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麻薬の致死量 和歌山のドンファン変死事件より/ノート20180609

「紀州のドン・ファン」変死事件


要点


下記資料によると、致死傷が0.5から1.0グラムで、麻薬をやらない人がいきなり服用すると、さらに微量でも中毒死する。





資料


産経ニュース2018.6.8 18:00

【マッド三枝が行く】

捜査関係者が口そろえ「こんな難事件はない」 「紀州のドン・ファン」急死に山積するナゾ


 「こんな難しい事件はない」。捜査経験者はこう口をそろえる。それはナゼなぜなのか。


 「紀州のドン・ファン」こと和歌山県田辺市の酒類販売会社社長、野崎幸助さん(77)が急死し、体内から覚醒剤成分が検出された事件。NHKまでが全国トップニュースで続報し、日本のあちらこちらでこの事件の推理に花が咲き、「一億総探偵化」しているのではないか。資産50億円、女性が好き、2月に結婚したばかりの22歳の若い妻…。ワイドショーが飛びつくのが当然のキーワードがこれでもかと並び、今にも事件が解決するかのようなブログも散見される。



 野崎さんが亡くなったのは、5月24日夜。体内から覚醒剤が検出されたと報じられたのは5月末。一人の中年の野次馬と化し、周囲に勝手な揣摩しま憶測を開陳していた。すると上司から「これ、やれよ」とまたしても急な命令が…。


 「じゃあ、和歌山に行かないといけませんね。奥さんは北海道の出身だから、一応行っておきますか」


 すると、よからぬ魂胆を疑ったか、K編集長が口を尖らせた。「そんなの、ダメに決まってるでしょ。全部、東京でやって。誰も真相に迫るなんて期待してないから…ねっ」


 リラックスさせようという心遣いなのか、バカにされているのか。多分、後者だろうな…。


 家政婦の証言をもとに、事件をおさらいしておく。野崎さんが亡くなっているのが発見されたのは、5月24日午後10時半ごろ。午後7時ごろ、用事を終えた家政婦が帰宅してからは、1階に家政婦と妻、2階に野崎さんがいた。


 午後8時ごろに2階から「ドンドン」という音がしたという。ちなみに和歌山県警が発表した死亡推定時刻は午後9時ごろだ。


 和歌山県警が妻や家政婦の東京都内の自宅を殺人容疑で家宅捜索したことが報じられ、一気に疑惑の目がこの二人に向けられた状態になっているのだ。


 会社の内勤を終えた7日夕方、東京都港区の家政婦の自宅マンションに行ってみた。野崎さんが亡くなって10日以上経つというのに、マンションの前には報道陣が10人近くいた。民放のワイドショー番組のディレクターは「交代で張っています。まだ外に出ているので、帰ってくるのを捕まえろって言われています」と話した。


 「へえっ、24時間態勢ですか。大変ですねえ」


 今度は東京都新宿区の妻のマンションに向かった。報道陣はいなかった。それもそのはず、妻は和歌山県田辺市の「ドン・ファン」の家にいるからだ。


 マンションは建てられてからそれほど年月が経っていない、高級感があるマンションだった。しばらくすると、メガネをかけた初老の管理人が出てきた。


 「私は知らないんですよ。たまにあいさつしてくれる韓国人の方なんかもいるんですけどね」


 「ワンルームなんですか」


 「そうですよ。新築で洒落てるから若い人が多いですね。半面、よほどのことがないと印象に残らない」


 「警察が家宅捜索に来たって話ですよね」


 「ええ、土曜日にね。でもその前から入れ替わり立ち替わり刑事さんが来て…。そうそう、4月下旬からの録画してある防犯ビデオを見せてくれといって持って行きました」



 「覚醒剤を服用して死ぬかって? 僕が若いころ、実際に経験したことがあるよ」


 そう教えてくれたのは静岡県警の科学捜査研究所で長年、勤務していたWさんだ。Wさんは静岡薬科大学(現・静岡県立大)卒だから、薬物には詳しい。



 今から50年ほど前、服に覚醒剤を隠し持っていた男が、警察官の追及を免れるため、袋ごと覚醒剤を飲んでしまったことがあった。「袋に穴が空いていてね。男は多臓器不全で死んでしまったよ」


 野崎さんは自身の著書で「タバコは吸いません。当然、覚醒剤ともまったくご縁はありません」と記している。Wさんによると、覚醒剤による致死量は0・5グラムから1グラム程度だが、覚醒剤の服用経験がない人は少量でも亡くなることがあるという。


 「食べ物に混ぜる? 無理無理。苦くて…。カプセル? カプセルなら考えられるかなあ」



 「この事件のハードルは高いよ。簡単に解決しないよ」。そう断言したのは警視庁の元刑事。


 「毒物というのは、犯人がそこにいなくてもできる犯罪。いくらその夜に家政婦さんと奥さんしかいなかったからって、その2人を犯人だって決めつけるのは人権侵害だよ。第一、野崎さんは愛犬が亡くなったと言って『死にたい』って言っていたんでしょ? 自殺じゃないってどうやって証明するの? 僕は第三の人物がいると思うね。意外と男だったりすると思う」


 その話を聞いた直後、和歌山県警が野崎さんの飼い犬「イブ」の死骸を掘り返したというニュースが入ってきた。愛犬の死に覚醒剤が関わっていたとしたら、自殺の可能性は低くなる。


 「県警はその薬物を誰が、いつ入手したかの捜査に全力を挙げると思う。う~ん、半年くらいはかかるかもしれないね」とその刑事は言った。

(WEB編集チーム 三枝玄太郎)

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