四十一 アイラの生い立ち
私はアリーナの最後の詳細を聞くのは辛いので少しの間だけ話を
逸らそうと思った。
アイラにとっても大変辛い事だった。それはアイラの生い立ちだった。
アイラの両親が殺された話は私の同情を引くための祈祷師の嘘だった。
アイラは村の近くに乳飲み子で捨てられていた。
それを村で育て4歳になると各テントを廻って、家事を手伝い食事を与えて
貰う生活を続けていた。
兵隊の襲撃も多く部族も貧しくアイラを貰ってくれるテントはなかった。
だからアイラは家族の愛を知らなかった。
私もアリーナも孤独で3人は稽古や一緒に食事をして短い期間でも家族同様に
なっていた。
アイラにとってアリーナは掛け替えのない存在になっていた。
アリーナとは同じ歳だがアイラより背が高くアイラを妹のように可愛がっていた。
戦闘の時はアイラを側に置き守っていた。
そんなアリーナの最後は聞きたくなかった。
「そのウィスキーはどうして手に入れる? 伯父さん達は保留地にいるの?」
私は話しを逸らした。
「これは毛皮と交換してもらう。最初は白人が無料でくれたが、部族には酒は
初めてなので中毒になる者が大勢出て来た。そして、毛皮と交換しないと手に
入らないようになった。保留地には住んでいない。あの狭い場所に大勢押し
込まれ、白人の規則で生きて行くのは嫌だった。今は許される場所でテントを
張り生活している。狩りをするにもその方が良いから、毛皮が取れないと
ウィスキーが呑めなくなるから不安だ、俺も中毒になっているようだ」
と甥を見ながら話した。
「伯父さん、さっきのアリーナの最後の話は?」甥にそう言われて私とアイラ
は聞く事を覚悟した。




