせる」……観察事項(自社の視点)
つまり、「自社にとって日本の洋菓子市場は魅力的な市場と言える」
市場環境、競争環境、自社の視点という3つの事例から、日本の洋菓子市場は自社にとって魅力的だという共通点が見つかります。
共通点を根拠に結論づける
「よって自社は日本の洋菓子市場に参入すべきである」
最後に共通点を根拠として結論を見い出します。この例では、日本の洋菓子市場は3つの視点から大変魅力的な市場であると分かった点から、日本での出店に乗り出すべきという結論が導き出されました。
「事例自体が間違っていないかどうか」「共通点を見い出す際に飛躍がなかったか」などへの注意も必要です。
一例のように、帰納法は、「共通点を根拠として結論を見い出す」という論理的手法だと分かります
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6.帰納法はロジックチェックが必要
帰納法はロジックチェックが必要という性質を持っています。特に情報の入手経路が単一である場合、複数の事実から導き出された結論とは言えず、論理的推論が成立しない場合もあるので注意が必要です。
帰納法が破綻する3つの原因
帰納法の論理がきちんと成立しているかどうかについては、「なぜならば」という接続詞を用いて論理展開をチェックしてみましょう。
気を付けたい注意点は、帰納法は複数の「状況証拠」から共通点を見い出して結論づける使い方であること。ここでは、帰納法が破綻する3つの原因を説明します。
状況証拠自体に間違いがある
状況証拠から共通点を見出す際に飛躍がある
共通点から結論に至る筋道に飛躍がある
①状況証拠自体に間違いがある
事例が間違いだった場合、共通点や結論付けを行う際も間違えてしまうため、その論理は破綻してしまいます。「状況証拠」を洗い出す際は、より慎重にならなければなりません。
②状況証拠から共通点を見出す際に飛躍がある
共通点を見い出す際、飛躍を誤ってしまうと、論理全体に矛盾や間違いが生じてしまいます。「なぜならば」という接続詞を用いて、正しく展開されているかどうか、常にチェックしましょう。
③共通点から結論に至る筋道に飛躍がある
共通点を見つけ出すときに例外が見つかった際、その論理が破綻に導かれる可能性が高くなります。とはいえ一度破綻を見つけたとしても改めて論理展開を行っていけば、新しい発見が生み出される可能性もあると考えられているのです。
帰納法はその特性上、見いだされた状況証拠や共通点から論理的推論が成立しないこともあるので注意しましょう
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7.帰納法を習得することで得られるメリット
帰納法は、論理的な思考を行っていくと、ビジネスシーンでの活用も可能です。またさまざまな能力が鍛えられるともいえます。ここでは、帰納法の習得によって得られる4つのメリットを紹介しましょう。
分析力の向上
問題解決能力の向上
コミュニケーション能力の向上
生産性の向上
①分析力の向上
論理的な思考は、さまざまな事象や問題に対して、「問題の分類」「因果関係や相関関係の解明」「分解から適切な対応策や判断を導き出す」などを可能にします。
問題をただやみくもに考えたり、その場だけの一時的な対応をしたりするのではなく、問題の吟味や関係性の理解から課題を深掘りできるのです。
②問題解決能力の向上
一般的に問題解決をする際、問題が発生した箇所や背景の特定が欠かせません。論理的思考を鍛えれば、ロジックツリーやMECEなどの論理的フレームワークを使って、問題の発生箇所や然るべき背景が特定できます。
場当たり的な対処ではなく、根本的な問題を解決できるのです。
③コミュニケーション能力の向上
コミュニケーション能力とは、相手の意見を的確に理解するスキルや、自分の意見や要望を正確に伝える能力のこと。
コミュニケーション能力があれば、相手の考えと自分の考えをすり合わせながら、論点のズレや事実と意見の違いを最小限に抑えられるため、円滑に交渉を進められます。
④生産性の向上
「イシューツリー」というフレームワークを活用すると、問題の本質をより見極められます。また不必要な思考やプロセスを省けるため、効率化も進むでしょう。
