十一 刀剣、武器の捜査
襲撃事件から13年以上も経った。今は明治政府に変わり、
この地も藩から県になった。
何年か前に政府の役人が農地の大きさを測りに来た。
この村の農地は村人達個人の所有地で年貢の変わりに納税とかの制度になった。
前の時代にこの村は幕府直属で情報収集等を行っていた。
そのことは新政府も知っていたが未だに処分等は無かった。
確かに今の政府を創った藩に敵対するような活動はしていなかった。
しかし、近々役人が刀剣、武器の捜査に来て農業用以外は
没収するとの書状が来た。
宝刀は没収されるだろうと真っ先に考えた。
そうなれば先祖代々に申し訳が立たない。
古文書に従い異国に行かなければならない。
今一つ心残りがあった。鈴の事だった。
若い頃は生きるか死ぬかの戦いに恐怖心もあったが生きがいも感じていた。
今年までの何年間は村の雑用と新政府への対応に変わった。
今でも妻の最後の顔が脳裏に浮かんでくる。
村人が後妻を紹介してくれたが、その気にはなれなかった。
しかし、鈴と出会って考えが変わった。あの事件以来、私の心の中は鈴のこと
考え鈴の事を気にしていた。
政府の刀剣の検査の日も近づいて来た。
もう鈴の事は諦めて古文書に従って異国へ行かなければと考えていた。




