四十七 鈴の奉公
私はアイラに婦人と別の話をしたいが話して良いか聞いた。
「同じ国から来たからね。話して良いよ」
アイラは立ち上がり部屋の壁に貼られてある模様を珍しそうに見ていた。
私は鈴に村から此処へ来るまでの事を聞いた。
「小次郎さんがいなくなり信一郎さんも長の仕事続けていて隣村から若い衆に
嫁も貰ったが、達の悪い2人の若者の私への醜態が続いていました。
私は武術の心得が少しあるので抱きつかれ押し倒されても旨くかわせました。
悪いことに信一郎さんも我慢の限界になっていた時に、家の中まで入って来て
私に抱きつこうとした若者に逆上して刀で斬りつけました。
致命傷にはなりませんでしたが、野良仕事は出来ない体になってしまいました。
信一郎さんはその日の夜に刀を持って逃げました。そして帰って来ませんでした」
「やはり」と想像した通りの展開に私は声を出してしまった。
鈴を信一郎の嫁にした事をもう一度後悔した。
鈴は話を続けた。
「私は実家に帰りましたが、母も亡くなり父も後妻を貰い、私は居場所もなく
奉公に出ました。住み込みの下働きですが辛い事を忘れるために私なりに
頑張りました。店の主人も私の働きを褒めてくれました。
多少下心がありましたが優しい人でした」




