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ロリと微乳は紙一重  作者: 西木田浩姫
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加奈の物語①

今回は加奈の視点です。

加奈の物語①


 お兄ちゃんは消えた。

 自分の目の前から唐突に消えた。

 私は何もできなかった。

 むしろ何が起きてどうしてそうなったのか検討すらつかない。

 一つ分かることは、お兄ちゃんは私の目の前から消えて、私は何もできなかったということだけである。


 

 まだ暑い日が続いてた日。

 ちょうど夏休みが終わり、一年も後半戦に突入し始めた時期。

 その日は、始業式で特段やることもなくいつもよりも早めに帰路についた。

 学校が早く終わったのに部活もなかったので特にすることがないなということを考えていた。

 家についた後、部屋でスマホをいじりながらごろごろしていた。

 夕方になり私とお兄ちゃんは一緒に買い物に行った。

 確かあれは5時過ぎだったと思う。

 お兄ちゃんは結構ケチでセールにならないと買い物をしない。

 食材一つとっても安くないと買わない主義なのである。

逆に普通の時に買い物をしている姿を見たことがない。

 いつも5時過ぎになるとセール品が並び始めると言って、買い物に行くときはその時間に買い物に出かける。

 そんなお兄ちゃんでも、お兄ちゃんとの買い物は楽しい。 

 特段面白いことがあるわけでも、何か欲しいものを買ってもらえるわけではないけれど、買い物して楽しそうにしているお兄ちゃんを見ると、こっちも自然に笑みがこぼれてしまう。

 だから、お兄ちゃんとの買い物はいつも一緒に行く。

 後は、買い物の内容を見ると、今日とか明日の献立がわかるからそれも楽しみではある。


 そんな楽しい日々が続くと思っていた。


 

 起きたら白い天井があった。

 私の部屋の天井の色とは違う。

 しかも、雰囲気も何か私の部屋とは違った。

「ここは…どこ…」

 いつもと違う感触、感覚で私は自然と不安になり声が出る

 

「目が覚めた?」

 私の左側から声がする。

 凛としていて聞きなれた声がする。


「ユズ…ハ…さん?」

 聞きなれてはいるものの、いつもならこんなところでは聞かない声を聞き、変に戸惑った返事をしてしまった。

「良かった~、心配したんだよ~。いきなり道端で倒れたって近所の人が救急車呼んでくれて、そしたら3日間寝込んだままだったんだから!!」

 私はたぶん病院に運ばれたのか。

 そして多分ここは病院で私は3日間も寝込んだままになっていたのか。

 って何かを忘れているような気がするんだけれど…


「お、お兄ちゃんはどこ!!!」

 私は慌てて病院のベッドから飛び起き柚葉ユズハさんに質問をした。

 慌てたせいで思ったよりも大きな声が室内に響き渡る。

 

「か、カナちゃん…それがね…うん…」

 柚葉さんはなぜか申し訳なさそうな顔をしながら答えを言おうとはしない。


「ねえ!!!お兄ちゃんはどこに行ったの!!!なんで教えてくれないの!!!」

 私は我を忘れて柚葉さんの肩をつかみ揺さぶりながら質問をし続けた。

「ねえ!!!早く教えてよ!!!お兄ちゃんはどこに行ったの!!!」


 少しの時間をおいて柚葉さんは答えてくれた。


「カナちゃん、お兄さんはいなくなったの。あなたが昏睡状態の時に私達も一生懸命探したの。警察も一生懸命探してくださったの。でも、見つからないの。突然いなくなったの。」

「え…」

 私は頭が真っ白になる。

 私が起きたら当然そばにいるものだと思っていたから私は驚いた。


「そ、そんなウソだよね!ゆ、柚葉さん。」

 私の声はなぜか震えてしまう。

 こんなのウソだと信じたかった。

 お兄ちゃんと出会ってから、いきなり目の前から消えるなんて一度も想像したことがなかった。

 そんなお兄ちゃんが私に何も言わずにいなくなるわけがないと。

 そう信じたかった。


 しかし、真実は残酷だった。

 柚葉さんは首を横に振って言った。


「カナちゃん、お兄さんはホントにどこかに行っちゃったの。」

 柚葉さんの言葉が心に重くのしかかる。

 それはものすごい密度を持ったもののようにドスンと重くのしかかる。



それから私は3日病院で過ごしたのち退院することになった。

 

