五十七話 再会の物語
口裂け女の予想通り、客の入りが悪かった。どうやら金魚の他に辻斬りにあった妖怪がチラホラいたみたいだ。あれから折姫から手紙が届き、金魚は手当をして安静していれば大丈夫なようだ。しかし不振な点もあり妖怪は傷の治りが早いみたいだが、辻斬りにあった妖怪は治りが遅い。まるでただの辻斬りではないみたいだ。
そう考えながら仕事をしているとガラッと店の戸が開いた。
「いらっしゃいませ!」
「よう!ゆづる。来たぞ!」
「お邪魔します。」
「あ!犬神様、件様!それと…?」
件と犬神の後ろには布で顔を隠した女性がいた。見覚えがある。ゆづるは恐る恐る声をかけてみた。
「鬼女さん?」
「正解だ。数日ぶりだな?ゆづる。」
「どうしたんですか?あ!そっか、今は昼時ですもんね。」
「それもあるが、私がゆづると話がしたくてね?」
「話…ですか?」
ふとネコの方に振り向くとネコは笑顔で答えた。
「今日は客がいないでありんすから話しても構わないでありんすよ。」
ゆづるはまず三人を席に案内し、お茶を出した。ゆづるは同じ席に座ると話を始めた。
「いい雰囲気のお店ですね。静かで落ち着きます。」
「いつもはとっても賑やかなんですよ。」
「そうなのか?」
犬神が尋ねたのでゆづるは辻斬りのこと、金魚のことを話した。
「…辻斬りか……」
「だからあまり外出している妖怪がいないんだな。」
「うん。誰も姿を見てないみたいなんだけど不思議なこともあって…」
「不思議なこと?」
「その辻斬りにあうと傷の治りが遅いみたいなんだ。ただの辻斬りじゃないのかも。」
「………。」
「あ!ごめんなさい。話が脱線しちゃって、話したいことがあるんですよね?」
ゆづるはすぐさま話を戻そうと問いかけると鬼女が口を開いた。
「お前、道満から札をもらっているだろう?その札を使えばアキヒロを呼び出せるのではないかと思ってね。」
「おじいちゃんに会えるの!?」
「道満からは許可は得ている。やってみるか?」
「やりたい!おじいちゃんに会いたい!」
ゆづるはキラキラと目を輝かせると懐にしまっていた札を出した。
「いいかい?ゆづる。アキヒロをしっかりと思い浮かべるんだ。そして『急急如律令』と唱えろ。」
「わかった。」
ゆづるは目を閉じるとおじいちゃん、アキヒロを鮮明に思い浮かべた。そして…
「急急如律令!!!」
唱えた瞬間札が消え、無数の蝶が舞いだした。あまりの眩しさに目を隠していると懐かしい声が聞こえてきた。
「ゆづる。ゆづる!」
「おじいちゃん?」
「おぉ!ゆづる!何十年ぶりか!?」
「おじいちゃん!!」
アキヒロと再会したゆづる。辻斬りについて話し合うようだ。




