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八十話 終戦の物語

妖刀を引き離すことに成功し、犬神たちは夜行を逃げないように縄で巻き付けた。

「これで夜行は動けん。」

「終わった…んですね。」

妖刀も動かない。もう安心だと思いゆづるはダルマを急いで運ぶ。

「ダルマさん!早く封印しなきゃ!」

「任せるでごわす!!」

ゆづるはダルマを妖刀の近くに置くとダルマは大口を開け封印の儀を行おうとした途端、カタン、カタンと妖刀から音がした。

「?今、妖刀が…揺れたか?」

「そんなはず…」

カマイタチは異変に疑問を持つ。

「ま…だ…終わって…いない」

「!!!!」

気絶しているはずの夜行が口を開いた。いや、まだ操られていたのかひひひっと笑い出したと思ったらガクッと力を失った。

「まずいでごわす!!皆、離れるでごわす!!!妖刀は…まだ動いてるでごわす!!」

「なんだと!?」

その言葉に犬神たちはすぐさまその場を離れた。しかしゆづるはダルマを持って逃げようとし、逃げ遅れてしまう。妖刀はみるみる黒いモヤに身にまとい力をつけていき、刃をゆづるたちに向けた。もうダメだと目を力強く瞑る…だが次に目を開いた時は避難したカマイタチの近くにいた。

「…!!なんで!?」

「こいつが助けてくれたんだ!」

カマイタチが指を指す方を見ると怪しげな妖怪がいた。少し怖いと感じたが助けてもらったんだとお礼を言った。

「ありがとうございます!助かりました!」

「オイラからも礼を言うでごわす!」

「いや、構わない。お前たちはここに隠れていろ。」

そういった妖怪は何故か頑なにゆづるを見ようとしない。なにかしてしまったのかと心配になったが、今はそれどころでは無い。

物陰から様子を見ると妖刀は上空に漂い周りを警戒していた。

「どうしたもんか…。」

「…これは最終手段と思っていたでごわすが…仕方ないでごわす!!少年、話を聞くでごわす!!」

ダルマは真剣な顔でゆづるを見つめ向き合う。ゆづるは驚きながらもダルマの言葉に耳を傾けた。

「妖刀「紗雨」は確かに妖怪や魂を斬ることができるでごわす。しかしただ一つだけ斬ることの出来ないものがあるでごわす…それは生きた人間でごわす。」

「えっ!?」

「おい!ダルマ!ゆづるにあの妖刀に向かっていけってことか!?無茶言うなよ!!」

「しかし、他に方法がないでごわす!少年!頼めないでごわすか!?」

ダルマはゆづるに熱い眼差しを送る。ダルマが言っていることが本当なら人間は自分しかいない。どうにかできるのも…ゆづるの中で答えは決まっていた。

「……やります!僕が妖刀の近くまでダルマさんを連れていきます!」

「ゆづる!分かってるのか!?人間は斬れないとしても危険すぎる!他の方法を…」

「カマイタチさん、ありがとう。でも時間が無い、これに掛けるしかない!」

「話は聞いたぜ!ゆづる!!」

ゆづるが振り向くと後に一つ目と蟒蛇がいた。目黒組と妖怪の避難に動いていたのだ。

「俺たちにも手伝わさせてくれ!」

「お願い!!」

「お前らな!聞いてたなら分かるだろ!?妖怪は斬られるんだぞ!?」

「それでも!友達を一人で危ないとこに行かせるほど、俺たちの友情は腐ってねぇから!!」

「坊主共!よく言ったでごわす!」

「…あぁぁぁぁぁ!!!わかったよ!!だが、俺も加勢する。」

「私も行こう。」

カマイタチと怪しげな妖怪は立ち上がる。各々決意が固まったようだ。

「俺がゆづるを妖刀まで連れていく!」

「蟒蛇が?」

「へへっ!これでも次期蛇の里の頭領だ!巨大な蛇にもなれるんだ!」

「俺はゆづるを落ちないように支える!!」

「じゃあ、アンタと俺はゆづるたちの援護だ。いいな?」

「了解した。」

ゆづると一つ目は蟒蛇の背中にくっつくと蟒蛇は力を全身に込める。すると蟒蛇はみるみると巨大な蛇に姿を変えていく。

「もっと…もっと大きく!あの妖刀に届くぐらいに!!!」

「頑張れ!蟒蛇!」

「頑張って!」

ゆづるたちの応援があったからか、蟒蛇は天まで近い巨大な蛇に変化した。そしてそのまま妖刀に向かって体を伸ばしていく。

しかし妖刀も力を得ようと鋭い黒いモヤで攻撃を繰り出し、カマイタチは風で、怪しげな妖怪は刀で弾いていく。

「近づいてきたぞ!!」

「ここで飛び降りるよ!」

「何言ってんだよ!危ないぞ!」

「これ以上は一つ目たちを危険な目に合わせたくない!お願い!!」

「一つ目、ゆづるを信じよう!」

「……そうだな!ゆづる!絶対に無事でいろよ!!」

「うん!!」

意を決したゆづるはダルマをぎゅっと抱きしめた。

「行くよ!ダルマさん」

「おうさ!」

その返事と共にゆづるは妖刀に向かって飛び出した。

妖刀はゆづるを近づけさせまいと攻撃してくるが、人間のゆづるには傷一つも付かない。段々と距離は近くなる。そしてついに……

「「沙雨」!!観念するでごわす!!」

小さかったダルマは今度こそ逃すまいと巨大になり再び大口を開け、妖刀を飲み込んだ。

「やった!!」

その光景を見たゆづるは喜んだが、落ちていく自分の体に焦りを感じた。この高所で落ちれば一溜りも無い。地面がだんだん見えてくると急にふわっとゆづるの体が軽くなった。

「!体が浮いてる…....!!蝶?この青い蝶たちは!!」

「ゆづる!大丈夫か!!」

「おじいちゃん!!」

「良かった!間に合ったか!」

蝶で受け止められたゆづるはゆっくりと地面に降ろされた。まだ体はヨロヨロしアキヒロにもたれかかる。

「おーい!ゆづる!大丈夫か!?」

「カマイタチさん!大丈夫だよ!」

「心配させやがって!」

カマイタチはゆづるの頭をわしゃわしゃと撫でると一つ目と姿が戻った蟒蛇もやってきた。

「ゆづる!やったな!」

「上手くいったね!」

「あ!ダルマさんは!?」

次の瞬間、ドスンと巨大なダルマが落ちてきた。まだ妖刀は抵抗しているようだ。

「大人しくするでごわす!暴れるな!!」

もう一度ドスンと飛び跳ねると妖刀は諦めたのか、静かになりダルマは口から鞘に入った妖刀を吐き出した。

「封印は成功でごわす!強い念を入れたでごわすからもう、身動きさえも出来ないでごわすよ!」

「本当にやったんだね!」

「あぁ!俺たちの勝利だ!」

「やったー!」

一つ目たちは喜びで飛び跳ねていると空から何やら妖怪がやってきた。

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