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六十八話 冷静の物語

スタスタと一つ目とゆづるは蟒蛇の案内で隣の蛇の里の大きな屋敷に着いた。

「着いたよ。」

「大きい…」

「…」

蟒蛇が入ると奥から女性が歩いてきた。

「おかえり蟒蛇。あら?お友達も連れてきたの?」

「「こんばんは」」

「うん、今晩泊めていい?訳ありなんだ。」

「もちろん!いつものお部屋が空いてるから使ってちょうだい!」

「ありがとう姉さん。」

姉さんと呼ばれた妖怪はまた屋敷の奥に消えていった。

「じゃあ、行こっか。こっちだよ。」

蟒蛇を先頭に部屋に向かうと大きな蛇の絵が描かれた戸があり、開けると広い部屋だった。

すると後ろからまた女性の声が聞こえた。

「おかえり、お風呂湧いてるから入ってきな?」

「ありがとう。母さん。」

「久しぶりだね、一つ目。そして…アンタは?」

「ざ、座敷童子です!」

「あぁ!話は聞いてるよ。いつも蟒蛇と仲良くしてくれてありがとうね。」

「い、いえ。」

「蟒蛇、お前も人のこと言えないじゃん。」

「一つ目、うるさい。」

ゆづるたちはその足で蟒蛇家の風呂場に向かった。やはり屋敷が大きいので風呂場も広い。

「足が伸ばせる!」

「ゆづる、はしゃぎすぎ。」

「蛇は身体が長いからね、お風呂場も広いんだ。」

「へぇ~。」

そんなたわいない話をしているとだんだん一つ目の顔も明るくなっていった。

「はぁー気持ちよかった!」

「なー。」

「じゃあ、部屋に戻ろうか。」

部屋に戻ると、押し入れから布団を出し並べた。最初は間隔を開けていたが、一つ目が心配になったゆづるはある提案をする。

「ねぇ、川の字で寝ない?」

「川の字?」

「うん、布団を繋げてさ?」

「「………」」

「ダメかな?」

「…いいぜ。俺真ん中な!」

一つ目も寂しかったのか、乗り気になってくれた。ゆづるたちは離した布団を繋げ電気を消して入った。

「…なぁ起きてる?」

「おー」

「眠れないね。」

「なにか話そうか。」

「あ、じゃあ俺からな。」

「なに?」

「……今日はウチの問題に巻き込んで悪かった。ごめん。」

「一つ目のせいじゃないよ。」

「うん、一つ目は?もう大丈夫?」

「おう、二人と話してたら冷静になった。お袋に謝らないと。酷いこと言っちゃったし。」

「…僕も話していい?」

蟒蛇は体を横にすると話を続けた。

「どうしたの?蟒蛇」

「僕、蛇の里の次期頭領って話前にしたでしょ?」

「うん。」

「僕、ちゃんとできるかなって…」

「ヤマタノオロチ様みたくはならねぇな。」

「や、やっぱり!?」

「蟒蛇、そうじゃないよ。君は君らしく頭領になればいいんだ。」

「そうだぜ?お前はビビりだけど周りをよく見てる。」

「それに優しい。」

「あ、ありがとう。僕らしい頭領か…できるかな?」

「それはお前が決めることだぜ?蟒蛇。」

「そうだね!うん…頑張るよ!」

「おう、ゆづるは?なんか悩みはないのか?」

一つ目はゆづるに体を向けると問いかけた。

「僕?僕は…ちゃんと友達できるかなぁって…」

「俺らがいるじゃん?」

「違うよ、人間の世界での話。僕、なんか浮いてるみたいでさ…」

「人間のことは上手く分からねぇけどお前は良い奴だぜゆづる。無理して合わせなくていいんじゃねぇか?」

「そうだよ!自分がいて心地いい奴と仲良くなれば良い!僕らみたいに!」

「蟒蛇、サラッと恥ずかしいこと言うなよ」

「そ、そんなつもりは!」

「ふふふっ!ありがとう!元気出た!」

ゆづるたちは周りに聞こえないような小さい声で笑った。するとフワッとあくびも出てきた。

「そろそろ寝るか。」

「うん、朝ごはんは『福呼び食堂』で食べたいなぁ。」

「じゃあ、早起きだ。」

「よし、おやすみ。」

「「おやすみ」」

それからゆづるたちはゆっくり目を瞑り眠りに落ちたのだった。

椿がいる花の郷に再び来訪者が来たようだ。

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