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戦闘女服 - ガールズバトルスーツ  作者: 桂 ヒナギク
第一章 バルバロッサ編
3/65

3.それって恋なの?

 久木家。

 聡美は部屋で寝ていた。

 この久木家は、田舎から出てきた秀一が高校に通いやすいようにと、両親が用意した家である。

 ガチャ。

 玄関の扉が開く。

「うん?」

 物音に気づいた聡美は、玄関へ向かった。

「誰?」

 玄関に年配の男女が立っている。

「君は誰だ?」

「誰って、俺だよ」

 そう言って聡美は気づいた。

 着ぐるみを着たままだった。

「あ、これは事情がありましてですね……」

 聡美は二人に着ぐるみを着た秀一であることを明かした。

「ほう……」

 突然、男性が胸を触ってくる。

「きゃあ!?」

 聡美は女の子らしい悲鳴を上げて男性を突き飛ばした。

「何すんだよ親父のエッチ!」

「ちょっとお父さん!」

 立ち上がる男性。

「いや、生き物としての機能があるというからついな」

「ついな、じゃねえよ!」

「悪かったって」

 で——と、続ける男性。「ACRに入ったそうだな。長官さんから連絡があった」

「極秘組織なのに親には言うんだ……」

「まだ高校生だからな」

「それで、なんでまたこっちに?」

「お前が心配でな。今日から父さんたちもここに住むことになった」

「田舎の家は?」

「残してはあるぞ」

「ふーん。まあ、二人がこっちで暮らしてくれたら少しは楽になる。炊事洗濯とか一人でやらなきゃならないから、ちょうどよかったよ」

 聡美はそう言うと、用を足しにトイレへ入った。

 ジャー、と流してトイレを出る。

「秀一」

「なに?」

「お前、ずっとその姿なのか?」

「ああ、脱ぐの面倒だからな」

「高校は?」

「編入生ということにしてある」

「そうか」

「それじゃ、俺は学校行くから、この辺で」

 聡美はいったん部屋に戻ると、着替えて学校へ向かった。

 学校に着くと、聡美は精悍な顔立ちの男子生徒と遭遇した。

(確か、隣のクラスの……)

 横澤よこざわ 弘樹ひろきだ。

「君は確か編入生の……?」

「ひ、久木 聡美」

 聡美の心拍数が上がる。

(なんだろう? すごく緊張する……。まさか、ね)

 聡美は恋愛感情を疑ったが、男の自分が男に恋なんてとすぐに否定した。

 しかし、生体機能を再現したバトルスーツとなれば、あり得ないことでもないかもしれない。

「俺、横澤 弘樹っていうんだ」

「うん。よろしくね」

「おう」

 じゃ——と、弘樹は先に教室へと去っていった。

 聡美も靴を履き替えて教室に向かう。

「おはよう」

 教室に入った聡美は、洋子に挨拶した。

「おはよう、聡美」

「洋子に質問があるんだけど」

「質問?」

「今、靴置き場で横澤くんと会ったんだけど、急に緊張しちゃってね」

「ほほう。それは恋ですな」

「ないない! それはない! だって……」

 俺は男だから、そう言おうとして口をつぐむ聡美。

「だって?」

「いや、なんでもない。とにかく、私が恋だなんてそんなの」

「じゃそれを確かめようじゃない」

「確かめる?」

「そう。お昼休みに決行よ!」


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