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第7話 念願の風呂に入れました

 シャドウウルフのイチとの二人での戦闘は本当に楽になった。


 影の中を移動できるというのは森の中ではほぼどこにでも出れるということだ。


 その奇襲性で先制し、俺がトドメを刺す。最強のワンパターンだった。


(「レベル15で水魔法『ウォータ』、風魔法『ウィンド』を習得しました。おそらく本来なら『ファイア』もここでの習得だったと思われます」)


 なるほど。確か12のときに『ヒール』も覚えたよな。

 『治癒』と『ヒール』って日本人の感覚だとどっちも同じなんだけどな。『治癒』が病気や毒、『ヒール』が怪我やダメージの回復魔法らしい。


 そして、光を除くこれらの魔法が低級魔法で、『魔道士』が覚えるものらしい。


 今のところ支援系は『闘気剣』スキルのみで魔法は覚えてない。



「さー念願の風呂を試すぞー」


 結界装置を起動して風呂桶を取り出す。身長170ちょいの俺が余裕で足を伸ばして座れるから直径1.5メートルないくらいかな。


 イチには……無理そうだな。すまん、イチ。また川連れてってやるから!



 まずは『ウォータ』の検証もしつつ水を貯めるか。



 『ウォータ』!


 バケツ一杯分くらいの水球が現れて、バシャっと落ちる。


 あれ? もっとこう、ドバーッと出るかと思ったんだけど。



 『ウォータ』っ!


 うん、そうそう――ってあれ?

 今度は最初から桶に向けて出たけど、水量的には同じか? 使った魔力も一緒っぽいな。


 そんじゃ、今度は蛇口MAXで捻った感じで。


 『ウォータ』!


 予想通り。さっきと同じ量がジョバジョバ出てくる。

 消費魔力も一緒。


 あ、これ閃いたかも。あとで試してみよう。




 繰り返すこと数回、ようやく桶に水がいっぱいになる。


「次は『ファイア』だ!」


 火の玉を桶の真ん中に落とす。

 『ファイア』は何回か使ってるけど、消費魔力を俺の意思で操作できて強弱を付けれる。


 プレベールがやってたライターの火程度に抑えるのはなかなか難しかった。


 それと『ウォータ』と違って、魔力供給を止めるまで燃え続ける。


 もちろん、小さい火を水に浸けると消えるんだけど、ある程度火力があればそのまま燃やして熱することができる。


 ちなみに今回はその場に落としたけど、火球を飛ばしたり、火炎放射みたいにすることも可能だった。

 放射だとかなり魔力を消費したけど。


「よし、こんなもんだろ」


 手を突っ込み温度を確認し、服を脱ぐ。



「ふぃー。水浴びとはやっぱ違うなぁ」


 思わず声が出る。


(「魔法をこのように使う方はシン様が初めてです」)


「誰もやらなかったのか。こんな便利なのに」


(「そもそも水の中で火を燃やすという発想が今まで誰も思いついていません」)


「じゃあ、こういうのは? 『ファイア』に『ウィンド』を重ねて――」


 『ウィンド』で空気を集めて圧縮する、文字通り火球を作り出す。


(「!?」)


 お、さすがに驚いたか?


「ウォウン!」


「イチもこれの凄さがわかったんだな」


 魔力を絶ち火球を消す。


(「今のは一体……?」)


「ウィンドが風魔法だろうってことはわかったからそれで空気を集めたんだ。もっと強力な可燃性の気体を集められたら低級の魔法でも相当な威力になると思うんだけど、その辺は要検証だな」


 できてしまったら危ないから今のは周囲の空気でやったけど、それでも十分威力はありそうだった。


 まぁ、今後の食糧にもなるモンスターには使わないけどな。


(「本来『ウィンド』は風の刃を撃つ魔法なのですが……シン様の発想には驚かされます」)


 まぁ、ナビもこれで新たな知識を得たってことだな。



 とりあえず今は風呂を堪能だ。

 気持ちいいおかげかモリモリ魔力が回復してる感覚がある。


 俺の場合は魔力が枯渇したら発情より風呂に飢えそうだな。

 それかイチのもふもふ。どちらも甲乙つけがたい。


 昨夜ゆうべはあんまり魔力を消費してなかったからわからなかったけど、もし消費してたらすごい回復してたんだろうな。


 なんとなくわかった。体力は身体のリラックスが回復に繋がるし、魔力はメンタルのリラックスが重要みたいだ。

 だから何か行動してるとあんまり回復しないんだな。


 プレベールとしてて射精後の幸福感もよかったけど、俺はこっちのほうが合ってるな。


 まぁ、リョウみたいに大事な相手とだったら話は違うんだろうけど。俺にはそういう相手はいないし。





「さぁ、今日は『ウォータ』を試すぞ」


 翌朝、大きめの岩の前で宣言する。


(「さすがに『ウォータ』では噴射したとしてもこの大岩は壊せないと思いますが……どうされるのですか?」)


 うん、発想は大体合ってる。ただ、目的が違うな。破壊じゃない。


「ナビは俺がこの剣でこの岩を突いたらどうなると思う?」


(「シン様の力であれば少し刺さると思いますが、剣が折れてしまいます」)


 うん。硬そうだし、たぶんそうだな。殴って割れるかどうか、ってとこだな。痛そうだからやらないけど。


「『ウォータ』を超圧縮して噴射するとどうなると思う?」


(「"超"圧縮ですか? すみません、わかりません」)


「なら、よーく見てろ」



 『ウォータ』!



(「え?」)


 前に見たことがあるウォータージェットを意識したそれは大岩に小さな穴を開けて消えた。


 本当はカッターのように斬り付けたいんだけど、『ウォータ』の水量じゃ無理だ。


「どうだ。これならモンスターにも効きそうだろ?」


(「はい、これなら大抵のモンスターは倒せます」)


 ってことは、倒せないやつもいるのか。

 実はコレ一本でいけるんじゃないかくらいに思ってたんだけど。


(「遭遇しないように気を付けますが、遭遇しても『闘気剣』があれば問題ありません」)


 ああ、小さいダメージじゃ効果が薄い相手ってことか。

 これは相当デカい相手だな。面倒だし会わないことを祈ろう。



 それじゃ、今日も張り切ってレベル上げしますか。

お読みいただきありがとうございます。


次回は森のくまさん、もとい、森の出会いその2です。

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