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台本  作者: アリスノア
2/3

9月投稿用

本来はボイス台本として書き始めた物なので、序盤は自分のセリフ以外はカットしています。想像で補填してください。


世界観については

https://ncode.syosetu.com/n7450km/2/

↑これを流用しています。


アリスノアというV体の初期案(吸血鬼)と今の活動設定(人族の王子)の辻褄を合わせるための話です。


活動には別に関係ないです。二次創作的なものだと思ってお楽しみください。


「これで貴様の首を刎ねるのも何度目になるのだろうな。

 最後に言い遺すことはあるか?」


「…全く同じ言葉を、千回は聞いた。もっとレパートリーはないのか?」


「まぁ、無いのだろうな。どうせ明日にはまた元通りだ。本当に、くだらない。

 貴様のその憎々し気な顔も見飽きた。矮小で、卑怯で、堂々と白痴を晒す。醜悪な人の王よ。」


「…もういい。黙れ。」



---



「はぁ〜。」


「なんだ、いいじゃないか別に。

 かれこれ数百年は戦い続けているんだ、ため息のひとつも出る。俺も研究者の地位に就けばよかった。

 まぁ、何度試しても最後には戦いに出させられるのだがな。因果律とは本当に厄介なものだ。」


「…まぁ、そんなツレないこと言うなよ。

 うちの使用人達は従世者しか居ないからつまらないんだ。ちょっとぐらい会話に付き合ってくれてもいいだろ?」


「そうだ、グリムが現実世界へ転生したらしい。

 なんでも面白い人間を見つけたそうだ。あのグリムが気に入る人間がいるとは、人生何が起こるかわからんものだ。」


「…いっそ俺らも転生するか?

 今までは現実世界の様子も不透明だったから躊躇していたが、それなりに情勢も落ち着いているのだろう?」


「方式はどうする?

 現実の住人と敵対するなら受肉一択だが、共に生きるなら受肉と憑依で選択せねばな。

 とは言え憑依先を探すとなるとどうにも手間がなぁ。」


「そうか、お前は受肉して現実でも研究を続けるのか。

 さて、どうしたものか…」


「そうだ、いっそ人間の王族へ憑依しよう。

 そこいらの人間より、いくらか波乱万丈な人生を歩めるであろうよ。」


「…その前に、少しこの世界を見て回る。

 生まれてこの方、この泡の中しか見たことがないからな。」


「『人魔大戦』

 この戦争自体が巨大な空想体とはな。生まれて100年も気づかないとは恐ろしいものだ。

 気づける者の方が稀らしいがな。人の王など、この空想体が生まれてから数千年はあの暗君のままだ。

 魔王は既にこの茶番から抜け出しているというのに。」


「兎も角、明日にはここを出る。楽しみだ。

 こんな気持ちは、生まれて初めてだ。」


---


 空想世界とは、無数の泡の集合体だ。

ひとつ泡を超えれば、全く異なる光景が広がっている。


 最初の泡は深い森だった。

『人魔大戦』の泡はほとんど焼け野原だったので、草木が生い茂る景色だけでかなり新鮮だ。

 俺はそこで『カーバンクル』という幻獣に出会った。

体毛は白く、額には赤い宝石が埋まっている。特徴は…フェネットが一番近いだろうか。

魔物かと思ったが、言葉を喋ったので驚いた。危うく斬ってしまうところだった。

なんでも、他の泡から来た魔物が暴れて困っているんだと。見つけて討伐したらとても懐いてくれた。

泡を出る頃にはお兄と呼んでくれていて、俺には兄妹というものが居なかったので、素直に嬉しかった。


 ふたつめの泡は魔界だった。

この泡から魔物が侵入したのだと推察できる。

 この時の俺は少し増長していたように思える。

管理はどうなっているのか、と適当に一番大きな城へ行き、止めようとしてきた衛兵をぶっ飛ばし、玉座の間まで強引に侵入した。バカか暴君だったと思う。

 偶然、城主は留守にしており、城主の息子だというデュラハンと戦いになった。

剣の腕は俺以上だった。素直に感嘆したのを覚えている。異常な速さ、この上なく合理的な技。

血躁術と魔術で無力化したが、俺はこのデュラハンと仲良くなりたいと思った。

 聞けば、城主の意向でこの城にほぼ監禁状態だというではないか。

無表情な男だったが、外の世界を見たい、と確かに言った。

 アデルは激怒した。呆れた王だ、生かしておけぬ。と、まぁ5割好奇心で城主…魔神へと戦いを挑んでみた。結果は…。まぁ、所詮一介の吸血鬼だ。魔神に勝てるはずもなくボコボコにされた。

 頑張ったんだけどなぁ。でも片腕は切り落としてやったし、善戦した方じゃないか?

