第一章‐1回
これからが本編です
一、夏風邪
昨日から姪っ子の大きい方が熱をだした。今朝1番に近所の診療所に連れて行ってきたところだ。夏風邪だそうな。
今は隣の部屋で寝ているが、辛そうだ。
彼女の名前は美代、小学1年だ
突然帰った(というか彼女からしたらばいきなり押しかけた)見知らぬ男に、割に早くからよく懐いてくれている。
「おじさん宿題がね〜」
が口癖の可愛い姪っ子だ
だから義姉さんも看病を任せてくれたのだろうが、私には定期的に様子を見に行き。
医師に出してもらった薬を飲ませるくらいしかできない。いい加減に汗をかいただろうに着替えも必要だろうか。さて、彼女の寝間着はどこにあっただったろうか。
「おじさん、寒い」
寝間着を持って行くと、美代は待ってたと言わんばかりに私に訴える
このクソ暑いのに寒いとは、まだまだ熱は高いか。顔は鮮やかに赤く、そのくせ唇だけは色がわるく、落ち葉のように乾いている。
とにかく着替えをさせて、ついでにシーツも変えてやった。
スポーツドリンクでも飲ませて、まだ寝ていないといけないだろう。
しかし、姪っ子達はやたらに幼い頃の義姉に似ている。
まだ幼い私がみていた今の義姉、当時は野中のマサ姉と言った彼女は今の美代にそっくりだ。
我が家の斜向かいにサラリーマンの家があって、彼女はそこの一人娘。近所でも有名なおてんばだった。昔はよく(マサ姉が中学生くらいまでは)
「コラ正美!」と、中野の親父さんの叱り飛ばす怒鳴り声が聞こえたものだ。
その親父さんもおばさんも、5年も前に死んでしまっていた
主を失った家は、今も斜向かいでさみしく建っている。
さて、そろそろ昼だ。兄貴達が帰ってくるだろう。
さてと・・・
「美代〜昼の薬だぁ」
医者から出された薬を与えに、隣の部屋へ
結局は翌朝までマサ姉と交代で看病した
徹夜の甲斐あって・・・というか美代の元気さが風邪に打ち勝ち、38度もあった熱もまる一日寝込んだら36度8分と微熱まで下がった
食欲も戻り、私が作った粥を食って満足げにしている
明日までゆっくり眠れば元気になるだろう
明日にはまた、絵日記やら自由研究やらの
「手伝ってぇ」が始まるのだろう
今のうちに眠貯めておこうか