39話 『告白』
風呂から上がった俺は、直ぐに自宅に戻った。
だが、自宅の前で止まり、中に入れないでいる。
「はは...やっぱりこういう緊張って奴はレベルやステータスでもなんともならないか...」
腹を括ったんだがな。
何だか自宅の筈なのにRPGで見た魔王城に見えるのはきっと錯覚だ...
もしかしたらこの世界に来て初めてここまで緊張したかも知れない。というと何だか締まらないけどな。
「さて、行く...か。」
次こそは本当に行く。
「ただいま。」
「あ、おかえりなさい。」
「エルは帰ってるか?」
「いえ、1時間ほど前に帰って来ていたのですが、旦那様が帰って無いと分かると旦那様を迎えに行くと言って先程出ていかれてしまいました。
旦那様と一緒では無かったのですか?」
「ああ、ちょうど入れ違いになったみたいだ。」
随分とタイミングが悪いな。
まぁ、それなら俺も探しに行くか。
「ちょっと行ってくる。」
「はい。分かりました。」
何か...慈悲を感じさせる顔で微笑んでいるな...天使みたいだな。いや天使だった。
こちらの事情を把握してる事はわかった。
まぁ、エルがああもあからさまだったから分からない方がおかしいか。
そんな事を考えながら俺は外に出た。
さてと、何処から探すか。
いや、探索スキルを使えばすぐ分かるか。
探索スキルは自分を中心にソナー探知をするイメージで使う。すると地形、生き物何かが分かる。
恐らくレベルを上げると精度と距離が伸びるんだろう。
なるほど、エルは旅館に居るのか。
やはり入れ違いになったのか。それとも避けられたか?いや、探しに行くと言っていたなら違うだろう。
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エルの居る場所を把握しながら向かった俺は、
旅館に着いた。すると旅館の入口でキョロキョロと何かを探しているようにしているエルが居た。
「ふぅ...よし」
行くか。
「何か探し物か?」
「うひゃあ!?
あ...あわ...そ、そうじゃっ!」
「そこまで取り乱さなくてもいいだろう。」
「と、取り乱して何か無いのじゃ!」
「そうか?」
「う、うむ」
「で、何を探していたんだ?」
少し惚けてみる。
「...分かってるじゃろうに...」
「ああ、知ってる」
「むぅ...」
「なぁ、エル。」
「............なんじゃ...」
「好きだ」
ああ、こういう時、自分の語彙力の無さが本当に嫌になる。
エルはしばらく唖然としてこちらを見て。
「...............もう1回...」
今にも消えてしまいそうな小さな声で言った
「ん?」
「......ふぅ.........聞き間違いかも知れ無いから...もう1度...言って欲しいのじゃ...」
「好きだ」
「...もう1回」
「だから、お前が好きだと言っている。」
「.........本当か?」
「ああ。」
「実は我は今寝ていて、これは夢ではないのか?」
「違う。何なら頬でも抓るか?」
「いや、痛いのは嫌じゃな...」
「ふっ...そうか。」
「...うむ」
「さて、帰るか。」
「いや、少し遠回りして行きたいのじゃ」
「ん?まぁ、いいが、どうしてだ?」
「何だかこのまま帰ったら終わりそうで...」
「そうか。まぁ、終わらないし、終わらせないが。お前が行きたいなら行こう。」
「う、うむ」
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それから俺達は2時間程街の中を歩き回った。
その間、エルは何度も...何度も確認をして来た。
もちろん俺は何度も、何度でも答えた。
「ふふふ...夢みたいじゃ。」
「夢じゃないぞ。」
「ああ、分かっているのじゃ」
「さてと、そろそろ帰るか?」
「うむ...」
そんな不安そうな顔はしないでくれ。
「分かった。じゃあこうして行こう。」
そう言って手を握った。
我ながらキザ過ぎるか?
少し調子に乗ってないか?
「あ...うむ。そうじゃな!」
そう言って強く握り返してきた。
良かった。引かれなかったようだ...
そして俺達2人はゆっくり歩いて帰った。
その日、帰ったらセアルにあたたかい目で見られ、やっと結ばれたんですね。おめでとうございます。と言われた。少し気恥しかった。
その日の夜から、エルは俺と一緒に寝ると言い始め、俺は何とか抵抗したのだが、最終的に潤んだ瞳でダメか?と言われて負けた。
はたして今夜は眠れるだろうか?
意識している相手と一緒に寝るのは無理だろう。
前までは手のかかる妹みたいだと思っていたんだが...意識してしまうともうダメだ...いっそのこと自分にスリープ的な眠れる魔法でもかけるか?
なんて事を考えていた。
ハーレムルートに進むか否かを悩むこの頃。