危うく殺されそうなところでデュラハンが間に入り、どうにか執成してくれた。

 魔神さまは思っていたより気持ちのいい奴で、デュラハンを連れ出すのを許してくれた。


ちなみにこうなってから初めてデュラハンの名を聞いた。アーレスと言うらしい。


 魔物が泡からあぶれたことについては、500年ほど前から空想世界全体が不安定になっている影響らしい。魔神が不在だったのも、別の泡へ出現した魔物への対応のためだそうだ。なんだか悪いことをした。

 結果としてアーレスも開放できたし、魔神も楽しめたと言っていたので良いとしよう。


 アーレスは俺との距離を測りかねているようだった。

深き森の泡でのこともあり、盃を交わして兄弟の契りを結んだ。現実世界での風習だそうだ。


 それから、俺とアーレスで多くの泡を渡り歩いた。


世界樹の国。


獣人の国。


神界。


電脳世界。

etc…。


 どの泡でも何かしらの問題が起きていた。やはり空想世界全体が不安定なのだろう。

問題へ直面した時は、出来るだけ解決して歩くことにした。

 どうも、人魔大戦の泡の魔王が悪さをしているようなのだ。そう、我が君ですね。

何を考えているのかと思ったが、元から考えなしに色々やらかす人なので、恐らく意図したことではないのだと思う。多分。


 兎も角、泡の数は無限だ。

俺とアーレスは旅に満足し、それぞれの世界へと帰ることにした。

 彼には中々どうして世話になった。現実世界で逢うことがあれば、酒でも奢るとしよう。


---


 さて、魔王軍お抱えの予言のババ様によると、もうじきノア王国という現実世界の国で、第二王子の出産があるらしい。

 憑依の場合、俺の意識が表に出ることはない。が、それでいい。

もう充分生きた。吸血鬼なので、生きたという表現が正しいかは微妙なところだが、この人生には満足できた。吸血鬼生か?


 何にしろ、この人魔大戦の泡以上に退屈な世など存在しないだろう。

俺は何の躊躇いも無く、銀の十字架で己の心臓を貫いた。


---


(SE:赤ちゃんの泣き声)


 …あぁ、生まれたのか。


 ほらお母さん、可愛い男の子ですよー。…ん?なんですかお母さん、その不安そうな顔は。

なんだろう、分娩室に居る全員、顔が晴れない。


 な、なんだ?身体が冷たい。

まさか…死産?いや違う、死体の冷たさじゃない。


 まずい、このままじゃ空想世界へ強制送還だ。蘇生しないと。

魔力で心臓を握って…冷た!?ここが原因か!

クソッどうにか蘇生を!全身に魔力を…!動け動け動け…!


 あっ動いた!「あぅ…。」


 …ん?今、俺の意思で身体が動かなかったか?

「あぁ」あっやっぱり!


 これは…やってしまった。

どうやら、身体を乗っ取ってしまったようだ。


---


 今回は私の新居を紹介します。

なんと敷金礼金ゼロ!3食昼寝付き!


