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一 序章

以前に投稿した話しを修正した物です。


 同時に数発の銃弾を浴びて私は妻のアイラの体を庇うようにその上に倒れた。


意識が遠のいて行く中で男達の断末魔が聞こえた。


顔にふんわりと風が当たり、整った顔の部族の娘が覗いてきた。


鼻筋に直角に赤、黒、青の墨が塗られている。羽根飾りを被っている。


(アリーナか? ・・・・)「アリーナ生きていたのか?」

私は最後の気力を振り絞って聞いた。


娘は首を縦に振った。(良かった。生きていたのか・・・・)私は意識を失った。


記憶が過去に戻って行く。鳥のように青空を飛んでいる。

山間に小さな村が見えて来た。私はその中の比較的大きい家に吸い込まれた。


私は布団に仰向けに寝ていた。大きな黒ずんだ梁が組まれてその上に板張りの

天井が見えた。


左側の障子より光りが差していた。鳥のさえずりが聞こえて朝だと感じた。


徐々に記憶が戻ってきた。


障子を開けて縁側に出ると見慣れた風景が広がっていた。

縁側の先に畑があり、その向こうに藤棚があった。


畑の左側に下っている道が見えて、その下には水の張ってある棚田が幾つも見えた。


稲も短く田植えが済んだばかりのようだ。この村の長であった事も思い出した。


村は棚田と畑で米、野菜を作り暮していた。


私は起き上がり寝着のまま土間に降り、畑の前の藤棚の下で剣術の稽古を始めた。


習慣で覚えていいたのか? 体が勝手に動いていた。


「小次郎さん、お早うございます。朝から元気ですね」背後から声が掛った。

振り向くと三人の男が立っていた。


(私は小次郎で、この三人は使用人で何時ものように私の棚田に作業に

出かける処だろう?)


「お早う。ご苦労さん。お願いします」挨拶を返して私は又稽古を続けた。


夏が近づいて来る時期にしては、今日は晴天で風も吹き、稽古で汗をかいた

体には気持ちが良かった。


彼らは小作人で私の処に来てからもう5年位になる。


食事と少しの給金で文句もなく働いてくれている。

農作業の不得意な私は3人に任せっきりだった。


彼らは棚田がある東の方に向かって坂道を下りて行った。

突然風が吹き木々が音を出して揺れた。彼らが緑の海に沈んで行くように見えて、

棚田からか? 土の臭いが風に乗り届いた。


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