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五十五話 花の物語

その頃、椿は眠りから覚めると自分の変化にただただ驚いた。そして目の前には謝る雪女の姿。

「本当にすまない!僕がしっかりとしていれば…」

「お雪さん、顔をあげてください。すべて私の危機感の無さが原因です…お雪さんは何も悪くありません。」

「…でも椿、君は人間の世界にはもう…」

雪女は椿にそう言うと椿は静かに暗い顔でこの先のことを考える。すると近くにいた針女が口を開いた。

「椿!こんな時にこんな事言うのはおかしいのは分かってる…だが、アンタに提案があるんだ!」

「提案?」

「あぁ!アタシと一緒に修繕屋を営まないか?この世界で!」

「…修繕屋………。」

そう、牛鬼の羽織を修繕した際に言われた言葉だ。確かに針女とする修繕は楽しかった。そうだ。これで私の人生は終わりじゃない。始まりなんだ。と椿はだんだん前向きな考えに変わっていく。

「そうね…私も、針女と修繕屋さんをやりたい!」

「君たち二人なら必ずできるよ!だが…その前に椿は力を扱えるようにならないとな…見た感じは花の精の類だが…」

雪女が頭を悩ませると何やら針女の様子がおかしい。何だか何かを言いたくなさそうな顔だ。だが、椿の力になりたい気持ちが大きかったのか重い口を開く。

「あのさ、椿。アタシ、アンタに話してないことがあるんだ。」

「どうしたの?針女」

「アタシ、ここの出身じゃなくて…花の郷の出身なんだ。で、血の繋がってない兄がいるんだが、そいつは…桜の精だ。」

「桜の精!?花の精の中で力がある妖怪じゃないか!」

針女は小さく頷くと話を続ける。

「兄がアタシの男嫌いの原因だが、椿を助けられるのはあいつしかいない…」

「…お兄さんが原因って…一体…」

「アイツは…アイツは超がつくほどの面食いで女好きだ!それのお陰でどれだけアタシが苦労したか!あのバカ兄の事だ!絶対椿を気に入る!!」

「落ち着け、針女!」

力が入った針女を雪女が必死で止めた。しかし、力を制御しなければ今後周りに被害が出る可能性がある。針女には悪いが椿には答えが出ていた。

「ごめんなさい、針女。私はそのお兄さんに力の制御を教わりたい。案内してくれないかしら?」

「…分かった。椿が困ってるんだ。力になれるなら協力する。花の郷はすぐ隣だ。今から行こう!」

「気をつけて行くんだぞ!」

針女は椿の手を取るて走っていった。雪女は仲のいい二人を微笑ましく見ていた。

「羽衣、椿は妖怪になってしまったが……彼女のことだ。乗り越えられるよな?」

-------------

数時間後、椿たちはある屋敷に着いた。大きな桜がある屋敷。幻想的な雰囲気に飲み込まれそうだ。

針女は慣れたように戸をガラッと開ける。

「兄貴!帰ったぞ!」

針女がそう叫ぶと桜吹雪と共にある男性が歩いてきた。

「おぉ、針女。久しいな。どうした?ついに家が恋しくなったか?」

「馬鹿言うんじゃねぇ!…今回は兄貴に用があって帰ってきた。」

「俺に?」

椿は針女に手招きをされスタスタと玄関に入っていった。

「はじめまして、針女の友人の椿と申します。」

「これはこれは、ご丁寧に。俺は桜だ。」

椿がお辞儀をすると桜は何故か椿の手を取った。

「おい!椿に勝手に触るな!」

「君は…椿の精のようだが。力が弱い…訳ありか?」

「…はい。私は元人間です。訳あって妖怪になり、力の扱い方を教わりたくて貴方に会いに来ました。」

椿は桜の目を見てしっかり答えた。その姿に桜は「ははは」と笑う。

「そんな熱い眼差しで見られると照れてしまうな。いいぞ。教えてあげよう。」

「本当ですか?」

「あぁ、美人でおしとやかな妖怪のお願いは断わらない主義でね?」

「椿を口説くんじゃねぇ!バカ兄貴!」

「おーおー、口が悪い妹を持つ兄は大変だ。」

「ぐぬぬぬ!!」

「針女、どうどう…桜さん今日からよろしくお願いします。」

「あぁ、よろしくね。」

今日から椿は桜に妖力の扱いを教えてもらうことに。椿は「頑張ろう」と心に誓ったのだった。

ゆづるたちは金魚の店にやってきた。しかし何やら事件が起きたみたいだ

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