はい、ベビーベッドの上です。


 まぁ、食事が必要かどうかもわからないんだけどね。

睡眠欲もほとんど無いし。


 空腹感はない。しかし味覚はある。

ミルクってのはおいしくないんだね、生まれた時から成人だったから知らなかった。


 俺が息を吹き返してからは正しく阿鼻叫喚だった。

死人が生き返ったのだから当然か。


 王妃?は産後の疲労と赤子が蘇生した衝撃で気絶するし、窓越しに見守ってたらしい国王?は狼狽え過ぎてメイド長らしき人に叱られるし。国王情けねぇな。


 ひとしきり叱られ落着きを取り戻した国王は付き人らに何やら言いつけ、公務に戻ってしまった。

それから三日、俺は乳母らしき人にお世話されている。


 その間、何もしなかったわけではない。この身体について隅々まで観察をしていた。

俺の人間の身体に対する認識が間違っている可能性もあるが、それにしてもこの身体はおおよそ人間離れしていると言って差し支えないだろう。


 まず、脈がない。呼吸もいらない。試しに息を止めてみたが、一切問題がなかった。

乳母がとてつもなく焦ってたけどね。申し訳ないことをした。

 お腹も空かないし排泄もしない。

飲ませられるミルクは、食道から胃までに浸透している感じだ。なんだろう、不思議な感覚だ。


 そして筋肉を動かすのは魔力だ。脳からの指令が脊髄に届かない。

試しに魔力の供給を減らしてみたら、手指の動きがかなり鈍くなった。

さらに減らすと、皮膚がパリパリに凍り始めてしまった。

乳母が本当に凄まじく焦ってた。すまん。


 さて、俺はこの身体の構造に覚えがある。


 ゴーレムだ。


 動力である魔力を供給し、無機物をさも生きているように動かす魔術兵器。

旅の途中に一度だけ見かけたのだが、あのゴーレムはメカメカしい見た目に20mもの大きさがあった。

それに比べてこの身体は、見た目は矮小な赤子。ここ数日で少し成長しているようにも感じる。

あまりにも不思議な身体だ。しかし、性質はゴーレムそのもの。成長するゴーレム。


 それと、関係あるか分からないが、城内で呪いの気配がする。

漠然と漂っているが、かなり強力な呪いだ。


 これ以上のことは分からなそうだ。別のアプローチで調べる必要があるな。

まぁ、赤ん坊にできることなんてほとんどないんですけどね。


---


 今日で5年が経過した。

言い換えよう、今日は5歳の誕生日だ。


 誕生日という文化は、獣人の国で初めて知った。

人魔大戦の泡にはそんな文化無かったし、何なら自分がいつ生まれたのかも分からない。吸血鬼とはそういうものだからだ。

現実世界に来る際には、そういうイベント事も宿主と一緒に楽しもうなどと考えたものだ。


 で、現在。

食卓だというのに衛兵に囲まれています。

王妃や兄姉の姿はないな。


「これはどういうことですか?とうさま。」


「己が一番良く分かっているのではないか?」


「さて…どうしてでしょう…」


 心当たりしかないなぁ。


「貴様の狙いは何だ?」


「ぼくにはなんのことだか。こわいですよ、とうさま。」


「これ程の魔力を垂れ流しておいて知らぬと申すか!」


まさか。


「とうさま、魔力が見えるのですか?」


「余は霊視の魔眼を持っている。しかし、そうか…」


 うかつだった。

身体の維持のためとはいえ、魔力を出し過ぎた。

空想世界にも魔力を直視できるものは居た。とても珍しい存在だったはずだが、現実では割と多いのだろうか?

