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七十五話 戦いの物語

「ひぃぃぃ!!」

妖刀によって現れた影は瞬く間に天空山の村に広がり、逃げ遅れた妖怪たちに襲いかかる。

「逃げろー!」

「お、お助けを!!」

「もうダメだ…...」

妖怪が諦め身を縮めるといつの間にか影が消えていた。

「大丈夫か!?」

「怪我は?早くあちらに避難しろ!」

「し、酒呑童子様!茨木童子様!ありがとうございます!」

「礼はいい!早う行け!」

酒呑童子達は妖怪たちを逃がすと群がる影の前に立ちはだかった。

「久しぶりに腕がなるわい。」

「そうですね。言葉は悪いですが平和でしたから。」

「ひと暴れするかの、」

「構いませんよ。私もそのつもりですので。」

酒呑童子は背負っていた酒をガブガブ飲むと空になった瓢箪を影に投げつけた。

「ひっく…行くぞ!!茨木童子!」

「はい!お頭!!」

酒呑童子は巨大な棍棒、茨木童子は拳を構え戦闘態勢に入った。

「うぉぉぉぉ!!」

酒呑童子が棍棒を振り回すと影たちが宙を舞い消えていく。

「ガハハハ!ぬるい!ぬるいぞ!」

「私もいることをお忘れなく。」

対して茨木童子は自慢の拳で次々と影を吹き飛ばしていった。

「お頭、私も酒をいただいても?」

「ほぅ?やる気じゃのう。」

「えぇ、楽しくなってきましたよ。」

------------

「ワシらもやる時がきたなぁ?鉄鼠。」

「おうよ!俺の力を見せてやる!」

「お二人さん、くれぐれも危険な真似はやめるでありんすよ?」

ネコはやれやれと言いながらも苦無を構えるとそれに続き窮鼠は短刀、鉄鼠は拳を構えた。

「ほな、行くで!!」

窮鼠は影に向かい切りかかる。だが影は素早く避けられてしまう。

「あかんでぇ?避けてばっかりやったら…なぁ!」

先程とは違い刀裁きが早くなり、影はみるみる傷ついていく。

「鉄鼠頼んだで!」

「まかせろ!!おりゃぁぁぁぁ!!」

鉄鼠は傷ついた影を担ぐと力強く他の影に向かって投げつけた。

「いっちょ上がりよ!」

「危ないでありんす!!」

鉄鼠の後ろにいた影に向かってネコは苦無を投げると命中し影が消えた。

「ありがとよ!」

「まだまだ先は長いでありんすよ?」

「わかっとるわ!まだまだやったるで!」

-------------

「椿!危ないから離れろ!」

「桜さん!烏天狗さん!」

影は演奏をしていた椿達にも迫ってきた。すかさず近くに身を潜めていた針女が手を招く。

「椿!こっちだ!」

「でも…」

「俺たちは大丈夫です!早く逃げてください!」

「…どうかご無事で」

烏天狗の言葉に椿は針女と一緒にその場を離れた。

「さて、烏天狗。準備はいいか?」

「もちろんだ。」

桜は影に向かって手を伸ばすと桜吹雪が舞い始めた。

「さぁ、迷え。桜は誰をも魅了する」

影は桜吹雪で身動きが出来ない。そして…

「…遅い。それだとすぐにやられるぞ。」

烏天狗の槍で一突きされ、影は消えていった。

「まだまだ敵はいるみたいだね。」

「遅れるなよ?桜」

「おうさ。」

ーーーーーーーーーーーーー

針女は椿の手を引き走った。できるだけ影が居ないところまで。

しかし影はもう村一面に侵食していた。

「クソっ!何処もかしこも敵がいやがる!」

「針女!危ない!!」

針女の後ろから影が現れたが気づくのが遅かった。敵の攻撃を受けてしまう。そう思った瞬間、周りに濃い煙が漂ると影は苦しそうにもがき出した。

「ど、どうなってやがる…」

「久しぶりだねぇ。お嬢さん?」

「…その声は…」

「そう、俺俺!煙羅煙羅。あの時は煙管を返してくれてありがとうね。」

煙がより濃くなるとその部分から煙羅煙羅が現れ影の首を絞めていた。

「てめぇ、何しにきやがった!?」

「何しにって、見ての通り助けに来たんだよ?」

「てめぇなんざ呼んでねぇよ!!」

「強気なところも可愛いねぇ。」

「な、か、かわ…」

煙羅煙羅の言葉に針女が固まっていると気づけば周りを影に囲まれていた。

「おやおや、敵さんが増えたねぇ。お嬢さん方、俺に任せなさい!」

煙羅煙羅は煙管を吸い煙を吐いた。その煙は瞬く間に影たちに広がり苦しめていく。

「煙は毒だよ?覚えときな。」

一人また一人影が倒れていく。しかしまだまだ敵は群がる。

それに対して煙羅煙羅はクイクイと手を招いた。

「はははっ、懲りないねぇ。そいじゃ、もっといい所を見せようじゃないか。」

各々の妖怪と影の戦いが始まる。

妖刀『紗雨』を止めることはできるのか。

危険が迫る中ある妖怪が助けに来た!

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