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五十九話 休憩の物語

花の郷にて椿は桜から力を教わっていた。元々器用な椿は何でもこなせるがこればっかりはなかなか上手くいかないようだ。

「そうそう、椿。上手く操るんだ。」

「はい!」

椿は一生懸命にツタを操り何とか操れるようにはなった。しかし気を抜くとツタはペタンと倒れてしまう。まだまだ頑張ろうと意気込んでいると針女が声をかけた。

「椿!お茶を持ってきたから休憩しよう!」

「針女、ありがとう。桜さん、構いませんか?」

「いいよ。休憩しようか。」

椿は針女のもとに行きお茶を受け取る。しかしあるのは2つのみだ。

「俺もお茶を貰おうかな?」

「兄貴のはねぇよ。アタシと椿のだ。」

「酷い妹だ。兄に茶すら出さないとはね。」

「桜さん、良かったら私のをどうぞ?まだ口をつけていませんので。」

「いいのか?嬉しいなぁ。」

「椿!!?…わかったよ…ほら兄貴の分。椿のは自分で飲みな。」

針女はもうひとつのお茶を渋々桜に渡した。椿は早速お茶に口をつけるとほのかに花の香りがした。

「…いい香り、美味しいわ。」

「花の郷では定番のお茶なんだ。椿が気に入ってくれて良かった。」

「針女は椿に甘いな。もしかして…」

「ば!バカ言うな!友達としてだ!…って椿、どうした?」

「いえ、今日は烏が多いなと思って…」

針女と桜はふと上を見上げると確かに黒い烏があちらこちらに飛んでいた。すると上から聞き馴染みの声が聞こえた。

「椿さん!」

「烏天狗さん。」

烏天狗は椿を見つけると近くまで来て降りてきた。

「椿さん!大丈夫ですか!?雪女から聞きました。妖怪になったって…」

「はい。色々あって椿の精になってしまいました。今はここで力の扱い方を教わっているんです。烏天狗さんはなぜこちらに?」

「実は最近、辻斬りは流行っていまして、危険と判断しましたので見回りをしているんです。」

「辻斬り?」

「犯人は分かっていませんのでくれぐれも気をつけてください。」

「やたらと烏が多いのはそのせいか。」

「お前は…」

「私の先生の桜さんです。」

「久しぶりだな?烏天狗。」

桜は烏天狗に近づくとヒラヒラと手を振った。まるで知り合いのようだ。

「兄貴、烏天狗と知り合いなのか?」

「あぁ、針女には言ってなかったか。烏天狗とは音楽仲間だ。」

「懐かしいな。俺が胡弓、桜が笛を吹いていたな?」

「そうだ!烏天狗、落ち着いたらまた奏でないか?」

「悪いが、無理だな。仕事もあるが最近胡弓を触ってないからな…自信が無い。」

烏天狗は頭を掻きながら答えると桜は「それは仕方ないな」と返した。

「椿はどうだ?何か楽器を嗜んでいるか?」

「私は…琴なら少し…」

「椿さん、琴が弾けるのですか!?」

「母に教わりまして、趣味程度ですが…」

「琴が弾けるとは。どうだ?今度三人で奏でようじゃないか。」

「俺は構わないが…椿さんはどうです?」

「私でよければ。」

「よかった。では俺は見回りの途中ですのでこれで。」

「烏天狗さん、お気をつけて。」

椿がそう言うと烏天狗は翼を広げて飛び立っていった。

「では、休憩はここまで。続きをしようか椿。」

「はい。よろしくお願いします。」

椿は桜との特訓を再開したのだった。

犬神たちはある場所に向かった。狐の宮みたいだが…

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