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十三 旅立ち


 古文書の5(付随)に宝刀、刀2本、木刀2本を携帯するように

書かれてあったので木の箱を用意して中に宝刀、刀2本、木刀2本、

鎖帷、十字手裏剣を入れた。


蓋をして水が入らないように廻りを蝋で固めて箱を十字に縛り紐を付けた。


数日後の夜に私は加工した黒い野良着を着て、黒い野袴を穿き足に

黒い脚絆を巻いた。


黒頭巾を被り、金具の付いた手甲をして、腰に刀を差し、

土間で足袋と草履を履いた。


幕府の隠密の仕事で着ていた衣装だった。


15年も前の物だが、日頃鍛えていたので若い頃の体形と変わらず

違和感はなかった。


今まで忘れていた充実感と新しい世界への興味で高揚感を覚えていた。


でも最後に鈴に会いたい気持ちが抑えられず、信一郎に託けて鈴に会いに言った。


玄関で2人に対面し信一郎には村を頼むと伝えた。


鈴は悲しそうな顔をして「もう戻れないのですか?」と聞いてきたが

「分からない、異国の災いが収まったら帰れると思う」


私も帰れる自信がなかった。


「これを」と鈴が赤いお守り袋を差しだした。


私は鈴の顔を見ながら受け取った。


まだ悲しい顔をしていたが確かに村の若者が夢中になるほど妖艶だった。


外は満月で明るかった。私は箱を持ち滝壷に向かった。


滝は高さ10mほどで滝壷に落ちる水の音が響いていた。


滝壷の廻りは背の高い草が生えていた。


草を掻き分け滝壷に近づくと水面が波立っていた。


箱を抱き滝壷に入って行くと真中あたりの深い処に白い大きな球体があった。


本能的にそれに向かって泳いでいった。


白い球体の近くに辿り着くと体が球体に吸い込まれた。


空気があって水の中とは違うと感じた時には気を失っていた。


ただ宝刀を渡すのは部族の無垢な娘だと神の声が聞こえた。


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