四十一話 虫の物語
そこには下半身がムカデ、上半身は人の巨大な妖怪がいた。
恐らくあの妖怪が大百足だろう。
「あの!あなたが大百足さんですか」
「いかにも!私が大百足、虫を愛する妖怪だ」
「なんか…癖がある妖怪が出てきたでありんす」
ネコはジトっと大百足を見ていると大百足は何を思ったのか、ビシッと手をこちらに向けた。
「すまないが、私は虫を愛している。貴様のような毛むくじゃらには興味が無い。」
「アチキだってお前に興味ないでありんすよ!!」
「まぁまぁネコさん、落ち着いて。」
「大百足殿、この者たちはお主にある虫妖怪について聞きたいことがあるみたいでござる。」
それを聞いた大百足はキラキラと目を輝かせながら長い体を少し縮めてゆづるたちに近づく。
「虫妖怪だと!?良いだろう!この私に知らない虫はいない!」
「あ、ありがとうございます。じゃあ、蝶化身について教えてほいしです。」
「ちょっと待ってろ。几帳面な私はすべて書物にまとめているのだ。」
「はぁー、それは凄いでありんすねー」
大百足はまた体を伸ばし高い棚からある書物を取るとペラペラとめくる。ネコは大百足が苦手な分類に入るのか言葉が棒読みだ。
「どうでござるか?書いてありそうでござるか?」
「うむ!あったぞ!蝶化身はその名の通り、蝶の化身。死者が蝶になった妖怪だ。最近ではあまり見ないが几帳面な私が書いた書物には最後に蝶化身になった人間が書かれている!」
「誰なんですか?」
「それは………アキヒロという名の人間だ!」
「えっ!?」
驚いた。蝶化身の正体はもしかして…おじいちゃん…?
ネコはゆづるの表情で察したのか大百足に更に尋ねる。
「大百足!その蝶化身は青でありんすか!?今はどこにいるでありんすか?」
「毛むくじゃらも虫の良さが分かってきたか!あぁ!その蝶化身は確かに青色の蝶だ。そして冥界の湖にいると書かれている。」
「冥界の湖でありんすか…」
ネコは何かその場所のことを知っている顔をした。ゆづるは後で話を聞こうと大百足に顔を向けると何故か指を指されていた。
「ところでそこの小さき者、お前はアキヒロを知っていそうな返事をしたな?知り合いか?人間と。」
「え!えっと件様達に聞いた人間の名前と一緒だなぁって…思って…」
不味いと思ったゆづるはすかさず今思いついた言い訳を繰り出す。
バレたか?しかし大百足はその言い訳をあっさり信じた。
「確かに、件様と犬神様は昔そのような名の人間と日々を共にしたと聞いたことがあるな。」
「こいつは座敷童子でありんすよ?人間っぽいのは当たり前でありんす。」
「それもそうだな。」
ネコもすぐフォローをしてくれ何とかバレずにすんだ。
「聞きたい話は聞けたでござるか?」
「うん!ありがとう猿さん。」
「早く帰るでありんすよ。ここは虫だらけで適わないでありんす。」
「また虫について知りたければ何時でも来い!私は大歓迎だ!」
「ありがとう。大百足さん」
そう言うとゆづる達は通りゃんせの森へと戻った。
大百足から情報をもらい帰る途中、誰かの泣く声が聞こえて…




