首相官邸の公務員猫/ノート025
ロンドンのダウンニング街には鼠が多く、そこの10番地にある英国首相官邸では1500年代初頭から猫を公務員として雇っており、1924年、当時首相だったラムゼイ・マクドナルドが、「首相官邸鼠捕獲長」というポストをつくった。
1924年の初代「鼠捕獲長」はトレンジャリ・ビル、1929―46年の2代目はピーターだ。同僚及び後継者に、1940年ごろ―43年の3代目ミニッツ・マウサ、1940年代のネルソン、1946年のピーター2世、1946-64年のピーター3世がいる。
拙作『伯爵令嬢シナモン』の作品舞台となる、ウィストン・チャーチルが首相をしていた時代の「鼠捕獲長」はピーターとピーター3世ということになる。
1970-88年のウィルバーフォースが最長でマーガレット・サッチャーは外遊先でお土産に缶詰を買ってきたり、一緒にテレビをみていたりしたという。
驚くべきことに、「鼠捕獲長」には給与が支払われている。
1929年、大蔵省のAE・バンハムは、「有能な猫の生活費として雑費から1日あたり1ペニーを支出する」ことを事務員に認め、1932年4月、週あたり1シリング6ペンスまで増え、現在は年100ポンドに引き上げられた。
引用参考文献/
岩崎広平 『ロンドン警視庁』 サイマル出版会1990年
Wiki
追記
マグニールの小説『チャーチル閣下の秘書』のなかにネルソンという猫が登場する。カバーイラストには三毛猫が描かれている。ネットをみていたら書き込みに、ドイツの爆撃機を怖がる同名の黒猫がいた。愛称が「首相の湯たんぽ」なんだとか。
引用参考文献
スーザン・イークリーニアル・マクニール
『チャーチル閣下の秘書』(坏香織訳・創元社2013年)