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私は繋ぐ手に違和感を感じていた。違うと一度思えば、違和感が色濃く残るのだ。


「政略結婚ではありますが、私は貴女を女性として好ましく思っています。お家の都合だけではなく、ぜひ私の妻になって貰えませんか?」


ひざまづく婚約者の頰は照れたように少し赤く染まっている。私はなんて幸せ者なのだろう。政略結婚といえば、お家安泰の作業をしたらあとは好き勝手にする割り切った関係がほとんどだと言うのに、彼は私を夫婦として求めてくれている。女としてこんなに嬉しいことはない。


「私でよかったら…」


彼の手を取った。初恋は叶わないという。ならば次の恋を叶えればいいのだ。私は彼を愛し、愛されれば良いのだ。私は幸せになれる。彼は私を幸せにしてくれる。


「ありがとうございます。とても嬉しいです。」


婚約者の頰が更に赤く染まる。立ち上がった彼は私と両手を繋ぐ。繋いだ手の少し汗ばんだ感じと熱が、彼の気持ちが本物だと教えてくれる。彼の瞳には私が写っていると分かるほど、お互いの顔が近くにあった。そして、彼はそのままゆっくりと私の顔に近づいていき、私は目を閉じた。唇が優しく重なる。そこには慣れない私への配慮を感じた。


「必ず幸せにします。」


唇が離れると彼がそう言って私を抱きしめた。私もしがみつくが、心は何処かへ飛んでいってしまっていた。


ああ、なんて好ましい人なのだろう。なのに私は…



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