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第11話 西に向かっていたらしい

「よし、力は100超えたな」


(「はい、力と体力が予想以上に伸びました。それと、同じタイミングで『限界突破』を習得しました」)


「えっ、100?!」


 ああ、リアンには成長率とかの話はしてなかったな。




「私、まだどれも20くらいなんだけど……」


 俺の説明を聞いてリアンが落ち込む。


「大丈夫。『ウォータ』がチート級に強いから問題ないさ」


 そう、使い方を知らなかっただけで、低級の『ウォータ』はとんでもない威力を出せる。

 おそらく成竜とかの超大型モンスター以外に苦戦することはない。


「ちいと?」


「ああ、俺の言語翻訳でも伝わらなかったか。反則級ってことだな」


 この翻訳機能もよくわからない。日本語を話してるつもりでも相手にだいたいなんでも伝わるし、俺には日本語に聞こえる。


 仮にリアンを地球に連れて行ったとして、会話できるんだろうか。


(「それは……すみません。わかりません」)


 まぁ、そうだよな。悪い。


 それより『限界突破』だ。これも『勇者』限定かな?

 それと、その前に覚えた『感覚加速』と『ハイヒール』。


(「おそらく『限界突破』はそうだと思います。『感覚加速』は発動中はスローモーションの中で自分だけが普通に動ける、というイメージのスキルです。『ハイヒール』は上級の『ヒール』で回復速度が上昇し、その結果大怪我であれば魔力効率も上がります」)


 なるほど、だいたい俺のイメージ通りだな。

 『感覚加速』にデメリットとかないのか? あとで疲れるとか。

 『限界突破』は間違いなくあるな。ヤバくなるまで使わないでおこう。なるべくならこのまま封印だ。



(「通常の10倍近い速度で動くことになるので相応の反動はあります。なるべく無茶な動きは避けてください。それと効果時間はおそらく体感で10秒ほど、と覚えておいてください」)



「リアン、というかエルフは満遍なく育つものなのか?」


「うーん、だいたいが獣人ほど力は強くなくて、魔族ほど魔力はない感じ? ハーフエルフはわからないけど、エルフは成長限界がないみたい」


「晩成型ってことか。弱いのはレベルが低いうちだけなのかもな」


「だったらいいな。シンに置いていかれるのは嫌だもん」


「ふふ、その向上心が成長の秘訣みたいだぞ」


「わかった。がんばる!」


 この世界では自ら学ぼうとするとよりその経験は糧になるっていうのを身をもって体感してるからな。



 ところで、今って森のどの辺りなんだ?


(「魔王城を中心に見て西側の中間を超えた辺りです」)


 あれ? 城は北側に出なかったか?


(「北側は人間族の王都がありますのでリアンさんが加わってから方向を修正しました」)


 森の中だと方向感覚狂いまくってるな。

 向きが変わってることに全然気付かなかった。



 そういやプレベールから聞いた話だとここは魔王城を中心に北と南西、南東に頂点がある三角形に近い大陸だったよな。

 東側は海まで森が続いてて南東の方とは交流は少ないんだっけ?


(「はい。南東は今はほとんど人は住んでいませんし、西側には獣人の村もありますのでリアンさんと最初に寄るには一番良いかと」)


 リアンのことを配慮してくれてありがとうな。

 確か南東は特殊な種族が身を寄せ合ってるって聞いたな。

 プレベールもどんな種族がいるのかまでは把握してないみたいだったけど。


(「もし行かれるのでしたら北の王都の後の方が良いと思います。不確定要素が多すぎますので」)


 なるほどな。



「ねぇ! シンってば!」


「ふぁっ?」


「もうっ、さっきから呼んでるのにー! 何考え込んでたの?」


「ごめんごめん。この後どうしようかと思ってね。あ、といっても俺がレベル50になるまではここでレベル上げるつもりだから」


「ごじゅっ!? そんなに?」


「ああ。俺は元々戦闘に関して素人だからな。とりあえず力で抑えられないようにして余裕を持っておきたいんだ」


「あー。人間族の騎士様とかは『勇者』より強いらしいからね。うん、確かにそれくらい必要かも」


 まぁ、成長すれば『勇者』も強くなるんだろうけどそれを許さないんだろうな。



「それで、森を西に出て近くにあるらしい獣人の村に行こうかなって考えてたんだ」


「そうだね。そこなら問題ないかも」


「行ったことあるのか?」


「ううん、ないんだけど、獣人には悪い話は聞いたことないよ。どの種族にも差別しないんだって」


 そこに魔族は含まれないんだろうけどな。


 というか、間違いなく魔族が城を出られずに立て篭もってるって知らないよな。

 仕方ないとはいえモヤッとする。


「そこから草の根作戦だな」


「なにそれ?」


「そういう平和な小さな村から正しい情報を広めていこう、ってことさ。エルフの掟のこととかな」


「シン……」


「うおっ」


 リアンが急に抱きついてきた。


「シンのそういうとこ、大好き」


「ちょっ、さすがに照れる」


「えへへ、照れて照れて」



「まいった。俺の負けだよ」


「むー、ちゃんと言ってほしいな」



「俺もリアンが好きだよ」


「――っ!!」


「でもな、俺は地球に帰りたいとも思ってる。だからまだ軽々しく一緒になろうなんて言えない。理解できないとは思うんだけど……」


「ううん、今はこれで十分。嬉しいよ!」


「ごめんな」


「謝らないでよ。私は嬉しいんだから」


「じゃあ、ありがとう?」


「何になの? ふふっ」


「独りにしないでくれてることに、かな」


「ウォン!」


「ああ! イチもな! ありがとう!」


「お前のご主人様は寂しがりやだねぇ。いい子いい子」


「クゥーン」


 リアンに撫でられて嬉しそうに目を細めるイチ。


 うん、なんとなく心は決まったかな。

お読みいただきありがとうございます。


大陸の外に関しては特に決めてません。出てきたら後付けです。


次回からようやく森を抜けます。

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