正しい仮説や問題の基本がしっかりとベースにあるため、「手戻り」のような再検討をすることなく生産性の向上を目指せるのです。
帰納法のベースとなる論理的思考は、ビジネスシーンで活用できます。活用すると、さまざまな能力が鍛えられるでしょう
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8.帰納的な思考の鍛え方
論理的思考が基本となる帰納法ですが、考える習慣を付けるとより展開しやすくなります。また日常業務でも帰納的な考え方は鍛えられるのです。ここでは、日々の業務から帰納的な思考を鍛える方法について見ていきましょう。
企画業務で帰納法を使う
新しいアイディアなど提案が多い企画業務で帰納法を使う場面は、多くあります。
PESTや3Cなどのフレームワークは、「複数の実例を挙げて」「実例をもとに共通点を見出し」「共通点を根拠に結論付ける」という帰納法の使い方に沿っていると考えられるのです。
企画業務に従事している場合、積極的に帰納法を取り入れて論理的に考える習慣を付けましょう。
依頼業務で帰納法を使う
帰納的な思考は、依頼業務でも鍛えられます。たとえば会議やミーティングを開催した旨の依頼メールをただ漫然と送るのではなく、帰納的思考で内容を考えていくと、参加メンバーに主旨が明確に伝わるのです。
依頼業務は特定の部署に限らず、業務のさまざまなシーンで多く存在するでしょう。常に帰納的思考を意識して、スキルアップを図ってみてはいかがでしょうか。
日々の業務にある「企画業務」や「依頼業務」などで、帰納的な思考が鍛えられます
帰納
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
推論 > 論理的推論 > 帰納
帰納(きのう、英: Induction、希: επαγωγή(エパゴーゲー))とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。演繹においては前提が真であれば結論も必然的に真であるが、帰納においては前提が真であるからといって結論が真であることは保証されない。
なお数学的帰納法・構造的帰納法・整礎帰納法・完全帰納法・累積帰納法(英語版)・超限帰納法などの帰納法は、名前と違い帰納ではなく演繹である。
目次
1帰納の限界
2他の推論方法との比較
3確証性の原理
4帰納の正当化
5枚挙的帰納法の欠点
6完全帰納法と不完全帰納法
7出典
8参考文献
9関連項目
10外部リンク
帰納の限界
一般的にいって帰納は、あくまでも確率・確度といった蓋然性の導出に留まる。例えば、「ネコaはネズミを追いかける」「ネコbはネズミを追いかける」「ネコcはネズミを追いかける」という事例が幾つかあるので、「全てのネコはネズミを追いかける」と結論を下すとしよう。ここでは、自分が見たネコだけから「全てのネコ」という全称命題に範囲を飛躍させている。しかし、この先新たにネズミを追いかけない猫が発見される可能性は常にある。したがって、「全てのネコはネズミを追いかける」と定式化することには疑問が残る。
Induction 2.png
また、次のような例でも同様のことが言える。地上で太陽を観測し、三日かけて次の観測事実を得たとする。「一昨日も、昨日も、今日も、太陽は東の高い山の脇から上ってきた」。ここから次のように結論するのが枚挙的帰納法である。「太陽はいつも、東の高い山の脇から上る」。
演繹で用いられている例と帰納を対比させるとこうなる。「人であるソクラテスは死んだ。人であるプラトンは死んだ。人であるアリストテレスは死んだ。したがって人は全て死ぬ」。つまり、帰納は一般化に基づく。
一般的にいえば、帰納とは何かしらの知的判断能力を有する生物が行動学習をする際の根本的な原理を定式化したものである。フランシス・ベーコンの提出したこの帰納という概念をより人間学的に咀嚼したものが、ジョン・ロックの経験論である。
データから理論を導き出す試み、すなわち帰納的推理はベーコンらによって始められ、ジョン・スチュアート・ミルの『論理学体系』においてある程度体系化され、その後近代論理学や統計学と結びついて研究されている。
他の推論方法との比較
