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ごく平凡な街、夜は居酒屋が多い都会な街。

駅からはそう遠くない。

そんな公園に男が一人。古びたベンチに座っており、服は所々裂けている。

所謂ホームレスだ。

その男の名はAという。齢は36だ。○○高校卒業後有名大学に進学するも就職先の上司にパワハラを受け退社。そして今に至る。

Aはこの世に絶望していた。死にたい、と。

私はそんな彼に話しかける。

「初めまして、Aさんだな。」

そう言うと彼は不思議そうな顔をした。

「あなたの命私に売ってくれないか。」

彼は驚きそして冗談だと思ったようだ。

「申し遅れた。私はこういう者だ。」

彼に名刺を渡す。

名刺には生命買取会社と私の名前が書いてある。

名刺を受け取った彼にこう話す。

「私は人の命をもらう代わりに、ひとつだけ願いを叶えることができる。但し、人を殺すことだけは不可能だ。」と。

彼はタチの悪い冗談だと思ったみたいが、死んでも構わないと思っているから契約に応じると言った。

「冗談ではないが本当に大丈夫か。」

すこし考えさせてくれというので二時間ほど待つ。

薄暗い電灯が不気味にも下を照らしている。

長いようで短い二時間が経過した。

「決まったか。」

彼は契約に応じるようだ。

「それで、叶えたいこととは。」

彼は牛丼が食べたいと言った。

「そんな願いでいいのか。」

彼はハイと答えた。もう何日も食事を食べてなくて、仕事中によく食べていた牛丼が食べたいそうだ。

上司への復讐はするつもりがないようだ。

「分かった。」

私は牛丼を目の前に出現させた。

それに彼は驚く。

そしてその牛丼を彼に渡す。

「そいつはサービスだ。」

牛丼は特盛りだった。

彼は泣きながらそれを食べていた。

「では死んでもらうが言い残すことはあるか。」

彼は牛丼ご馳走様でしたといいそしてその場に倒れた。

雪が降る公園。寒空の下。彼は息絶えた。

この街にはホームレスはたくさんいる。

そして一部はこの冬を越せないだろう。

この寒さは復讐する気をも無くさせる。

彼はまだ幸せだった。


その後彼の死因は凍死とされた。


いつもどうりの町並みから一人消えた。

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