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五十六話 辻斬りの物語

ゆづるは一つ目と蟒蛇、折姫と一緒に金魚の小物屋『彩』にいた。

もちろん、鬼女の事などを話しにだ。

「ゆづる、本当に帰らなくて大丈夫か?」

「親は心配しない?」

「そうですわ。心配されてないかしら?」

「うん…でもおじいちゃんの魂を消した犯人を知りたいんだ。」

ゆづるは悩みながらも出した答えを一つ目たちに話した。すると金魚は店奥から冷たい麦茶を持ってきてくれた。

「でも無茶はしてはダメですよ?ゆづるくん。」

「はい!ちゃんと周りを頼ります!」

「よろしい。」

口裂け女と同じようなやり取りをすると金魚は麦茶をそれぞれに手渡す。

「俺達も頼れよ!」

「友達なんだから!」

「そうですわ!」

「ありがとう、みんな。」

ゆづるはお礼を言う。

「でも、魂狩りの犯人…全く検討がつかないや。」

「姿も何もありませんものね。」

折姫は麦茶を少しづつ飲むとふとあることを口にした。

「そうですわ!皆様、最近『治癒の都』で辻斬りが流行っていますの。他の村や街を転々としているようですから気をつけてくださいまし。」

「その話は聞いたことありますね。確か、夜に発生しているとか。」

「はい。『治癒の都』では重症の妖怪が多くて…ほとんどが夜に被害にあっていますわ。」

「こ、怖いね…」

「お、俺は怖くないぜ…」

「一つ目、肩震えてるよ。」

「う、うるせぇ!これはあれだ!武者震いだ!」

「もう遅い時間ですし、送っていきますよ?」

「あ!金魚さん!じゃあ俺はゆづるたちを送りますよ!」

カマイタチは自分の手伝い仕事が終わったのか顔をひょいっと出す。

「カマイタチくん、ありがとうございます。では私は折姫さんを送りますね。」

それぞれ別れを告げ、離れていった。帰る途中、折姫は金魚に声をかけた。

「金魚さん、私は悪い妖怪かもしれませんわ。」

「どうしたんですか?」

「私、ゆづる様がまたこの世界に残ると聞いた時、心の中で喜んでしまいました。ゆづる様は目的があって残るだけなのに…」

折姫はシュンと下を向くと金魚は優しく答える。

「折姫さん、実は私もゆづるくんが残ると聞いて喜んでしまいました。」

「金魚さんも?」

「はい。きっと、ゆづるくんが帰ってしまうと寂しいからだと思うんです。だから、ちゃんと「さよなら」を言えるようにゆづるくんと沢山思い出を作りましょう?」

「思い出…そうですわね!ありがとうございます金魚さん!私、元気が出ましたわ!」

「それは良かったです。」

金魚は折姫の頭を優しく撫でていると後ろからジャリっと音が聞こえた。

「誰です!?」

---------------

カマイタチとゆづるたちは和気あいあいと話していると頭上から叫ぶ声が聞こえた。

「カマイタチ様!皆様!」

声の主は折り鶴に乗った折姫だった。

「折姫!?どうしたの?」

「き、金魚さんが!金魚さんが!!」

「金魚さんがどうしたんだ!?」

折り鶴が地上に降りるとそこには折姫と負傷した金魚が乗っていた。

「金魚さん!!どうしたんですか!?誰にやられたんですか!」

「カマイタチさん大丈夫ですよ。ただの切り傷です。相手は…すみません、一瞬の出来事だったので見ていません…」

「金魚さんは私を庇ってくれましたの…今から治癒の都に連れて行って治療致します。皆様くれぐれもお気をつけて!」

折姫はそう言うと再び折り鶴が飛び立った。

ゆづるはふとカマイタチを見ると今でも爆発しそうなくらい怒りに満ちた顔をしていた。

「カマイタチさん、大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ。お前たち、さっさと帰るぞ。俺は今さっきやることができたからな。」

「誰でも消し去りそうな目をしてる…」

「しっ!言わないでおこうよ。」

ゆづるたちは無事それぞれの家に着いたが、金魚が心配だ。口裂け女、ネコたちにもそのことを話し用心するように伝えた。

「金魚さんが…心配だねぇ。」

「俺達も外出の際は気をつけるぜ。ゆづるたちも気をつけろよ。」

「ネコ、ゆづるたちを頼んだで」

「任せるでありんす!」

窮鼠と鉄鼠はそう言うと帰っていった。

「少しの間は客入りは少なくなりそうだねぇ。」

「心配はそこでありんすか…」

「ははは…」

ゆづるは金魚が大丈夫かと心配しながら今夜は眠りについた。

『福呼び食堂』にあの妖怪たちが…ある人物と再会できると伝えられ。

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