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五十九 信一郎との決闘


 私とアイラは居留地の事務所にいた。


入口の近くに座っていた白人にこの居留地に住んでいる人に物を届けに来たと

話して証明書を見せた。


白人は証明書を確認した。


「この場所は将軍の斥候の宿舎で、老朽化し半年後に建て替える予定だった。

しかし将軍が死んで中止になった。最近までは部族の臨時の宿泊場だったが、

今は保留地内の行き場所も決まり誰も住んでいない。この妻の名前は聞いた事が

無いが? 部族の家族なら其処にはいないと思う。周りにいる部族の人間に

聞いて見た方が良い。時々其処で部族の男を見掛けるが其処には住んで

いないと思う」


私達は事務所を出て宿舎の跡地へ向かった。


半年前に届ければ家族が其処に居たかもと思ったが、紙には半年後と

書かれてあった。


そして建物の中に入った。


広くて壁が外れていた。穴も空いていて外の光が入り意外に明るかった。


向こうの入口より男が現れた。男はゆっくりと近づいて来た。


廃墟なので歩く度に埃が舞い上がる様が逆光の中に見えた。


男は刀らしき物を持っていた。鍔の着いた日本刀だった。


部族の服を着ているが、小柄で顔も見覚えあると感じた。


その時、男が「小次郎!」と叫んだ。その声は聞いた事があった。


懐かしい声で信一郎だと分かった。


私は信一郎が此処にいるのが不可解だったが、鈴の話からも想像が付いた。


私と同じように滝壺に入って此処へ来たと考えた。


「信一郎、何故此処にいる?」


「俺はお前と同じように神に導かれて、この国に来た。そしてお前を倒す為に、

源太にお前が此処に来るように仕組ませた」


「じゃ、源太の妻など居ないのか?」


「そうだ! 居ない!」


「何故、私を倒すのだ? お前は神に操られている」


「神にも言われた。お前を倒すように、お前が憎いのだ! ずーと思って来た!」


「神はもういないし、鈴もこの国に居る! 鈴とお前は操られていたのだ!」


「鈴? 誰だ? そんな奴知らない」


(記憶を替えられている。話しても無駄だ)


「その娘は?」


「私の妻だ」


「妻だと! 二人共殺してやる!」と上段から斬りかかって来た。


私は左に避けた。切り返えそうにも刀を持っていなかった。


信一郎は刀を振り上げアイラを狙って振り下ろした。


アイラはぎりぎりに避けた。


「妻を殺されたお前の顔が見たい」と笑いながら上段に構えた。


さっきは業と力を抜きアイラを斬らなかったのが分かった。


今度は確実にアイラを切るだろう。


「ふん!」と刀を降ろそうとした信一郎の胸にナイフが刺さった。


私は隠していた白人のナイフを下から投げた。


信一郎はその場に倒れ絶命した。


居留地で部族の男が殺されても事件にはならなかった。


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