のせい
「ここ散らかしたのミオだもん」
僕は飼い猫であるミオを指差してそう言った。僕のおもちゃがたくさん転がり、見苦しい部屋をミオのせいにしたのだ。お母さんは不満げに部屋を片付け始める。
ミオのせいにしていれば、大抵のことは許されると知り、めんどくさいことは全てミオのせいにしてきた。もう少し弟が大きくなれば、弟のせいにしてもいいかもと思っている。
お母さんが買い物に行くと言って家を出て行った。その後、僕はベッドに転がって暇を持て余していた。そんな時、リビングから物音がした。ミオが物を落としたと、そんなところであると思い、歯牙にも掛けなかった。
弟の泣き声が聞こえた。ミオがちょっかいを出したのだろう。昼寝の邪魔をされた時には殺してやりたくもなったが、今はそこまで眠たくないので気にならなかった。それに、泣き声はすぐに止んだ。水の音が聞こえた時も、ミオのせいだろうと思って無視した。
お母さんが帰ってきたと思えば、家の中に悲鳴が響き渡る。何事だろうと、お母さんの声を辿ると、そこには腹に包丁が刺さった弟がいた。お母さんは憎悪のこもった目をこちらに向ける。
お母さんの後ろにいるミオは、澄ました顔で僕が尋問されている様子を眺めていた。