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十六 部族の娘アリーナ


 私は恐怖で蒼白になって座り込んでいる部族の娘の前に片膝を付いて頭に

手を置いた。


「もう大丈夫だ、怪我はないか?」と声をかけた。


娘は安心したのか声を出して泣き始めた。


小次郎は部族語も話す事が出来て、この部族の状況も少し理解出来ていた。


それも白い球体にいる神の意思と感じ始めていた。


3人の男は大柄で顔が白く、以前に横浜で見た異人と同じ顔だった。


娘は兵隊の襲撃中に隠れていて、兵隊が引き揚げた後に出てきて3人に

捕まったらしい。


3人はこの部族の虐殺とは関係がなく、虐殺はこの国の政府の兵隊がしたことで、

3人はその後を狙う盗賊だったことも娘から聞いた。


特に毛皮が目当てらしい。


娘は立ち上がると慌てて廻りを探し始めた。


「どうした?」


「父と母が・・・・・・」で言葉が詰まってしまった。


兵隊に襲撃され恐らく生きてはいないだろう?


暫くすると見つかったらしく娘の泣き声が聞こえてきた。


その場所へ行くと変り果てた両親の遺体があった。


娘の父親はこの襲撃された部族の村長であり、部族の男達は狩りに出ていたらしい。

娘は自分の円錐の住居から羽飾りを持ってきて父親の形見だと私に見せた。


娘は顔が小さいので13か14歳位に見えたが、立ち上がると背は私と

変わらなかった。


私は村で一番大きく5尺7寸(171cm)程あった。


娘に名前と年齢を聞いた。名前はアリーナで年齢は18歳だと答えた。


18歳だと鈴より3歳程年下で、目が大きく鼻が高いところは似ているが、

瞳が青く彫が深かった。髪の毛も黒くなく金色だった。


アリーナは私に何処の部族かと聞いてきた。


異国から来たと答えたらアリーナは白人も異国から来たから同じだと

憮然とした表情で話した。


「白人とは?」


「この部族を襲った兵隊と三人の男が白人」


この子は気が強そうだ、神の意思はこの子だと感じた。


私がここに来た目的を簡単に説明して、この辺の部族を束ねる部族長に

会いたい事を伝えた。


アリーナは安心したらしく、そこに案内してくれると言ってくれた。


アリーナは私が宝刀を持って災いと戦いたいと遠慮しがちに言ってきたが

私は黙っていた。


部族長に会う前に勝手に決められないと考えた。


両親を埋葬し、3人の男の拳銃と銃弾を持ち、男達の馬に乗り部族長のいる集落へ

向かった。


その集落には神の声が聞こえる祈祷師がいるらしい。


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