五十二 見られたアイラ
外へ出された男の1人が事務所の左側の家の窓に2日前に襲った部族の娘を見た
と話した。
丁度、事務所から部族の助手が出て来たので「あの家は誰の家ですか?」と左側の家
を指さして聞いた。
「この街の議員で資産家のH氏だ。何故そんな事を聞く?」助手は不審そうに答えた。
「立派な家だから・・・・奥さんが部族の人の家ですか?」男たち興味津々に聞いた。
「奥さんは部族でも将軍の配下だった。お前らのような者が会える相手ではない
早く帰れ!」怒った口調で答えて巡回に出かけて行った。
男2人は家を訪ねて娘達の行き先を確認しようと相談した。
この街で騒ぎは起こせないので街を出てから仕返しをしようと考えていた。
二階から戻って来た鈴は「保留地に入る時は証明書が必要になるそうです。朝までに
夫が用意して置きますので明日持って行くようにと話していました」と伝えてくれた。
「有難う、良い旦那さんですね。助かります」
「それから保留地へお金を届けた後、小次郎さんとアイラは行く先があるのですか?
夫から聞いた話だと小次郎さんとアイラの部族の村が昨日兵隊に襲撃され、部族は
散り散りになったそうです。行く処がなかったら此処に戻って来て下さい。アイラ
のお腹の赤ちゃんのためにも、そして今後の事を考えましょう」
「御免、赤ちゃんは出来ていなかった。将軍が倒れても災いが収まらず、落ち込んで
いる私が国に帰ると思い、アイラが私を引き止めるために赤ちゃんができたと
嘘を付いた」とアイラの顔を見ながら話した。
「子供は何時でも出来るから・・・・でもアリーナは楽しみにしていました」
「アイラは嘘を言って御免なさいって、アリーナに誤りたかった。それも消息を
確かめたかった理由だった」
「分かったわ。アリーナも許してくれると思う」
鈴達がそんな会話をしている時、家の入り口に2人の男が立っていた。
そして先程の使用人が対応していた。
「今は奥さまと会うことはできません」
「俺達は奥さまの客で来ている部族の人と友達で渡したい物がある。部族の人が
これから何処へ行くのか教えてくれないか? 途中で渡したいから」
聞かれて使用人は部屋で聞いた事を話した。
男達はそれだけ聞けば十分と帰って行った。