帰納という言葉は広義には演繹ではない推論(枚挙的帰納法、アナロジー、アブダクション)全般のことを指すが、狭義には枚挙的帰納法(英: enumerative induction)のことを指す言葉として使われる。ここでは演繹を含め、それぞれの推論が持つ特徴を比較する。
演繹(deduction)演繹ではない推論(広い意味での帰納 induction)
枚挙的帰納法(狭義の帰納)アナロジー(類推)アブダクション(仮説形成)
例
<前提1>
AならばBである。
<前提2>
Aである。
<前提1>
a1はPである。
<前提2>
a2もPである。
<前提1>
aはPである。
<前提2>
bはaと似ている。
<前提1>
aである。
<前提2>
Hと仮定すると、aがうまく説明される。
<結論>
Bである。
<結論>
(たぶん)全てのaはPである。
<結論>
(たぶん)bはPである。
<結論>
(たぶん)Hである。
情報量増えない。
(結論の内容は全て前提の内容に含まれている)
増える。
(結論は、前提に含まれていた内容を超える内容を持つ)
真理保存性○
(妥当な演繹的推論は、前提が正しければ(健全であれば)、必ず結論は正しい)
×
(前提が正しくても、結論の正しさは保証されない)
確証性の原理
このように、帰納とは、個別・特殊的事実の多さから結論がどのくらい確からしいものかを導くための推理といえる。これは確証性の原理とも呼ばれ、次のように定式化されている。「法則に関連する観察が増えれば増えるほど、その法則の確からしさは増大する」。
帰納の正当化
帰納とその周辺概念との関係 枚挙的帰納法と自然の斉一性原理は、その正当化に関して互いに循環する。また斉一性原理はグルーのパラドックスという問題を持つ。
一方、確実性の根拠としての枚挙的帰納法による証明を試みようとすれば、論理的な困難が生じる。枚挙的帰納法によってなんらかの仮説を(蓋然的にではなく確実的に)正当化する場合、当の証明者は「全ての物事は、他に事情がない限り、いままで通り進んでいく」という斉一性の原理に従っている(自然の斉一性を参照されたし)。しかし、この原理を正当化するすべは(少なくとも枚挙的帰納法による証明のうちには)ない。
しかし、ある現象に関する理論が存在しないか確実でない場合には演繹は成立しない。そのような場合でも帰納は成立するので、帰納は新しい分野を開発し、新しい理論を模索する場では先ず仮説を立てるための方法として極めて重要である。自然科学では観察や実験が重視され、そこからさまざまな仮説が作られ、それがその分野の進歩の基礎となるが、そこから得られる判断は常に帰納的である。
枚挙的帰納法の欠点
確証性の原理をとるにせよ、斉一性の原理をとるにせよ、枚挙的帰納法で仮説を正当化する企ては、なんらかの壁にぶつかるのである。
特によくあるのは、早すぎる一般化である。枚挙的帰納法が間違う有名な例として、"「ビールには水が入っている」、「ウィスキーにも水が入っている」、「ブランデーにも水が入っている」、よって「水を飲むと酔っ払う」" というものがある。 また、枚挙的帰納法の危険性を表現した次のような寓話も知られている。(この帰納主義の七面鳥の寓話はバートランド・ラッセルの作とも言われている。)
ある七面鳥が毎日9時に餌を与えられていた。それは、あたたかな日にも寒い日にも雨の日にも晴れの日にも9時であることが観察された。そこでこの七面鳥はついにそれを一般化し、餌は9時になると出てくるという法則を確立した。
そして、クリスマスの前日、9時が近くなった時、七面鳥は餌が出てくると思い喜んだが、餌を与えられることはなく、かわりに首を切られてしまった。
帰納の欠点は、下記の3つである[1]。
事実の理論負荷性。ノーウッド・ラッセル・ハンソンによって提示された。その事実の成立を可能とする理論的文脈や社会的背景なしに、事実は存在し得ない。「思い込みや先入観のない事実」は存在しない、絶対的客観性はあり得ない、ということである。帰納の前提となる事実は、完全には信頼できないものである。
帰納の飛躍。ジョン・スチュワート・ミルによって提示された。どれだけデータ(事実)を集めてもその数は有限であり、無限の事柄を言い当てる全称命題は導出できない。帰納には、有限から無限への無理な飛躍がある。
