20世紀初頭・紳士の装い/ノート017
●コートとスーツ
コートは19世紀半ばから貴族層の乗馬服から発展した。
スーツは、ロンドンのサヴィル・ロウ街のブティックで、オーダーメイドでつくられていため、日本では〝背広〟と訳されたという説がある。
コートやスーツは20世紀初頭になると中産階級も着るようになるので、古い貴族層は、よりセンス良く着こなすようになった。服装は同じだが、着こなしで階級が判るらしい。
●帽子
ロンドンの帽子屋は、ジェームス・ロックが1676年、ダックスが1894年の創業で老舗ある。帽子は、シルクハット、山高帽、ハンチング(鳥撃帽)が代表的である。このうち、シルクハットは、黒が盛装、灰・白・茶はカジュアルだ。
●屋敷内での格好 20世紀初頭の英国貴族が屋敷内で過ごすときは、丈が長くてゆったりとした、ドレッシングガウンを着ていることが多かった。
屋敷のなかには喫煙室があり、喫煙者が喫煙するときは、応接間以外では、喫煙室を利用した。ここに入るとき、衣類に匂いがつかないように、スモーキングジャケットを羽織った。
●寝間着
16世紀から長袖・丸首・膝丈ほどのナイトシャツとシュミーズを着てナイトキャップを被るようになる。18世紀から、その上にネグリジェにナイトガウンを羽織る。19世紀から、インドよりパジャマ・パンツが導入され、上半身の服も添えられるようになった。
島崎晋『華麗なる英国貴族101の謎』PHP研究所2014年 174‐181頁