まさか国王がそうだったとは。


 そうか、だから生まれた時にあんなに取り乱していたのか。


「貴様、名をなんという。」


「ぼくはアリス…」


「よい。なんにせよこの場の者では束になっても貴様には敵わぬ。

それに、貴様も訊きたいことは山ほどあるであろう?」


 後で知った事だが、魔力や霊体を視ることができる霊視の魔眼を持つ人間はかなり少ないらしい。

ノア王国の国王が魔眼を持っていることは世界的な常識だとか。

 この世界の魔王軍でも持っている情報を俺が持っていなかったため、一先ず潜入のために入り込んだわけではないと判断したらしい。


「アデル・アルカードだ。」


「アルカード。吸血鬼か。

なぜその身体を奪った?」


「奪うつもりは無かった。憑依先が死産になると思い蘇生を試みて、結果として奪ってしまったのだ。

正当な息子の自我を殺してしまったかもしれない。すまなかった。」


「憑依?…よい。何にせよ死んでいた身体だ。」


「…この身体はなんだ?この国は人間の国ではないのか?」


「本当に、何も知らずに身体を得たのか。分かった。長くなるぞ。」


 そう言うと、国王は付き人に言いつけ、1冊の本を持ってこさせた。

俺も寝かし付けの時に読んでもらったことのある絵本だ。


---


 昔、崩壊の魔害が起きた時代。


国を追われた人々は北方の寒冷地へと辿り着いた。


魔物の群れも寒い土地には発生が少なく、避難民はそこへ定住した。


しかし貯蓄が尽き、農作物も取れず、民は次第に飢えていった。


食料の奪い合いが始まった頃、一人の魔女が現れた。


のちに『豊穣の魔女』と呼ばれるその魔女は、『シュブニグラスの宝珠』という秘宝を当時の長へ授けた。


秘宝の力で飢えの時代は終わり、集落は防壁を築き上げ国へと至った。


ここまでが一般的に知られるノア王国建国のおとぎ話。


実情は、秘宝は貸与された物である。


魔女は宝珠を渡し、50年後に取りに来ると言って集落を離れた。


それから50年後、当時の国王は宝珠を受け取った長の息子だった。


長は既に亡くなっていたが、必ず返すように息子へ伝えていた、はずだった。


息子は強欲な男だった。


飢饉の時代を幼少期に経験していたこともあり、二度とあの時代を繰り返すまいと、宝珠の返還を拒んだ。


それどころか、衛兵で魔女を囲み攻撃を加えた。無防備な状態の魔女相手に。


当然魔女は激怒し、衛兵は皆殺し。王家へは戒めとして呪いをかけた。


王家一代に必ず一人、呪い子が生まれる。


呪い子は生まれた時に凍てつき、命を落とす。


子の死体を見て思い出せ。


欲に溺れる勿れ。過去の罪業を、忘れてはならない。


それが王家に伝わる伝承である。


「宝珠はどうなったんだ?」


「魔女が持ち去った。元々返すべきものなのだから当然だ。」


「そうか。」


 まぁ、良く分かった。

この5年間城内で感じていた呪いの気配は、そういうことだったのだ。


「アルカードよ。お主でもこの呪いは解けぬか?」


「無理だな。呪いは、消えないから呪いなのだ。

理路整然と編まれた魔術などとは訳が違う。」


「そう、か。」


「ただ、呪いはより強い呪いを当てることで返すことができる。」


「より強い呪い…。500年消えぬ呪いより強い呪いなど…。」


「王よ。俺もこの家に生まれた人間だ。

正直に話してはくれないか?」


「…隠し立てはできぬか。着いてこい。」


 この5年間、俺は探知魔術を広げてきた。

城内だけでなく庭や別館、宿舎に至るまで魔力を広げ、調べ上げた。


 そして一か所、この上なく不審な場所を見つけた。

裏庭の小屋。中には何もないはずなのに、濃密な怨嗟が漏れ出ていた。

この小屋が城にこびり付いた呪いの根源かと思っていたが、今の話を聞いた限り違う。


ここは、墓だ。


---


 小屋の床板を外し、現れた階段を降る。

そこは洞穴。岩の晒された壁面。広さは食堂と同じくらいか。


小さな棺桶が等間隔に並んでいる。


「ここは『冰墓』。

全ての呪い子の墓場だ。」


 棺桶の数は20個ぐらいか。

ひとつだけ、蓋の開いた空の棺がある。


「俺の入るはずだった棺か。」


「不快だったかね?」


「いいや。」


 それにしても、濃い。凄まじい負の意思を感じる。

俺の身体が凍ったタイミングからして、この子らは生まれた後に凍っている。

つまり、心を持った瞬間に死んでいるのだ。

とは言え、この空間に漂っている感情は恨み、憎しみではない。


 困惑、無念、悲しみ。

自分の身に何が起きたのかも理解していない。


 可哀想だ。

素直にそう思う。


 それ以上に、この無念をどうにか晴らしてやらねばと思うのはなぜだろう。

どうして、自分がやらなければいけないと思ってしまうのだろう。


それはきっと。


「離れているといい。」


