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渡仏港ドーバーゆき列車・サザン鉄道/ノート007

   ドーバーゆき列車 ノート007


 シャーロック・ホームズが英国ヴィクトリア朝期を代表する探偵だとすれば、それ以降から冷戦時代までを代表する探偵はポワロだ。著者クリスティーの甥にいわせると、かの女流作家はうんざりしながら執筆していたという。しかしポワロの最終回は、作者のたっての願いで、死後に発表されるまで自宅金庫に封印されていた。やはり探偵への愛はあったのだ。

 短編「誘拐された総理大臣」において、第一次世界大戦期、敵ドイツ工作機関は、英国首相を捕えて替え玉をつかい、巧妙に蒸発させた。いつものごとく、ロンドン警視庁・ジャップ警部は探偵ポワロに泣きついて、事態の収束を図った。

 フランス・ヴェルサイユ宮殿での連合国首脳会議を控えた首相は、公用車に乗り込んでウィンザー王宮に参内。そこからからロンドンに引きかえし、英仏海峡を駆逐艦で渡るべくドーバー港を目指すのだが、途中、チャリングクロス駅付近の山道でテロリストの銃弾で負傷。同駅から特別列車に乗って、ドーバー港を目指す。

 そして、フランス・ブローニュ港に着くや否や忽然と姿を消すに至る。

 けっきょくのところ、首相の随員のなかに裏切り者がいて、首相を幽閉し、偽物をつかって、検問を突破したという話。

 英国ロンドン発ドーバーゆきの鉄道に乗り、連絡船で海峡を渡り、フランス・ブローニュ港に着き、そこからまたパリゆきの列車に乗る。そのあたりの経路が示されていて興味深い。


追記/名所

●ドーバーゆき〝サザン鉄道〟とウォータールー・ジャンクション駅 

 イングランドでは、1921年の鉄道法で四大鉄道会社が成立したが、そのうち最弱なのが南西方面の鉄道会社〝サザン鉄道〟だ。1923年から1947年まで存続している。

 ロンドンのターミナル駅は、ウォータールー・イースト駅である。サザン鉄道のウォータールー・ジャンクション駅(Waterloo Junction)として1869年1月に開業し、その後、1935年7月にウォータールー・イースタン駅(Waterloo Eastern)と改称され、さらに1977年から現在の駅名となった。現在の当駅はサウスイースタン鉄道によって管理されている。

●ホワイトクリフ……ドーバー海峡に臨む石灰岩の海食崖。

●ドーバー城……ケント県ドーバー港に所在。英仏海峡を望む古城の一つ。現在残るものは,12世紀第4四半期から13世紀末にかけてヘンリー2世が築いたもの。

●1940年のダンケルクの戦いからの撤退作戦(ダイナモ作戦)において、サザン鉄道は、イングランド南部の各港へ撤退してきた30万人兵士を620本の列車でロンドンにピストン輸送した。


引用参考文献

アガサ・クリスティー『クリスティー短編全集6 ポワロの事件簿1』厚木順・訳 創元社文庫1980年 181-210頁

wikiほか

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