六十七話 金の物語
昔昔、まだ一つ目の育ての父親がいて一つ目が幼い頃、日々は楽しく暮らしていた。「目黒組」と言っても今のように極道じみてはいなく本当の家族で真っ当なことをしていた。
しかしある日を境に変わった。
それは人間が悪と変わった時代がやってきた時だ。
人間であった育ての父親の存在をよく思わない妖怪による内乱が起こりいつしか「目黒組」は暴力的になってしまっていた。
そして…育ての父親が病気で亡くなり悲しいが全てが終わると思っていた。だが、今度は脅迫を受けるようになってしまい事件は起こった。
「人間を匿った裏切り妖怪たち、お前の子供は預かった。返して欲しければ……」
そう、一つ目が誘拐されたのだ。
目的は金、金、金。
確かに「目黒組」には資金がある。だが足りなかった。
一つ目を取り戻すための金が…
そこに現れたのが妖刀を持った夜行だ。
「おい、お前の組に鍵開け職人がいると聞いた。言い値を払う。封印を解け。」
夜行ら一つ目の母親に交渉をした。答えは「はい」だ。
一つ目を助けるために母親は三つ目を呼び封印を解かせた。全ては一つ目の解放の為。
そして封印解除の対価に大金を貰い、誘拐事件は解決した。
妖刀の封印を解けばどうなるかは痛いほど分かる。
しかしそれよりも自分の子供が大事だったのだ。己の重大な罪を背負い続けることを決めた。いつかバレることは分かっていてもまた家族でいたいと思ってしまったのだ。これが夜行と三つ目が出会った背景だ。
「…嘘だ。俺のせいなのか?」
「違うわ!全ては私が三つ目に指示した事なの!あなたのせいじゃ…」
「でも、俺が誘拐されたのが始まりだろ!?」
「坊ちゃん、これは私の罪です。貴方は被害者、悪くないのですよ。」
「でも…でも!」
「落ち着け一つ目!悪かった。まさかこんな話になるとは…」
「うっ…ううっ…」
「一つ目…」
蟒蛇とゆづるはかける言葉が見つからなかった。只々手を繋ぐことしか出来なかった。
「…お袋、三つ目。今日は俺、一人になりたい。蟒蛇ん家ここから近いよな?ゆづると行っていいか?」
「う、うん。構わないよ。」
「ゆづるは?」
「大丈夫。」
「ありがと…行こうぜ。」
一つ目はゆづると蟒蛇を連れて山を下った。
「ごめんなさい…一つ目。」
「奥様…」
「申し訳ありません。事情を知らずこのような形になり…」
「いいえ、元は私のせいなんです。いつかは話をしないといけないと思っていました。もう、家族には戻れませんね。」
「そう思うのはもう少し待ってみては?」
「え?」
布を被った鬼女が一つ目の母親に語りかける。
「彼は素晴らしい友人をお持ちです。友人に託しましょう。」
「…そうね。犬神様、件様、それと…」
「ふふっ、私のことはお構いなく。」
「…私に出来ることならなんなりと。もう逃げません。ちゃんと向き合います。」
「奥様、俺たちもいますぜ!」
「そうです!奥様だけで抱え込まないでください!」
「私もですわ、ケジメをつけましょう。」
「皆さん…ありがとう。」
「では何かあれば文を飛ばします。よろしくお願いします。」
犬神たちは深く頭を下げ山を降り『福呼び食堂』に向かったのだった。
一つ目たちは蟒蛇の家へ、どうなるだろうか。