 空中に氷で魔術陣を描く。


 前の身体の固有魔法は血操だったが、今の身体は冷気の操作だ。


 呪還しの魔術陣。対象は魔女の呪い。糧は二十の赤子の無念。

棺から黒い魔力が溢れ、魔術陣へ吸い込まれる。

地下室に漂う怨念も余すことなく利用する。


 魔女も被害者だろう。裏切られ、さぞ悔しかったに違いない。

だが、子供は関係ない。新しく生まれる命が背負うべき罪など、決して無いのだから。


 魔術陣から巨大な影が放たれる。

影は天蓋を突き破り、小屋を吹き飛ばし、夕焼けでオレンジ色になった空を黒く覆ってゆく。

水に落とした絵の具のように、広がり、侵蝕する。


 やがて魔術陣から影が抜けきり、氷が砕け散った。

既に影は王国全土を覆っている。国外から見れば、この国だけ夜が訪れたように見えるだろう。


 夜空から王城へ、右腕が伸びる。

指が短く、肉付きがいい。赤子の腕だ。


 右腕が王城の上空で手を握り、何かを引き剥がした。

黒いベールのようなものを持ち、右腕が夜空へ戻っていく。

ベールを飲み込み終えた瞬間、水滴が落ちたように波紋が広がり、夜が消滅した。


「事象の規模が魔神の極大魔術レベルなんだけど?現実世界ってもしかしてヤバい?」


「余とてこんな規模の魔術は初めて見た。お主の力ではないのか?」


「俺は陣を描いただけだ。赤子の純粋な負の感情とは凄まじいものだな。さて」


 呪いは無くなった。棺の中の凍った赤ちゃんがどうなるか確認しておかないとな。

死体が腐ってベビーアンデッドになったのでは浮かばれない。試しにひとつ棺を開ける。


「…え?」


 そこに人型の死体は無く、在ったのは純白の雪。


 瞬間、全ての棺が中から弾ける様に開く。

二十の棺から雪が舞い上がり、襲い掛かってきた。


「イヤァーーーーーーーー!!!!」


 藻掻こうと何しようと相手は雪。振り払うこともできずにもみくちゃにされる。

助けて欲しい顔をしても誰も助けてくれない!

おいコラ国王!見てないで助けろよ!オロオロするなみっともない!


---


 どれだけの時間揉まれたか。

途中から諦めて、仰向けでだいのじになっている。

どうやら殺されるわけでもないようだし、好きにされてみることにした。

割と冷たくてきもちいい。


 繭のように集っていた雪が飛散した。

何をされていたか確認するために立ち上がってみると、随分と視点が高い。


 氷で全身鏡を造り確認してみると、そこには齢20歳程度の線の細い美人な男がいた。


 俺は背中から倒れ込んだ。


 考えてみれば当たり前だ。

あの子供たちの無念は魔女への恨みでも何でもなく、《生きたかった》だけだ。

 目の前には体組織が同質で自由な個体。

飛び付くのは当然の帰結だ。


 幸いに意識が汚染されているような刺激も無い。

と、なれば。


「君らの分まで楽しく生きてやろうじゃないか。」


 仰向けになって良かった。

飛散した雪が、吹きさらしになった夜空へきらきらと舞っている。


 これからどうしようか。

先に転生したグリムリーパーでも捜してみるか。


 身分は今のままで良いだろう。

あの子らが継げなかったものだ。

一人称も王子らしく僕だ。


 ただの第二王子では味気ないな。

名前も今のモノの方がいいだろう。


こう名乗ろう。


雪の王子、アリス・ノア。

アデル・アルカードがアリス・ノアになるまで。

以下本編書く前の初期プロット


場面

戦場→屋敷→生誕→少年になるまで→『冰墓』


戦場

つまらない、くだらない、無意味無意義な争いの場。

『魔王と人間の戦争』という空想体。終わりなき闘争。

うんざりしたアデルの描写。


屋敷

ネロ宅。愚痴を零すアデル。

魔王が現実を侵食しているだとか

死神はもう現実へ行っただとか

己も現実へ行くことを伝える。

現実へ行く前に空想世界を旅する。

一般人への憑依はつまらない。

どうせなら王族へ憑依しよう。


生誕

王城の手術室にて生まれる。

とり上げられた瞬間心停止。身体の氷化。

てんぱりながら蘇生、呪いへの対処。

王室大騒ぎ。


少年になるまで

何の変哲もない幼子のふりをしながら情報を探る。

5歳にてようやく参考文献を見つける。


曰く、建国の際に魔女の力を借りた。

曰く、初代国王が魔女との約束を反故にした。

曰く、魔女が王族へと呪いを掛けた。

一代に一人、心の臓が凍てつき命を落とす赤子が生まれる。

恐ろしい魔女を裏切りし罪業を、決して忘却するべからず。


冰墓

呪い子の墓場を見つける。

多くの赤子から生まれた怨嗟を使い、呪いを魔女へと返す。

死体は全て雪へ変質し、アリスと融合していく。

『雪の王子』を自称することを心に決め、『雪の王子、アリス・ノア』が誕生する。

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