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夜更けに妹の部屋を訪ねる。妹は何かを覚悟したように、ひと息つくと笑顔で迎え入れてくれた。
「愛しているよ。」
何度かキスをしながらドレープの紐を解いていく。そして露わになった肩に齧りついた。ベッドから飛び起きるかのようにサラは体をよじらせた。しかし声は枕のカバーを咥えて抑えている。
「痛いのか?」
痛いならば素直に言えばいい。その甘美な悲鳴を聞かせてくれ。
「いえ…嬉しくて…お兄様が与えてくれるのならば、痛みさえも愛しく思えるのです。」
それまで枕に埋めていた顔をサラは正面に向けてまっすぐ自分を見つめている。サラの両手を自分の顔に添えた。それは大切な宝物を扱うように、愛おしそうに。
自分の中で何かが小さく萎んで行くのが分かった。昂ぶっていた気持ちが冷めていくのとは違う、ただ海の凪のように静かで穏やかになっている。腕の力を抜くとサラの首筋に顔を埋めた。
「愛しています。」
サラが背中に腕を回す。
「愛しています。」
もう一度サラは言う。
「大安売りだな。」
長年抱えていた気持ちが消えてしまってどうしていいのかわからずに、適当に悪態をついた。それが心から出た言葉じゃないのは分かる。分かるけど、この清々しさがむず痒い。
「お許しください。ずっと言えなかったのですから。お兄様、愛しています。これからはずっとそばに居てください。」
サラをギュッと抱きしめた。
サラの首元に唇を寄せる。今度は歯を立てずに、優しく吸った。




