四十九 鈴と将軍
「滝壷に飛び込みました。白い処で気を失い気が付いたら河の水面を目指して
泳いでいました。川岸に着くと馬に乗った青い服をきた異人が待っていました。
異人は町で良く見掛けていたので驚きませんでした。私は毛布を渡して貰い馬車
に乗せられました。後で異人は白人で青い服は兵隊と分かりました」
「暫く行くと高い塀が見えてきました。兵隊の駐屯地で中に入ると細長い建物が
幾つもあり後で兵隊の宿舎だと分かりました。一番奥の建物に入り入口の直ぐ
近くの部屋に入れられ使用人らしき女の人が2人来て着替えさせられました。
2階の部屋に案内され中に入りました」
「其処には中年の髭のある白人の男性が椅子に座っていました。私を見ると近くに
来るようにと話しました。その時、私は白人の言葉が分かり話せるようになって
いると分かりました。側に行くと彼は(美形で部族の娘の顔に近いが・・・・
顔は墨を塗れば分からないか? 背も少し低いが近くで見ないと分からないだろう。
良いだろう)と言い私を連れて来た兵隊に乗馬、部族の習慣を教えるように
命じました。そしてこの白人は将軍だと後で分かりました。私は次の日から乗馬
の練習を始めました」
「2か月程経った頃に将軍は戦闘でアリーナに倒されました。後で兵隊から聞いた
話ではアリーナへの崇拝者が部族の間に増え続けていて、アリーナの崇拝を
崩すために私をアリーナに変装させ部族の村を襲撃させる将軍の計画だったそうです。
それで私が着せられたのは部族の娘の服と分かりました。今では計画がなくなって
良かったと思っています」
鈴の話を聞いて私は神が2体で互いに競合し、それに利用されていると益々
思うようになった。
鈴は村では色気で私の異国へ行く気持ちを削ぎ、此処ではアリーナの敵に
なるように操られていた。
「鈴は何のためにこの異国へ来たのか考えた事ある? 後悔していない?」
私は鈴が不憫に思い聞いた。
「後悔はしていません、先程も話しましたが、私は国では居場所がなく、
この国に来ました。その理由はどうでも良いのです。私を大切にしてくれる
優しい夫も出来ました。その夫と一生ここで生きて行く決心をしました、
それだけです」
鈴は少し怒ったように答えた。