 私こと田渡加奈タワタリカナは幼馴染であり、隣に住んでいる井伏柚葉イブセユズハさんの家に居候をさせてもらっている。

 柚葉さんは私の同級生の姉であり、同じ学校に通う言わば先輩である。

 そして、柚葉さんは私のお兄ちゃんと同い年なのである。


 お恥ずかしい話、私は女だけれど家事等は一切できない。

 さすがに洗濯物をたたむぐらいはできるけれど、料理はちっともできないのである。

  

 私が家事が一切できないことを知っている柚葉さんは、柚葉さんのご厚意で家に泊めてくださった。 

 たぶん、いい年ごろの女の子が一人暮らしと言うのは世間的に見たら変な話であるためと言うのも大きい。

 でも、私も一人では家にいたくなかった。

 少しでも一人になるといろいろなことを考え出して不安に駆られる。

 とにかく、一人でいるのが怖かった。

 だから、今回の話はとてもうれしかった。


「お家が狭くてごめんね。何か困ったことがあったら言ってね。」

「い、いえ!!全然大丈夫です!!とても過ごしやすいです!!」

「そう?それはよかった。」 

 柚葉さんは可憐に私に笑って言った。

 

 そして、私は同級生の香葉コノハちゃんと一緒に学校に通う。柚葉さんは生徒会が忙しいらしく朝早くに学校に行ってしまう。


「加奈ちゃん、今日は久しぶりの学校だね。もう、調子は大丈夫になった?」

 香葉ちゃんはおっとりとしながらも私のことを心配してくれる。

「うん。ある程度はね。まだ少し思いつめるときがあるけど…。で、でも、くよくよしてられないからね。」

「加奈ちゃんはすごく強いんだね。私だったら、絶対に立ち直れないよ。」


 私と香葉ちゃんと話しながら登校する。 

 香葉ちゃんと喋ると心が洗われるような気がした。



 学校につくと案の定、噂は広がっていた。

 学校に何日も顔を出さなくなれば誰しもが心配する。

 しかもどこから聞いたかは知らないが、人が一人消えたとなるとそれはなおさらである。

 必然であり当然の結果なのである。


 しかし、言うて自分たちの学校の人が消えたわけではないのでそんなに話題性があるわけではない。

 私の学校とお兄ちゃんの学校は隣ではあるが、交流がものすごいあると言う訳ではないので知っている人は知っているし知らない興味がない人は知らないということになる。

 そのおかげか、このことで変に絡んでくれ奴がいるわけではないので良かったと思える。



 HRは普段通り行われ、各自次の授業の準備をし始める。

「加奈ちゃん、次の授業は家庭科だよ。」

 香葉ちゃんがゆっくりと喋る。

「そうだね。いこっか!」


「にしても、ほとんど何にもなくてよかった~。私はてっきり何かいわれるかと思ってたわ~」

「そうだね、みんな心配してくれるし、良かったと思う。」

「ほんとね。いじめとかなくてよかった~」


 香葉ちゃんと話しながら家庭科室に行くために渡り廊下を歩いていると、ピカッと何かがひかったような気がした。

 そう、私があの時・・・見たみたいに。

 私は、一気に汗が噴き出るのを感じた。

「こ、香葉ちゃん。い、今のみ、見た?」

「か、加奈ちゃん…」

 いつも冷静な香葉ちゃんが珍しく動揺していた。

 とその時、外の方から悲鳴が聞こえてくる。

 外を見ると、中等部の子たちがグラウンドにいた。

 何かが起きたように見える。

 と言うか、私が知っている現象が起きている。


 私は思いつくよりも前に、体が動いていた。 

 私は走り出した。


「か、加奈ちゃん?!」


 私は何かに引き込まれるようにして夢中に走った。


更新遅くなり申し訳ありません。明日からも頑張っていきます。

誤字脱字がありましたコメントよろしくお願いいたします。

感想もぜひぜひお待ちしております。

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