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プロローグ
俺には『推し』がいる。
この次元には存在しない。三次元女子……つまり、創作されたキャラクター。
そんなヒロインはいま、俺の目の前で――振られようとしていた。
『だって、私……ずっと公のことが――』
『ごめん……俺は……』
目頭が熱くなる。
『……うん、わかってる。……わかってるよ――だから、行ってあげて?』
『悪い……!』
走り去っていく主人公。
そう……彼女は――
『……公のバカ。』
――負けヒロイン。
何回見ても、振られるシーンは涙なしでは見てられない。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
俺が渋々立ち上がろうとした、そのときだった。
リモコンを思いっきり踏んだ。
「……やべ。」
テレビには、ノイズが走り、雑音が聞こえてくる。
画面がぐるぐると回って見える。
そして、目が覚めたら――
――部屋が変わっていた。




