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七十話 調達の物語

日が経ち、椿、桜、烏天狗の演奏は完成に近づいていく。

「今日はここまで。二人ともいい感じだ。」

「椿さんは呑み込みが早いですね。素晴らしいです。」

「いえ、お二人の教え方がお上手だからですよ。」

「嬉しいことを言ってくれるね。」

「おーい、茶を持ってきたぞ!」

針女が茶を持ってきたので庭で警備中の白虎を除き休憩をした。

そこで、少し作戦の話が始まった。

「音楽で足止めするのは良いが確実にひるませることが出来れば…」

「それって毒とかか?」

「あぁ、身動きできない程度でいい。」

「毒……」

椿は少し心当たりがあった。そう、女郎蜘蛛だ。彼女なら毒に詳しいはずだ。

「女郎蜘蛛さんなら何か知ってるかもしれません。」

「女郎蜘蛛って漣の山の新しい頭領か。だがあいつは君を妖怪にした土蜘蛛の妹だぞ?信用できるのか?」

「大丈夫です。あの子は…しっかりした子でした。それに今は彼女に頼るしかないでしょ?」

そう言われると桜も烏天狗も何も言えず納得するしかなかった。

「漣の山はここから少し遠いが行けないことはない。」

すると桜は庭にいる白虎に目を向けた。

「おい白虎。椿の護衛を任せても良いか?」

「私に指図するな。命令を受けているのはこの館の警備だ。それ以外はしない。」

「お願いします。白虎さん。」

「ダメだ。」

すると針女はなにか思いついたのか、白虎に話しかけた。

「…いいんだな?山ン本五郎左衛門様の友人の椿に何かあれば責任はお前だ白虎。」

「な!?私はここに残りお前たちの誰かが付き添えばいい話だろ!?」

「あぁ、構わないさ。だが、この流れだとお前が行かないと山ン本五郎左衛門様は怪しむんじゃないか?やる気がないと…ん?」

「針女、私は大丈夫よ。一人で行けるわ。道もわかるし。」

「…あぁぁぁ!!わかった!一緒に行ってやる!もし館に何かあっても文句言うなよ!」

「きゃっ!」

白虎は急に椿を抱き上げた。

「おい!椿を乱暴に扱うな!」

「このくらい我慢しろ、虎の脚力ですぐ連れて行ってやる。しっかり捕まれ!」

それから白虎の脚力は凄かった。一蹴りすれば空高く跳ね上がりまるでバネのようだ。そんな中周りを見みると一人困っているおばあさんがいた。

「白虎、一度下ろしてください。」

「はぁ?まだ漣の山に着いてないぞ!?」

「お願いします。」

白虎はドンと地面に着地をすると椿を下ろした。

椿は先程見つけたおばあさんのもとへスタスタと走っていく。

「もし、大丈夫ですか?」

「おやぁ、お嬢ちゃん助けてくれんかのぉ。」

「もちろん。」

「おい、簡単に引き受けるな!」

「何をしたらいいですか?」

「話を聞け!!」

「実はのぉ……」

おばあさんが言うには木に実っている実を取りたいのだが、身体が小さいためとれないとの事だった。

「分かりました。私が取ります。」

「ありがとう。お嬢ちゃん。」

椿は今まで桜に習った様に力を手に集中し、ツタを木の実まで伸ばす…はずだったが力が足りずもう少しのところで届かない。

「うぅ…もう少し!」

「…はぁ、見てられん。私がこの木を揺らす。椿、お前は落ちてきた実をそのツタで受け止めろ。」

「!はい!」

白虎は深く息を吐くと勢いよいのある回し蹴りを木にぶつけた。

すると木が揺れポツポツと木の実が落ち、椿はすかさずツタで受け止める。せいぜい十一個ほどだろうか収穫ができた。

「ありがとうね。お陰でたくさん取れたわ。」

「よかったです。白虎さんもありがとうございます。」

「ふん。」

「ふふっ。虎ちゃんも嬉しいのね。」

「う、嬉しくなんか!」

「尻尾が揺れてるわよ?」

「うっ!」

白虎は恥ずかしくなったのか耳が垂れ顔が心なしか赤く見える。

そんな時急に強風が椿たちを襲った。

強風の正体はなんなのか…

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