簡潔性原理の前提。「自然法則は簡潔な構造を持つ」ということを前提にしなければ、帰納は集められたデータから一意的な決定ができない。複数の法則に帰結するようであれば帰納は意味をなさないが、実際は多様性につきまとわれる。そのために、簡潔な法則を選択するという前提があるのだが、その原理自体を帰納では証明できない。
完全帰納法と不完全帰納法
枚挙的帰納法において、全ての場合を網羅している場合を完全帰納法(英: perfect induction)、一部しか網羅していない場合を不完全帰納法(英: imperfect induction)という。 なお、数学的帰納法の一種で、k以下の全てで命題が真であるときk+1の場合も命題が真であることを示す方法を complete induction と言うが、こちらも日本語では完全帰納法と訳されているため注意が必要である。
類推
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
類推または類比、アナロジー(Analogy)とは、特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程である。古代ギリシャ語で「比例」を意味する ἀναλογία アナロギアーといった概念に由来し、広義においてこれはロゴスに含有する。
類推は、問題解決、意思決定、記憶、説明(メタファーなどの修辞技法)、科学理論の形成、芸術家の創意創造作業などにおいて重要な過程であるが、論理的誤謬の排除が難しい場合も多く、脆弱な論証方法である。科学的な新概念の形成過程は、チャールズ・パースによるアブダクション理論として区別されることもある。
異なる事象に対し類推することで、共通性を見出す言語的作業が比喩である。 言語学では、言語自体に対する類推が言語の変化の大きな要因とされる。
目次
1アナロジズム
2自然科学
3言語における類推
4脚注
5関連項目
アナロジズム
自然を客体化し、その属性や力を人体などの別の客体に照応させて類推する自然観を、フィリップ・デスコラはアナロジズムと呼んだ[1]。デスコラは「アナロジズム的存在論は、諸存在の特異性を繰り返し経験する中で、執拗に照応関係を用いることで、多様なものの増殖から来る無秩序の感覚を和らげようとする[1]」と述べ、アナロジズムは歴史上の諸文明にさまざまな形で見られる考え方と指摘している。例えば、マクロコスモスとミクロコスモスの照応は占いや中国の山水画の基本的な考え方であり、ストア哲学や新プラトン主義に哲学的アイデアを与えている[1]。
自然科学
物理学では、新たな理論が形成される際に、他の理論からの類推が大きな役割を果たした例が見られる。例えば、ファラデーは電磁気学の研究において流体力学からの類推を用い、マクスウェル方程式が導かれた。
量子力学の創成期(前期量子論)においては、ボーアが惑星の運動からの類推に量子条件を加えることで、原子構造を説明した。またかつて波と考えられていた光に粒子としての性質(光量子)があることが明らかとなり、さらに光と物質の運動との間に類似の原理(変分原理)があることから類推して、ルイ・ド・ブロイは物質にも波の性質(物質波)があると考え、これがシュレーディンガー方程式の発見につながった。
移動現象論においては、運動量、熱、物質量の移動に関して、アナロジーを用いて、同じ形の微分方程式で論じることが可能となっている。
言語における類推
言語表現において、表現される事物に関しての類推に基づいた表現方法を比喩という。これは大きく、類推であることを明示する直喩と、明示せずに別の(文字通りには別の意味にとれる)表現に置き換える隠喩とに分けられる。
一方言語学では、言語自体に対する類推が言語の変化の大きな要因とされる。これらは変化する時点では誤用のことが多いが、時代の推移とともに定着するものが出てくる。例えば動詞「死ぬ」は本来ナ行変格活用(連体形・口語体終止形は「死ぬる」:一部の方言には残っている)であったが、五段活用からの類推で五段活用に変化した。このように不規則変化が類推により規則変化に移行した例は、英語の過去形・過去分詞の語尾-edなど、多くの言語に見られる。