四十 同化した部族
街の入り口付近には毛皮交換以外の部族の人々がいた。
座り込んで何かを呑んでいる部族の男の2人組に話を聞く事にしたが、
言葉が通じるのか不安だった。
アイラは服装が私たちと同じだから言葉は通じると教えてくれた。
私は最初からアリーナのことを聞くのはまずいと考えて世間話から始めた。
「何を呑んでいる?」
「ウィスキーだ。お前はどこの部族だ?」急に変な質問をされて男は不機嫌な顔を
して答えた。
その息の臭いでウィスキーは酒だと感じた。
部族名を話すと、男は驚いたようだった。
「アリーナと同じ部族だな? ここは白人に同化した部族しかいられないから
早く逃げた方が良い」
「私達も同化したその証拠に武器は持っていない。アリーナの消息が
知りたくて来た」
信用して貰うために嘘をついた。
「アリーナは此処に来る途中の渓谷で兵隊と激しく戦って死んだ。この伯父さんが
その時に戦った兵隊に詳しい話を聞いたらしい。話をしてやりなよ」
ともう1人の若い男がウィスキーを一口飲みながら話した。
私はアイラの顔を見た。分かっていても実際に聞くのは辛かった。
アイラは俯いて涙を落していた。
「泣いて居るが? アリーナの知り合いなのか?」伯父さんと呼ばれる男が聞いた。
「友達でした。2人共白人の兵隊に両親を殺されました」
「俺も昔はアリーナのように白人と戦った。でも何度も部族の村を襲撃されて
妻と子供を殺され心が折れてしまった。そして仕方なく甥と一緒に同化した」
と伯父さんは悲しげに話した。




