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19世紀執事スケジュール/ノート009
19世紀、ある程度の富を蓄えた資産家は美邸・農園を田舎に買い求めて、荘園貴族のような生活に入るのを理想としていたようだ。その際、使用人複数を雇う。使用人たちを束ねるには有能な執事が必要となり、地主化した資産家はそういう人材を求めた。家具生産で財をなした産業資本家ギロー家はそれまでの稼業をやめてランキャシャーに引っ込んで邸宅を構えた。
同家執事のスケジュールは次のようなものだった。
午前。6時起床、45分主人夫妻の部屋を訪問。7時30分、主人にお茶を運び正面玄関の鍵を開ける。8時使用人朝食。9時、朝の祈り。9時30分、客間に配膳。
午後。12時使用人昼食。1時15分、客間の昼食。5時、応接間のお茶。7時、応接間の晩餐。8時15分、使用人夕食。9時15分、夜の祈り。9時30分、応接間のお茶。午前1時、戸締りと就寝。
村上リコ『英国執事』河出書房2012年 062頁